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世界一しあわせなブルーベリージャム
元気がなかったある夕食の日。
わたしの大好きなブルーベリーのジャムに布をかぶせて、
「ほらかわいいでしょ」
って見せてくれた。
ギンガムチェックの赤い大きな布きれを2階から持ってきて、彼と義母が協力してハサミでざくざく正方形に切り、藁紐みたいなので縛ってわたしにくれた。
その、なんでもないブルーベリーの瓶を飾るために。
それがなんだか、童話に出てくるおばあちゃんが被ってそうな帽子に見えて、かわいくて笑った。
自分で決断してここへ来た。
でも、ここに来たことを悔やみたくなるほどつらい日もある。
だけど、わたしをなんとか笑顔にするために
なにかしようとしてくれる人がここにいるんだってことを忘れちゃいけないと思った。
わたしは今日も、その藁紐をほどいてジャムの瓶を開ける。そしてフタを閉めて布を被せ、藁紐を巻いて元の位置にもどす。
そんなわたしを見て2人がくすっと笑う。
なんでもない日々の中に
世界一だって思えるような出来事が転がっている。
それに気づくか、気づかないか
ただそれだけだ