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💁📚60【産む気もないのに生理かよ!】男性にも読んでほしい…… 1034


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産む気もないのに生理かよ!

月岡ツキ(1993年長野県生まれ、ライター•コラムニスト、創作大賞2024入選)

飛鳥新社 237頁
2024/12/15初版



大体において私は、うっかりと生きている。
読み終えてからうっかりと気づいた。
あれ、これってno+eの人じゃない?
そうでした。
創作大賞2024授賞式のお名前とお写真を拝見し、お洋服を覚えていました。
すみません、つっきーさん。


生理。
自然の摂理とはいえ、不公平で不便だと感じている。
「おめでとう」「大人の仲間入りね」「体が赤ちゃんを産む準備を始めたのよ」と言われて、「やったぁ‼︎」と思う女性はどれほどいるのだろう?


「女のくせに」「女性は優遇されている」「昨今は逆差別も甚だしい」「フェミはけしからん」と仰る輩には、漏れなく生理を経験してもらいたいと思っている。
体験じゃなくて経験だからね。
そこのとこよろしく。


誰もが感じる少子高齢化時代。
対策のほとんどが、「女がんばれ‼︎」なのはどうしたわけ?
休みやすく、復職しやすく、時短勤務しやすくしてあげるから、仕事も出産も育児も家事もがんばれって?
そんなん、しんどい(だるい•くたびれる)やん。


著者は子どもを持つことを望んでいない。
かと言って、子どもを持たないぞ‼︎と決意を固めているわけでもない。
子どもを持つことに積極的な理由を見い出せなくて、「子どもを持たないかもなぁ」という理由がたくさん思い浮かぶというだけのこと。


ニュースではたびたび「予期せず妊娠したが誰にも相談できず、公衆トイレや自宅で出産した女性が死体遺棄で逮捕」といった報道がある。どうして母親ばかりが逮捕され、父親はどこにいるのかも分からないまま許されているのかといつも腹が立つ。

1章 出産そのものに対する疑問•不安

レイプなら言語道断。
100歩譲って、気の迷いや勢いだったとしても、女ひとりでは妊娠しない。
自分の体を使って胎児を育て、リスクを背負って産んだ挙句、「無責任」「奔放」のレッテルを貼られ、罪人のレッテル。
男、狡くないか?


子供を産んだら体重が落ちなくなってショックだとか、抜け毛がすごくてショックだとか、乳が垂れてショックだとか、産後の尿漏れが治らなくてショックだとか、(中略)
人間の父親は心身ノーダメージで子供を持てるのに、どうして女ばっかり!

3章 母になることで失われるアイデンティティ

女性が自分の身を削ってまで子どもを産むって、神聖で神秘的で奇跡的で大した偉業。
反面、太古から繰り返されているから「女性なら当たり前のこと」だと思われている。
神聖でも何でも、辛いものは辛い、苦しいものは苦しい、痛いものは痛い。
いくら子どもが尊くても、垂れ乳も尿漏れもショックはショック。

産んだら産んだで母性愛を期待されてしまう。
可愛がって当たり前、世話をして当たり前。
母親だからウンチをきれいにするのは得意でしょ?
母親だから泣き止ませられるでしょ?
母親だから寝かせられるでしょ?
そんなわけあるかいな。


あのね、女性にしかできないのは妊娠•出産•母乳を授乳することだけ。
「だけ」と書いたけれど、どれも楽々できることじゃない。
体を張り、頑張り、我慢してるの。
逆に言うなら、それ以外のことは全て父親がメインでやればいいんじゃない?
母親だってゆっくりと眠りたい。


父親には稼ぐ仕事があるから無理だって?
だとしたら、父親が家事•育児をメインにできない社会システムがおかしいのだし、女性が稼ぐ仕事をしにくい社会システムがおかしいんじゃないの?
そうそう、父親の家事•育児は「お手伝い」ではありませんからね。


「無条件に子供を受け入れ、無償の愛というやつを惜しみなく与え」られない「母親失格」の人間に対して、実際に世間の風当たりは強い。

4章 子育てをするうえでの社会への不安

「障害のある子供が生まれたら育てられないから子供を産みたくない」という話をすると、「優生思想だ」と糾弾されがちなのだが、それは違う。
 特別なケアが必要な人を尊重する気持ちと、自分が誰かのケア要因として人生の多くの部分を捧げるのは嫌だという気持ちは、当たり前に両立する。

4章 子育てをするうえでの社会への不安

病気や障がいのある子どもを望む親は、恐らく多くはない。
健常で生まれても、後に発達障がいが判るとか不登校になるとか犯罪者になる可能性はある。
母親だって葛藤するわ。
私ならきっとハゲるほど悩むし、惑うし、泣き叫ぶし、誰かに八つ当たりするかもしれない。


目もかけてくれない、手も貸してくれない世間様から「母親失格」の烙印は要らない。
なぜ母親だから受け入れられると思うの?
母親だって感情のある人間なのよ。


著者が言いたいのは「そんな子供が生まれたら嫌だ」ということではないと思う。
嫌なのはきっと、「母親なんだから全責任を負って世話をするのが当然でしょ?」という世間であり、そうせざるを得ない社会。


「お母さんおひとりでシャカリキに頑張らなくても、社会資源を頼っちゃってくださいね。足りないサービスは作っちゃいましょう。協力しますよ」という社会には程遠いってこと。
必要なのは、「大変そう」という同情じゃなく、もし自分が同じ境遇になっても大丈夫という安心感なのに。


「女は楽でいい」なんて寝言だ。寝言は毎月下腹部から出血してから言ってほしい。

5章 それでも消えない「子供を産まない選択」への不安•ゆらぎ•憤り

私も冒頭で同じようなことを書いた。
母は生理が軽かったらしく、私は経血が多くて閉口した時期はあれど、生理前や渦中の体調不良はほとんど感じなかった。
妹は痛みで卒倒したことがあるし、娘にはPMSがあった。


実に人それぞれ。
個人差が大きく、女性同士でも想像できないくらい。
いつやって来るのか判らずビクビクソワソワ、遅れたら遅れたで不安になる。
準備万端のつもりでも、思いがけない漏れには恥ずかしくて居た堪れない。


「女性は生理って言えば休めていいなぁ」なんて言う輩は、休みをあげるから代わりに生理になってみればいい。


私自身は子どもを持つことに対して、あまりにもお気楽すぎた。
だからこそ産み育てることができたのだと思うし、後悔はしていない。
子ども達は私の所有物ではないけれど、間違いなく宝物だ。


シングルだし、子どもからソッポを向かれている仮面家族。
子ども達は結婚も子どもを持つこともしたくないと言うのだから、母親失格もいいところ。
それでも子どもがいる人生で良かった。

だからと言って人様に、子どもを産むべきだとか育ててみた方が良いと言う気はない。
寧ろ、いろんな選択を許容できる方が社会として成熟しているのではないかと思っている。

既婚で妊娠可能年齢で産める状況だけど「産む気がない(仮)」著者。
いいじゃない、誰も彼女を責めるなよ。
責める前に、「既婚で妊娠可能年齢で産める状況なんだから産むべきだ」というオツムを切り換えなよ。


生理に不自由や不便があって、妊娠•出産に心身のリスクがあって、育児にも代償が伴う。
素晴らしいことだからといって、押し付けたり押し付けられたりするものじゃない。
不自由も不便もリスクも代償も、代わりに背負ってはくれないんでしょ?


産む選択にも産まない選択にも、数え切れないほどの理由があったって、何の不思議もない。
たとえどんな選択をしようとも、誰からの評価も要らない。(2/3)





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