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心淋し川[うらさびしがわ]

皆様、1週間お疲れ様です。

164回直木賞受賞作の西條奈加さんの「心淋し川」を読みました。


どぶ川沿いにある心町に住む人々のそ人生を書いた感動連作。どうしようもない境遇、やりきれない気持ちを抱えながらも江戸の片隅で懸命に生きる人々。
ささやかな喜びや哀しみが静かに胸を打つ作品です。


1つ1つのストーリーは個々で楽しめます。それでいて、登場人物が重なり合うことで心町に起こる日常を絡めながら切り取っているので、独立したストーリでありながら、統一感を感じられるような仕上がりになっています。

「口は笑っているのに、笑顔とはどこか違う。あれはたぶん、人の生きざまを写したものなのかもしれねぇな。生きてりゃどうしたって、悲しみはついてくる。情けない思いもいっぱいする。駄目なてめえを、ありのまんま受けとめて黙って見守ってくれる。」

ー閨仏より


毎日の生活の中で誰もが抱える、各々の悩み。生まれや境遇を選べず、人生に翻弄されながらもじっと耐え、また与えられた場所で懸命に生きる人々。


与えられた場所で、何とか自分の在り方を見出していく凛とした美しさと静かな強さをたたえた生き様に魅了されます。




海外に出て、世界の色んな在り方を見たからこそ、外から日本を見たからこそ再発見できた、気付けた日本の素晴らしさ。
改めて日本人であることに感謝し、日本の魅力を再確認した。



時代が違っても、昔の人の生き様から今の自分の生活への指針や活力をもらえる点で、時代小説ものが大好き。
私にとって、日本人の清い生き様、細やかな配慮と他を思いやる心、芯のある凛とした強さを感じることのできる時代小説は心の栄養剤です。

海外で生活するようになり、より一層その価値を深く感じることができるようになったように思います。



生活の中で感じる不安や淋しさ、悲しさをふんわりと和らげ、明日からも少しずつ自分のペースで歩んでいこう、そう思わせてくれる本でした。


今日も読んで頂き、ありがとございます。


みなさま、良き週末をお過ごし下さいませ。


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