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塔の魔導師 free

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「君には魔導師の才能がある。」 奴隷階級の少年リンは、旅の魔導師ユインからそう告げられる。 その日からリンの魔導師を目指す旅が始まった。リンはユインに連れられて魔導師の街グィンガ…
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2017年9月の記事一覧

第103話「事後処理」

第103話「事後処理」

前回、第102話「夜襲」

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 クルーガがナウゼとラディアに落とし前をつけさせると言ったのは本当だった。

 彼は二人の犯行についてあるがまま協会に報告した。

 その上で二人が反省していること、それに免じて寛大な処置を望んでいることを伝えた。

 事が事だけに協会は事態を重く見て、すぐに審議が開かれた。

 二人は裁定が下されるまで自宅謹慎を命じられる。

 まだ試合を控えているラデ

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第102話「夜襲」

第102話「夜襲」

前回、第101話「貴族の誇り」

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 ナウゼは医務室で目を覚ました。

 見舞いに来ていたラディアは驚く。

「ナウゼ!? 起きたのか。2、3日は意識が戻らないと思っていたが……」

(さすがの回復力だな)

 ラディアはいつもながらナウゼの回復力に舌を巻いた。

 完全にへし折れたはずの腕も、薬による効果もあるとはいえ、既にギプスを外して回せるようになっていた。

「ラディア。俺は…

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第101話「貴族の誇り」

第101話「貴族の誇り」

前回、第100話「閃き」

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 闘技場から水が引いていく。

 リンは足元で砕け散っている『リドレの魔石』を顧みる。

(ザイーニ……守ってくれたんだね)

 リンは魔石の欠片を拾い上げる。

「おかげで勝つことができたよ」

 全ての水を吐き出した魔石は、役目を終えたかのように輝きを失って消える。

「まだだ。まだ俺は杖を手放してはいない」

 声の方を振り返るとナウゼが立ち上がって

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第100話「閃き」

第100話「閃き」

前回、第99話「野戦築城魔法」

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 リンがナウゼの砲撃にさらされたのを見てイリーウィアの陣営は騒然としていた。

「イリーウィア様。イリーウィア様。リンが……、リンが吹き飛ばされて砲弾の雨の中に……。ああ……どうしよう」

 ユヴェンがすっかりうろたえきってイリーウィアに話しかける。

「おいおい。無茶苦茶な威力だな。審判はなぜ止めない。もう勝負ありでいいだろう」

 ヘルドが表向き

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第99話「野戦築城魔法」

第99話「野戦築城魔法」

前回、第98話「奇襲」

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(やったか?)

 リンは杖の先に手応えを感じて、今しがた叩きつけたナウゼの方を見る。

 ナウゼはリンの杖が届く寸前、顔面を両腕で保護していた。

 リンは自分の攻撃が思った場所に当たらなかったことに気づいたが、それでも有効打を与えられたことに違いはなかった。

 トドメを刺すべくもう一度杖を振りかぶる。

 しかしそれより先にナウゼが杖で地面を、『位相魔

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第98話「奇襲」

第98話「奇襲」

前回、第97話「深刻なこと」

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(間に合ったか)

 エミルはリンとナウゼの試合が今まさに開始されるというところで会場にたどり着くことができた。

(もう依頼分の報酬は貰ったし、わざわざ足を運ぶこともないが、まあ何かの縁だしな。最後まで付き合うとしよう)

 エミルは空いている席を探して観客席を歩き回ったが、すでにどこも一杯になっていた。

 皆、新たに塔に訪れたスピルナの上級貴族が

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第97話「深刻なこと」

第97話「深刻なこと」

前回、第96話「勝者の精神」

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 魔導競技当日。

 リンは前日に交わしたエミルとのやりとりを思い出しながら会場への道を歩いていた。

「いよいよ明日、リンはナウゼと試合ね」

「はい」

「大丈夫?」

「えっ?」

「あいつら、スピルナの連中は気にくわないところもあるけれど勇猛さは本物よ。仮にあんたがナウゼを追い詰める寸前まで行ったとしましょう。でもあいつらは杖を失っても実剣で戦

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第96話「勝者の精神」

第96話「勝者の精神」

前回、第95話「新しい師匠」

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 演習場でエミルの声が響き渡る。

「違う。何度言ったらわかるんだ」

「くっ」

 リンは悔しそうに呻きながら立ち上がる。

 体のいたるところには擦り傷ができて、肩で息をし、足もふらついている。

 杖を頼りにかろうじて立つことができている状態だった。

 演習場の脇には魔法の靴が何足も転がっている。

 衝撃に強いはずの魔法の靴だが、いずれも履き

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第95話「新しい師匠」

第95話「新しい師匠」

前回、第94話「反乱の鎮圧」

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 リンは魔導競技用に借りた演習場で、緊張しながらこれから訪れる人物を待っていた。

 もうすぐ新しい師匠が来る手筈になっていた。

 新しい師匠を雇おうというのはテオからの提案だった。

「新しい師匠?」

 リンは今し方テオの言ったことをそのまま聞き返した。

「ああ。もういい加減俺らも自分で師匠を雇おうぜ。今の師匠とかクソの役にも立たねーしよ 」

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