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5年待ってやっと行けたソロヴェツキー島

初めてのロシア旅行で訪れたキジ島をソロヴェツキー島と勘違いしたまま上陸した2011年8月。

帰国後、すぐにソロヴェツキー島に行けるツアーを調べ始めました。
ノーベル賞を取ったソルジェニーツィンが「収容所群島」を書き、ロシアが好きなら、負の部分もしっかり見たほうがいいと思い、どうしてもソロヴェツキー島へ行きたくなりました。


ソロヴェツキー島へ行くまでに読んだ本

近所の図書館で「収容所群島」を借りて読み始め、亀山哲郎さんという写真家さんが、ソロヴェツキー島へ行き、「北極圏のアウシュヴィッツ」という写真集を出版していたり、「やってくれるね、ロシア人」という本を出していたりしたので、それも図書館で借りました。

やってくれるね、ロシア人!

ソロヴェツキー島へ行きたいけれども、なかなか行くことができないという方は、「北極圏のアウシュヴィッツ」という写真集がおすすめです。前頁カラーです。

北極圏のアウシュビッツ


なかなかツアーが催行されず

2012年の夏から、毎年、ソロヴェツキー島のツアーに申し込みをしました。

しかし、ロシアへ行く人も珍しいのに、ましてやソロヴェツキー島へ行こうという人はおらず、毎年、2人の申し込みしかありませんでした。

ところが、2016年2月の時点で3人の申し込みがあると旅行社から連絡があり、その後、旅行社は営業を頑張り、8人でツアーの催行決定となりました。

ツアーの初日、空港で、毎年申し込み続けたもう一人の人にも会えました。もちろん、2016年2月に申し込みをした人にも会えました。

ソロヴェツキー島へ出発

収容所群島も読んでいて、ソロヴェツキー島に行って、無事に帰ってくることができるか心配をした母は、般若心経が書いてあるハンカチを私に持たせました。私も不安になり、ソロヴェツキー島に行く前に寄った修道院で旅の安全のイコンの話を聞き、そのイコンを買い、ソロヴェツキー島へ持って行くことにしました。

ベロモルスクという町から船は出ます。片道4時間です。

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8月ですが、船に乗るロシア人たちはみんなダウンコートを着ています。白海は夏でも水温が低いため、泳ぐことができない海です。

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島に到着したら、何度もエンストするこのバスでガタガタ道を移動します。

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1992年に世界遺産になったのと、ソビエト時代にいろいろ壊したため2016年は修復真っ最中でした。そして、修復が終わったら、真っ白なきれいすぎる建物に変わってしまうのだと思います。

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ソビエト時代のソロヴェツキー島

ソビエト時代のソロヴェツキー島はどんな姿だったかを夫から聞いたので、紹介します。

ロシアの500ルーブル札は、ソロヴェツキー島の絵です。上のお札は、古いお札で、今は出回っていません。下のお札が現在のお札です。

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違いが分かりますか?

上のお札は、ソビエト時代のソロヴェツキー島の姿です。

ソビエト時代は、収容所として使われていたため、教会の玉ねぎの形をした部分が壊されています。

お金もソビエト時代とロシアで変わったため、初めのころは、ソビエト時代のソロヴェツキー島の姿がお札に印刷されていました。しかし、ロシア正教会の人たちの指摘により、現在は、玉ねぎの形をした部分が描かれています。

このような古い500ルーブル札は出回っていないのですが、去年の12月頃、夫がスーパーへ行ったときのおつりでたまたまもらったようです。タンス預金をしていた人がたまたま使ったため、出会えたものです。


行ってから思ったこと

行きの船の中で気づきましたが、片道4時間船に乗ります。朝7時に出発し、島には11時に到着。帰りは、夜7時半に出発し、夜11時半くらいに到着でした。さらに、お昼はホテルで食べたため、観光時間は半日ほど。ソロヴェツキー島は大きい島で、いくつか島があります。半日では当然、すべてを見ることができません。そのため、収容所群島や亀山哲郎さんの本にあった、セキルナヤの丘へは行けませんでした。

旅行会社のツアー案内には、「収容所群島の舞台となったソロヴェツキー島へ行けます」とあるけれども、現地ガイドは、「修道院のことしか話をせず、強制収容所はなかった。ソルジェニーツィンは、実際にソロヴェツキー島へ来たことがないし、「収容所群島」の話は作り話だ。」とまで言いました。ソロヴェツキー島の修道院内は、ロシア人を対象にしたツアーも行われていました。私は、自分のガイドはロシア正教のことしか話さない人だったため、イヤホンガイドをつけたまま、少し離れてロシア人ツアーのガイドの話に耳を傾けました。すると、ロシア人には、しっかりと収容所の話もしていました。まるで外国人には話すなという規定でもあるかのようでした。

5年目にしてやっと行けたソロヴェツキー島でしたが、かなりの消化不良でした。

行ってから分かりましたが、キジ島と違って、ソロヴェツキー島にはホテルがあるため、片道4時間も船に乗るのなら、1泊して2日間観光できるといいのにと思いました。

もし、ソロヴェツキー島をじっくり観光したいという方は、ホテルを予約して宿泊する日程で行くのをおすすめします。

私はベロモルスクという町から片道4時間の船旅でしたが、アルハンゲリスクという町から飛行機(プロペラ機)でソロヴェツキー島へ行く方法もあります。しかし、夏でも天候不順な日が多く、飛行機(プロペラ機)の欠航も多いです。もし飛行機の場合は、足止めになる可能性も含めたゆったり日程を組んだ方が無難です。ソロヴェツキー島の空港は、とても小さいです。
ベロモルスクの他に、ケミという町からも船が出ています。

アルハンゲリスクは、モスクワから飛行機も飛んでいます。
ベロモルスクやケミという町へは、列車で行くしかありません。車でも行けますが、北方の方の道路は舗装されていない道が多く、ガタガタ道が多いです。そんな道をトイレを心配しながら行くよりは、揺れが少ない列車の方が快適な旅となります。寝台列車型(昼間も走っている)ならトイレも各車両についているので、トイレの心配をしなくて済みます。また、最近の寝台車は新型車両も増えてきています。


関連記事

モスクワにリニューアルオープンした「強制収容所博物館」には、ソロヴェツキーの資料も詳しく展示されています。

また、ソルジェニーツィンの家博物館も2018年にモスクワにオープンしました。








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チェブラーシカ
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