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子どもの問題を教師が代わって解決することはできない 事件簿⑤

トラブルの当事者は子どもだ。当事者でない教師が子どもの問題を代わって解決することはできない。
しかし、子ども自身も何を話せばよいのか分からずにいることがある。そのような時、教師は仲介者となり、子どもの話し合いを促す必要がある。

「聞く」ポイント3。教師は代弁者になるのではなく、話し合いの仲介者となる。

例えば、前回ご紹介したこの場面。もう一度ご覧下さい。

きレンジャーは「バッグを無くせば二人のケンカが止まる」と思った。そんな意図とは思いもよらない あかレンジャーは腹を立てた。そして、今度は きレンジャーがビックリ仰天。なぜ、あかレンジャーが怒ったのかが全然分からない。これは、そういう展開。

教師は、この二人にどう対応するか。

まずは、悪い例をご紹介。

「バッグを捨てたのが悪い」
「首を絞めたのが悪い」
何が悪かったかを教師が説明(代弁)して、子どもに「謝りなさい」と言っている。それぞれに「ごめんなさい」を言わせて、問題を終わりにしようとしている。教師はそれで解決すると思っている。

でも、当の二人は納得できない。
「それは悪かったけど」とスッキリしない思いが残る。例えば「なぜ、バッグを捨てたのか」「なぜ、腹を立てたのか」など、それぞれに分かりたいこと分かって欲しいことがある。
そんな思いが残っている限り、二人の問題は解決しない。

トラブルは子ども自身の問題だ。子どもの問題を教師が代わって解決することはできない。

だから、教師は説明(代弁)しようとしてはいけない。
二人の問題は二人に解決させる。
教師は、二人の話し合いの仲介者となるよう心がける。

それが、次の例。

①「なんでバッグをゴミ箱に入れようと思ったのか」をきレンジャーに話させる。あかレンジャーに、きレンジャーの意図(「ケンカを止めたかった」)を知らせる。
②「なぜ、怒ったのか」「どうして欲しかったか」をあかレンジャーに話させる。きレンジャーに自分の行動の間違いを気づかせる。(注)

当事者である子どもが自分の考えを自分の言葉で伝える。何が問題だったのかをお互いの言葉で理解する。その過程があって初めて納得できる。「ごめんなさい」は納得して初めて言える言葉だと思う。

教師の役割は、説明(代弁)することではない。
子どもに「ごめんなさい」を言わせることではない。
教師は、子どもがお互いを理解できるように話を仲介すればよい。教師は仲介者となって、子どもが自分の言葉で話せるようにすればよい。
自分の言葉で話すことを繰り返すことによって、子どもは自分たちだけで問題を解決できるようになる。教師に説明(代弁)してもらっていてはそのような力はつかない。

教師の役割は、子どもが自分で自分の問題を解決できるようにすることだ。

以前にも書いた通り、日々のトラブルはそのための演習なんだと思う。

(注)もしも、あかレンジャーが自分で話せないタイプの子どもだった時は「誰か、あかレンジャーがなぜ怒ったか分かる?」と聞く。そして他の子に話させる。「そうだったのかな?」と あかレンジャーに聞いて確認する。

事件の全容はこちら↓


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