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■玉川上水と水道施設のある下町街歩き(京王線:代田橋駅~明大前駅)

あっという間に12月になりました。多忙だった秋があっという間に過ぎた感じです。今回は、しばらく前に探索した場所をご紹介したいと思います。京王線の代田橋駅から明大前駅にかけてです。このあたり、なかなか面白い構造物などが登場します。

■まずは今昔マップで確認

この付近の地図を見てみましょう。代田橋駅は、京王線で新宿駅から昼間の各駅停車に乗ると、2駅目という、都心にとても近い場所にあります。隣の明大前駅は、京王線と井の頭線の乗換駅で、その名の通り明治大学が近くにある場所です。甲州街道と玉川上水が流れている場所でもあります。そんな場所を散策しました。

代田橋駅・明大前駅付近の今昔マップ。
甲州街道が玉川上水を渡る場所が、「代田橋」なのですね。

■代田橋駅からスタート

代田橋駅。駅のすぐ脇に踏切のある、下町情緒漂う駅。
各駅停車しか停まらないので、通過電車だらけの駅です。
代田橋駅の駅名標。
笹塚駅と明大前駅という、特急停車駅に囲まれた駅です。
新宿寄りには、玉川上水を横断する橋が架かっています。
一番新宿寄りには、環七通りが走るという場所。
代田橋駅の改札口。結構静かな感じです。
連続立体交差工事が少しずつ進んできています。
駅前の商店街は、こんな感じです。
いきなりとても閑静な住宅街にやって来ます。
駅の南東側にある、玉川上水の橋。
何だか水道系のモニュメントが多い感じがします。
ゆずり橋という名前の橋です。手づくり郷土賞を受賞しています。
ゆずり橋は、かつての「玉川上水1号橋」であり、道が狭くて譲り合って
渡っていたことから、架け替えた際にこんな名前に変わったのだとか。
ここから暗渠へと変わる、玉川上水。
色々と歴史深そうな水道構造物などが集まる場所です。
こちらは、玉川上水を渡る京王線。
代田橋駅ホームは、後から延伸されたような感じがします。
意外と複雑な感じがする橋です。
昔ながらの雰囲気を残す玉川上水です。
玉川上水は、甲州街道(国道20号)に行き当たります。
このあたりに、かつて代田橋があったようです。
甲州街道から、代田橋駅に向かう道路。
なかなか良い感じの商店街です。
代田橋駅前の踏切に戻りました。
開かずの踏切のような場所。高架化工事が進んでいます。
代田橋駅の様子。昔ながらの駅という感じですね。

■水道施設をめぐる

代田橋駅の踏切を渡ると、和田堀給水所が見えてきます。

和田堀給水所。現在工事中です。
そしてこの道は、井の頭通りです。
そして、こちらが和田堀給水所の1号配水池。昭和9年に開設。

この和田堀給水所は、明治時代以降の東京市の拡張に伴い、水道需要が増加したことにこたえるため、従来の玉川上水からの給水だけでなく、村山貯水池から境浄水場を経て、ここまで給水するルートを開設した場所になります。井の頭通りは、和田堀給水所から西の水道管が敷設された直線道路に、車が走れるように補強された道路です。給水所の部分で大きくクランクしているのは、水道管をなぞっていて、給水所の上には道を通せないからです。目下井の頭通りを直線で通す道路改良を含めた工事中。これが進む中で、古い給水所の建物は解体される予定です。

とても立派な構造物なのですが、間もなく見納めです。
そして、クランクする井の頭通り。
電柱には、「送水」の文字が。なかなか楽しいです。
京王線を横断する踏切も、水道道路の方向に斜め横断しています。
甲州街道と井の頭通りが交差する、松原交差点。
この場所にあるのは、和泉水圧調整所という施設です。

和泉水圧調整所の場所で、かつては玉川上水の水路が旧水路と明治時代にできた淀橋浄水場に向かう新水路に分岐していました。新水路も、「水道道路」という名前で、淀橋浄水場跡の都庁付近にまっすぐ続く道が残っています。

井の頭街道の石碑。これもある意味、水道がらみなのですね。

■玉川上水沿いに歩く

代田橋駅から明大前駅に向かうのは、玉川上水跡を歩きます。この付近は既に暗渠になっています。

水車跡のすべり台がありました。何だか凝っています。
そして、地下から水管がニョッキリ顔を出しました。
サイフォンの原理を利用した水路橋がありますが、これが・・、
京王井の頭線の、玉川上水の水管橋です。
井の頭線は、この付近大規模な切土開削工事が実施されたようです。
切土の先には、神田川の谷部があります。

この付近の地図を、国土地理院の色別標高図で見ると、一目瞭然。人工的に尾根を開削して谷底の高さに井の頭線を通したのですね。

明大前付近の色別標高図。自然の尾根が細った場所を
井の頭線が開削して通されている様子がわかります。

開業当時の様子は、土木学会に所蔵されている、「土木建築工事画報 昭和8年2月号」に記載されています。玉川上水と甲州街道が交差するこのエリアは、井の頭線の工事に合わせて開削され、橋が架けられたのですね。さらに、玉川上水の橋梁は、将来の「帝都電鉄山手線(別名:山手急行電鉄)」の計画を考慮して作られたと聞きますが、この尾根の開削はとても大変な工事なので、果たして実現するならどんな線形になったのか?ちょっと難しそうですね。

土木建築工事画報のタイトル図面。いきなり山手線も含めた計画図が
書かれていて、とても壮大な計画ですが、実際は井の頭線の工事報告です。
玉川上水の水路橋と、甲州街道の橋梁の施工風景。
とても貴重な写真だと思います。


玉川上水水路橋の姿。大きな鉄管が印象的です。
水道管のある橋の渋谷側の状況。
甲州街道をくぐる井の頭線。

■明大前駅付近を歩く

玉川上水沿いに歩くと、こんなものが。暗渠になる前は橋があり、
親柱の跡だけ残されているようです。
明治大学のキャンパスの正面にあった橋のようです。
その先は、明治大学和泉キャンパスがあります。
休日でも、多くの人が来る場所でした。
明大キャンパス前から、甲州街道の跨線橋を見たところ。
恐らく何度か道路拡幅等により改造された橋なのでしょうね。
甲州街道から見た、玉川上水の水路橋。
ここだけ見ると、あまり山手急行電鉄が通る余地は無さそうですが・・。
甲州街道を渡る歩道橋の上から。
首都高と甲州街道の本線・側道があり、とても交通量の多い場所。
甲州街道の反対側から。
建物に挟まれた谷底にある、井の頭線。
駅前に近づきます。「すずらん通り」という商店街。
学生向けの安いチェーン店などが建ち並ぶ場所です。
上が、京王線と井の頭線の連絡通路
下が、井の頭線に挟まれた一般道。これこそ、明大前を代表する風景。
道路から見た、階下の井の頭線の駅。
一般道が横切る制約条件をクリアして、乗換通路を拡張した歴史があるのですね。
明大前駅からキャンパスに通じる道は、ずばり、「明大通り」。
明大前駅は、地上に道路、掘割に井の頭線、
そして盛土部に京王線が走る、ちょっと複雑な駅です。
京王線をくぐる歩道に架かる橋。結構古そうな橋です。
線路の反対側には、こんな橋が。井の頭線の線路を越える橋。
上部は、京王線のホームがあり、その下に歩道が通ります。
京王線明大駅のホーム下。どうやら古い部分から、利用客増加を受け、
増築した部分があるような感じです。
増築部が途切れる場所。恐らくホームの長さも、編成数の増加に
対応して、狭いスペースで拡張していたのでしょうね。
再び線路を潜る道路を行きます。主要駅の真下とは思えない静かな道。
明大前駅の新宿方ホームの先端部付近。
こうしてみると、とても狭い中、無理矢理ホームを拡張している図、ですね。
反対の八王子方ホームを見たところ。
廃レール(?)を使った鉄骨でホームを作っていますね。

■明大前駅構内から見る

さて、この駅を改札外から見ると、静かな住宅街と、甲州街道・大きな大学が同居する面白い場所だと思います。今度は構内から見てみましょう。

狭いホームのスペースを利用して、乗換通路があります。
とても複雑な構造の駅です。無理矢理増設したのでしょうね。
閑静な住宅街のすぐ裏側は、こんな姿です。
乗降客と、京王線・井の頭線の乗り換え客でいつも大混雑です。
駅コンコースから井の頭線を見たところ。
上の通路は新宿方面ホームと渋谷方面ホームの乗換通路。
正面は、先ほど歩いた一般道、やっぱりとても複雑です。
井の頭線の吉祥寺方面行きホームに来ました。
休日ですが、人・人・人です。
渋谷方面ホームを望みます。
一般道を避けて、新宿方ホームと連絡する通路が目立ちます。
甲州街道の跨線橋を望んだところ。
今度は、渋谷行きホームから、京王線と井の頭線の交差部を見たところ。
結構古そうな立体交差です。
吉祥寺方ホームと、少しずれた位置にホームがあります。
狭い中で工夫して5両分のスペースを確保したのでしょうね。
京王線の八王子方面ホームに来ました。
こう見ると、従来のホームと増築部分の境界がはっきり分かります。
八王子方ホーム端。狭いです。京王線も上下線のホームがずれています。
新宿方ホーム端近くから、現在進行形の高架化工事の状況が見えます。
現在線の南側に、新たに高架線の建設が始まっていますね。
こちらは、八王子方面ホームの新宿方ホーム端。
やはり、両端部はとても狭いホームです。
ひっきりなしに電車が到着するホーム。
首都圏有数の過密ダイヤの乗換駅と言っても良いでしょう。
今度は、新宿方ホームへ。井の頭線渋谷駅方面に繋がる連絡通路。
この下に一般道が通っています。吉祥寺方面には行けません。
井の頭線の線路が下を通る箇所。
こうして観ると、やはりとても複雑な駅ですね。
八王子方ホーム端に来ました。反対側で高架線の工事が始まっています。
用地買収等大変そうなので、長い道のりなのでしょうね。
いやー、本当に複雑な駅でした。

■終わりに

京王線の代田橋駅から、明大前駅まで歩きました。代田橋駅は、都心に近い割にとても閑静な住宅街の駅で、玉川上水と交差したり、和田堀給水所や和泉水圧調整所があったりと、水道施設が多いことも特筆される場所でした。そして、水道が敷設された場所にできた、井の頭通りなどの水道道路が特徴的な場所でした。そこから井の頭線と玉川上水や甲州街道の交差箇所は、鉄道敷設の歴史を垣間見ることができ、とても楽しい場所です。最後に訪れた明大前駅は、ただでさえ密集した住宅地の中に、無理矢理長大編成の列車を停めて、大量の乗り換え客を捌くために涙ぐましい工夫がされるという場所がありました。これからの立体交差工事でどのように変わっていくのか、それも含めて要注目の街だと思いました。

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