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藤本智士×浅田政志 「アルバムのチカラ」を読みました

先日、古本屋さんの写真集コーナーで気になる本を見つけて買いました。

2015年3月5日に発売された編集者の藤本智士さんと写真家の浅田政志さんによる『アルバムのチカラ』、2020年10月2日公開の二宮和也さん主演映画『浅田家!』の原案にもなっている1冊です。

この本には、2011年3月11日の東日本大震災で、津波によって流されてしまった泥だらけの写真とアルバムを洗浄して返却する人々の姿を取材したようすが収められています。

自衛隊の人たちが写真を道端に避けてくださっていたこと。
被災者の方々が変わり果てた自宅の前で必死になってアルバムを探していたこと。
東北各地でボランティアのみなさんが協力して、写真の泥や汚れを洗い落として、干して、乾いたら袋に詰めてファイリングしていたこと。
どれも初めて知ったことばかりでした。

ほとんどのボランティアの方々が初めての作業のなかで、「ぬるま湯で洗った方がいい」「顔がわかりやすい写真を最前面に」「未処置のアルバムは痛みがひどくならないように冷凍保存を」と試行錯誤しながら、「大切な思い出を持ち主の元へ戻そう!」と写真を洗浄して修復していたそうです。

個人的に、FacebookやInstagramで出てくる「過去のあの日」という機能が好きです。

いまどれだけ苦しかったり悲しかったりしても、ふっと上がってきた数年前のたった1枚の写真を見て、何度「わ!そういえば◯◯したな〜、また◯◯したいな」「あ〜◯◯さん会いたいな!連絡してみよう」と前を向いてきたかわかりません。写真に残っている瞬間ほど、記憶にも残っています。私は「写真のチカラ」を信じて、これまでもこれからも写真を撮り続けていくだろうと思います。

いまではスマートフォンで写真を撮って、自動でクラウド上にデジタル保存するのが日常になっていますが、最近ちょうど祖母の家を片付けていたら、小さい頃に実家で飼っていた猫のフィルム写真を見つけました。すっかり忘れていましたが、アルバムにして祖母に贈ったものでした。もう実家ではフィルムも写真もどこかへいってしまったので、母と「かわいい!なつかしいね〜」と話しながら、心があたたかくなりました🐈

もし、自分や家族が被災して亡くなってしまい、どこかのクラウドに写真が保存されていたとしても、それらのデータに気付いてもらえないこともあるかもしれないですが、こうして東北のように写真がプリントされていたからこそ、誰かが拾い集めて、誰かの手に渡っていくことがある。いまの時代は最先端のデジタルばかりが便利だと思い込んでしまっていましたが、アナログの素晴らしさに気付かされました。

これを機に、あらためて写真をプリントして、アルバムにも保存しておこう!と思いました。久しぶりにフィルムカメラで遊ぶのも楽しそうです。

2020年9月26日に発売された「アルバムのチカラ増補版」では、2018年の西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備町での写真洗浄活動を新たに取材して、写真洗浄のノウハウを各地でシェアできるよう、洗浄方法のマニュアルも収載しているそうです。

みなさんの愛にあふれた想いや考えを読み進めながら、何度も何度も胸が熱くなって涙が出てくる本でした!ぜひ興味のある方は、ご覧になってみてください。

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