シェア
むらやまちあき
2023年12月26日 23:03
不安から、色んなものに手を伸ばしてしまった。沢山の人の肩を叩き、振り向いて、助けてほしいと願った。触手のように一旦伸ばした手はもう止まることなく、伸び続けていく。後になって、何度後悔しただろうか。何度、私は同じことをしてきただろうか。そんなことも、嵐が過ぎ去り、全てをひっくり返してしまった後になって、ようやく気づくのだ。恥ずかしい、またやってしまったと、私は一人、どこか薄暗
2024年5月16日 17:31
一人、また一人と飛び立っていく。足先から小さな水の玉をふり落として。海の上では今、春の匂いがするという。そうして私は一人になった。世界は早く、皆、通りすぎてゆく。時折心を裂くような悲しみが、私の身体をすり抜ける。いとも、軽やかに。私は、海の底へと潜っていった。深く、深く。世界はだんだんと鎮まってゆき、私の四肢は再びたおやかに動き始める。過ぎ去る視界の端々に映る岩影には、名のな