📚58【日暮れのあと】には明日への希望が 1019
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日暮れのあと
小池真理子(1952年東京都生まれ、1996年『恋』で直木賞、2020年夫で作家の藤田宜永氏と死別)
文藝春秋 253頁
2023/6/10初版
恋愛や性愛の描写なら、男性よりもどちらかというと女性が書いたものの方が好き。
男性が書く女性•性愛•恋愛観には、現実を幻想でラッピングしたような、女性にはこうであってほしいという理想のような期待のようなものを感じる。
理想と言うより「それ、アナタの思い込みですよね?」と思ってしまう。
個人の感想です。
本書は、恋愛•ホラー•ミステリー•サスペンスなど、様々な要素がある7つの短編で構成されている。
物語間に関連はなく、それぞれが独立したストーリー。
ホラーはちゃんと怖いです。
目次をご覧いただくとお判りの通り、1編が3〜40頁程度でとても読みやすい。
それでいて、1編1編が物語としてしっかりと読み応えがある。
夫•故藤田宜永氏の闘病生活や死別を綴った『月夜の森の梟』というエッセイは、朝日新聞連載当時に読んでいた。
小池真理子さんの、体の半分を引き裂かれてしまうような寄る辺ない悲嘆と思慕がひしひしと感じられた。
『日暮れのあと』は『月夜の森の梟』よりも後に出版されている。
収録されている作品の初出時期を確認すると、藤田宜永さんが亡くなられる前のものも後のものもある。
亡くなられた後に書かれた作品には、心なしか再生というか、淡い希望が感じられるような気がする。
愛を読むなら、藤田宜永さんより小池真理子さんの方が好みだと思っていた。
それは藤田宜永さんから受け取った愛が、小池真理子さんに書かせていたのだと、今ならよく解る。
日暮れどきはなんだか切ない。
でも日暮れのあとは、日暮れどきほどの切なさは感じない。
とっぷりと暮れてしまうと、却って明日への希望が湧いてくる。
読後感は、まるでそんな感じです。
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