むらやまちあき

日々の思いや、短いお話などを書いています。 2025年3月29,30日に自主公演を開催します🪽 前回公演HP:https://yumekamoshirenai.jimdosite.com/

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マガジン

  • 日々のエッセイ

    なんとなく、自分のこと、文章のこと、日々のことについてゆるりと書いたものをまとめております

  • 台本

    これまで上演した演劇の台本です。もし使いたいという方がいましたら、大歓迎です。ご一報&クレジットの表記をお願いいたします。

  • ショートショートのような

    あったらいいな、と思う小さな世界たちです

  • 恋のエッセイ

    恋愛エッセイをまとめております

最近の記事

【詩】象

今日も昨日も その前も 眠そうな顔をしているのは 外が 溶けるように暑いから 涼しくて ゾウの置物がかわいい店内でも 眠そうな顔をしているのは さっきまで すごく 暑かったから だから どうか みんな わたしの顔を見て   最近、元気ないね と、言わないでください こんなに素敵なお店の中で 元気を出せない自分を 嫌になりたくないのです たとえば ゾウの目から 涙が一粒 こぼれ落ちて ゾウのごつごつとした 柔らかい 木の身体に染み込んでいったと

    • 【台本】二人芝居「葬式」

      (葬儀場の外のようで、Aは石段に腰掛けている。Bがその周りをゆらゆらと歩いている) A「いい人生だったよね」 B「ほんと」 A「みんなに頼られて」 B「私もお世話になりました」 A「人に甘えるのも上手で」 B「ふふ」 A「何かあるとすぐ人んち泊まり込んで」 B「家に泊まると話が尽きなくて」 A「夜通し話してたね」 (間) B「友達は少なかったけど」 A「(葬儀場の方を見て)愛されてたね」 (少しの間) A「あ、タカシも来てる」 B「本当だ、全然変

      • 【台本】二人芝居「土星」

        (暗転の中、Bの声のみ) B「あれ?ここは…土星の輪っか?なんで…。私走ってる、なんで走ってるんだろう」 (明転。Bが前方を見ながら走っている。しばらくして、Aが後ろから走ってくる。AはBを見つけ、スピードを早めてBの隣に並ぶ。二人、横並びで走りながら) B「(Aに気がつき)はじめまして」 A「はじめまして」 B「前に会ったことありましたっけ?」 A「ありますね」 B「どこであいましたっけ?」 A「高島屋のバーゲンで」 B「ああ、私が右にいて」 A「私が左で。私が手

        • コーンフレークな、恋 おとな

          私はどうしてこうなんだろうか。 どうしてこうも恋愛が苦手なんだろうか。 何度も同じことを繰り返す自分に嫌気がさす。 でも分かってる。 今、何かに気がつけないと、また同じことが、きっと起きる。何かに、何か、なんなんだ。 何がどうなって、結果あんなにも残念な感じになってしまったのか。なんで私はこうも恋愛に固執するのか。固執するからダメなんだろう。それも分かってる。ああ、イライラする。 思わず過去に飛ばしてしまう念を追い払って、渦巻き始く思考を鎮めるために、とりあえず机に向

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        記事

          (また)はじまるので、振り返る

          小さな舞台ではありましたが、大きな経験となりました。 という書き出しの文章が下書きに残っていました。日付を見ると2024年3月27日、初めて自分で開いた演劇の公演「夢かもしれない」のすぐあとでした。 なんだか、今、あのころ(と言っても半年前ですが)を振り返ると、とにかく「一生懸命だったな」と思います。何か、一世一代の挑戦、生きるか死ぬか(もちろん物理的な生ではなく、アイデンティティというか、そういう意味で)みたいな、そんな必死さがあったように思います。 ずっとずっと小さな

          (また)はじまるので、振り返る

          【詩】春になったら

          一人、また一人と飛び立っていく。 足先から小さな水の玉をふり落として。 海の上では今、春の匂いがするという。 そうして私は一人になった。 世界は早く、皆、通りすぎてゆく。 時折心を裂くような悲しみが、私の身体をすり抜ける。いとも、軽やかに。 私は、海の底へと潜っていった。深く、深く。 世界はだんだんと鎮まってゆき、私の四肢は再びたおやかに動き始める。 過ぎ去る視界の端々に映る岩影には、名のない命たちが自らの色を放っていた。 不意に身体が押し流され、海全体がぐらりと揺れ

          【詩】春になったら

          最近の日々について

          お久しぶりです! とっても久々の投稿になりました。 最近は、演劇の公演準備をしておりました。 2年ほど前から演劇をしており、この度自主公演を開催することになりました。 3月23日(土)、美術作家と企て屋による二人芝居「夢かもしれない」という公演です。 公演HP https://yumekamoshirenai.jimdosite.com/ なんと、ステージナタリーさんに取り上げていただき、その後Yahoo!ニュースにも掲載されました…! 美術作家の長沢郁美さんと、自主

          最近の日々について

          【ショートショート】レモンとおじさん(2)〜はじまりの月夜に〜

          暗い、暗い夜の海 一筋の光が、揺れている その先に、浮かぶのは、月 まんまるく、黄色い光に 見惚れていると、吸い込まれるよ ・ ・ ・ 一隻の、小さな船が海に出た オールを握る、おじさんの手 ゆっくり、ゆっくり、漕ぎ始める 沢山のものと出会い、育み、慈しんできた そうして蓄えたものたちに、ひとつずつ、さよならを告げる、そんな旅 潮が満ちて、引いてゆくように 悲しいことではない 進むことでも、戻ることでもない ただ、そうしなくてはと、おじさんは思った それでも時々

          【ショートショート】レモンとおじさん(2)〜はじまりの月夜に〜

          【ショートショート】HOME

           その時私が乗り込んだ電車はずっと昔から走り続けていたようで、長年の煤に覆われていた。  発車時刻を一時間過ぎても予定の電車は一向に来る気配がなかった。日本の端っこに取り残されたようにぽつりと存在する海町なのだから、そんなことは日常茶飯事だろうとも思ったけれど流石に遅い。休日であれば一部の物好きな観光客で賑わうその小さな町も、週のど真ん中の平日では、他の乗客の姿は一人も見当たらなかった。簡素なホームの上にひょろりと生えたようなトタン屋根の下で、冷たい風と交互に通り過ぎていく

          【ショートショート】HOME

          【エッセイ】ちょっと疲れてしまった私へ

          私は、何を信じて生きていけばいいのだろう。 ころころと表情を変え続ける私の気持ちに、気まぐれでものを言う心に、疲れてしまった。 何か大切なことを伝えられているような気がしてならない。見逃したことはないか、と少し前の自分を睨みつけるように思い出そうとする。 あの時感じた新鮮さを、繊細な光をまとったときめきを、楽しさを、何度、私は信じようとしただろうか。それらは今、私の頭の隅に、薄く埃をかぶったまま、ぽん、と放り出されている。たまにカタカタと音を鳴らして、動いている、それは

          【エッセイ】ちょっと疲れてしまった私へ

          noteのクリエイター名について

          さっき、クリエイター名を少し変えました。 「千秋」から、「千秋です」 にしてみました。 なんか、自分のページを見た時に 「千秋!」 ってまぬけな顔で自分が言ってるのを想像してしまって、どうしようもなくそわそわしてしまいました。 そういう時、ありませんか? でも気分屋なので、またすぐ戻すと思いますが… 自分の気分にはできるだけ寄り添ってあげたいなぁと、常日頃思っております。 えっと、今日言いたいのはそれだけです、はい…。 あと、あけましたね。2024年も、元気

          noteのクリエイター名について

          【詩】小さな足跡

          不安から、色んなものに手を伸ばしてしまった。 沢山の人の肩を叩き、振り向いて、助けてほしいと願った。 触手のように一旦伸ばした手はもう止まることなく、伸び続けていく。 後になって、何度後悔しただろうか。 何度、私は同じことをしてきただろうか。 そんなことも、嵐が過ぎ去り、全てをひっくり返してしまった後になって、ようやく気づくのだ。 恥ずかしい、またやってしまったと、私は一人、どこか薄暗い場所にしゃがみこんで、悔いている。 冷静になってから、荒れた野原に戻ってみた

          【詩】小さな足跡

          【エッセイ】愛するということ

          今、どれだけその人を思いやれているだろうか。 自分自身を愛さないことで、許さないことで、大切な人を傷つけてしまうなんて、知らなかった。 私は、人と仲良くなることにいつも自信が持てなかった。仲がいい人たちを見ると、魔法を見ているように不思議で、なにか、彼らにしかない特別な能力や、魅力を持っている人たちなのかもしれないと、思っていた。それは友達同士でも、カップルでも、同じだった。人との繋がりを強く求めるあまり、私はその方法を一人で探し、彷徨い続けていた。 知り合いと仲良くなる

          【エッセイ】愛するということ

          【ショートショート】君の秘密

          いつもは私が、待ち合わせ時間に少し遅れて行くから、気づかなかった。 その日はめずらしく、たまたま早めに着いた。 私の家から二つ角を曲がったところの、開けた場所。 待ち合わせ時間を少し過ぎたとき、彼から連絡が来た。 「もう着いてるよ」 彼が通ってくるはずの道で待っていたのに、私が気づかないうちに彼は通り過ぎていたのだろうか。 私の家の前に戻ってみると、彼は年季の入った車の隣で、いつもの色褪せたダウンコートと大きなマフラーに顔を埋めて立っていた。 「あれ?私ずっとあそ

          【ショートショート】君の秘密

          【エッセイ】頭動いちゃうの、とめて

          「面白い話を作りたい」という欲求が二年くらい前に現れて、それからずっと私の隣に居座っています。どうしてなのか分からないけど、書いたこともないのに突然脚本を書きたいと思い、それなら先に演じてみようと、「劇団Clowncrown」に飛び込みました。その時劇団はインプロバイゼーションという、演者がその場の即興で話を作って演じる、という種類の演劇に力を入れ始めた頃で、頭を柔らかくしたい、そして物語を作ってみたいと思っていた私にはぴったりの場所でした。即興の舞台ではアドレナリンが出て、

          【エッセイ】頭動いちゃうの、とめて

          【エッセイ】はじめまして、千秋です

          はじめまして、千秋といいます。 大変今更ですが、ご挨拶みたいなものを書いてみようと思いました。 面白いお店(「隠し味は店主のツンデレ」)に出会ってから、ふとエッセイを書いてみようと思ったのをきっかけに、noteを始めてみました。 それからある人との出会いで、自分がいつも頭の中で妄想しているようなおかしな世界を、文章にしてみたらどうなるんだろうと思い、創作話のようなものを書き始めました。 その時は「ショートショート」というジャンルがあることを知らず、こんなに短くてよく分

          【エッセイ】はじめまして、千秋です