🎵雨の日に聴きたい歌⑨-1 涙と雨のハーモニー(5曲)♪
「雨の日に聴きたい歌」シリーズ第9弾。
これから3回に分け、「涙と雨」のセットに着目して選んだ曲をご紹介していきたいと思います。
✅前回記事はこちら👇
①LOVE(抱きしめたい)
歌:沢田研二
作詞:阿久悠
作曲:大野克夫
1978年9月発売のシングル曲。この年の紅白歌合戦のトリを飾った。
「だきしめたい」
「さよなら」
歌の中でリピートされるこの詞には、男性主人公の大きな心理的矛盾や葛藤が込められている。
そしてこの葛藤の大きさこそが、歌のドラマ性を高め、歌い手・聴き手、いずれの感動も誘うための決め手となる。
もちろん、沢田研二さん独特の艶とハリのある歌声も、素晴らしく魅力的。涙と雨に濡れる別れのシーンに、強力なリアリティを与えている。
②涙と雨に濡れて
歌:ロス・インディオス
作詞・作曲:なかにし礼
作詞家であるなかにし礼さんが、初めて作曲家としてもデビューすることになった作品。
和田弘とマヒナスターズ、三善英史さんなども 後にこの曲をカバーしている。
今回紹介する、ロス・インディオスのボーカル、棚橋静雄さんは惜しくも昨年秋、お亡くなりになった。
甘い中にも渋さの漂う、彼の優しいビブラートの大ファンだったし、私は今も魅了され続けている。
「男泣きしてぼくは 涙と雨にぬれた」という詞は、棚橋さんの歌声の特徴・表現力と最も相性がいいと感じ、聴き入ってしまう。
雨の中で熱いくちづけを交わしながら、泣いて別れる男女の姿。
日本の歌の哀愁シーンにはやはり、雨が欠かせない。
③夜明けの停車場
歌:石橋正次
作詞:丹古晴己
作曲:叶玄大
編曲:小山恭弘
1972年1月、2枚目シングル曲としてリリース。大ヒットとなった。
こちらは川中美幸さんの「遣らずの雨」とは対照的に、男性の後ろ髪引かれる想いが綴られている。
「きらいでもないのに なぜか」
「別れたくないのに なぜか」
このように歌の中で繰り返される言葉には、主人公の複雑な想いが凝縮されているもの。
「なぜか?」という自問に対し、自分でも明確な答えを出せないまま、愛する女性のもとを去る男性主人公。
そんな彼がこぼす涙と、降り注ぐつめたい雨が聴き手の心にも沁みる、そんな一曲。
④雨の物語
歌:イルカ
作詞・作曲:伊勢正三
1977年3月にリリースされた、イルカさんの大ヒットソング。
作詞・作曲者の伊勢正三さんも、のちに自身が所属するバンド、風のアルバムで、セルフカバーしている。
メロディも歌詞も、全体的にノスタルジック。
少し歌唱テクニック的な部分に着目すると、「窓の外は 雨」の「あ」という母音に感情を込めることで、この歌のせつなさ・哀愁が強調される。
これはタイトルにもなっている大事な言葉だから、という理由もあるが、日本語の歌においては母音の響かせ方をいかに工夫するかで、その歌の魅力・物語性に変化が生じるからだ。
イルカさんご本人も、「雨」のアをしっかり強調して歌っている(と感じる)。
⑤遣らずの雨
歌:川中美幸
作詞:山上路夫
作曲:三木たかし
編曲:高田弘
1983年9月リリース。
優しい別れ言葉をかけ、立ち去る男性に後ろ髪引かれる女性主人公。
愛する人を引き止めたい気持ちはあるが、それを言葉にはできない。
あるいは、してはいけない場面なのかもしれない。
その無念が「涙」となり、「遣らずの雨」となって、とめどなく降りしきる。
川中美幸さんの表現力の豊かさ、情緒あふれる間の取り方などにも魅了される一曲。
本日の記事は以上です。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました m(__)m