読まずに読書会?!「『罪と罰』を読まない」で読書はもっと楽しくなる
私が声を出して笑った大好きな本のタイトルは、「『罪と罰』を読まない」(文春文庫)。
あなたはドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことがありますか?私はありません。名作って言われているけど、なんだか難しそうで手に取ったこともありません。でもこの本、「『罪と罰』なんて読まないぞ!」という本ではないですよ。
この本は、ユニークな読書の楽しみ方を提案してくれる本です。『罪と罰』について、なんと、読んだことがないメンバーだけで読書会をするという斬新過ぎる試みのノンフィクションなのです。
その読書会のメンバーが全て本に関わるお仕事をしている4人、作家の三浦しをんさん、翻訳家の岸本佐知子さん、クラフト・エヴィング商會という制作ユニットを組んで著作・装幀デザインを手がける吉田篤弘さんと吉田浩美さん。
この本の前半は、4人が『罪と罰』を読まないまま、少しのヒントからストーリーを読む(推理する)→妄想しまくる"「読まずに読む」読書会"。後半は全員が『罪と罰』を読んでざっくばらんに感想をぶつけ合う読書会。
私は、本を読むことは著者のメッセージを受け取る受け身なものだと思っていましたが、この本を読んで、「読む」ことは本来もっと自由で創造性の高いものだったのだと気づきました。
私がこの本で特に好きなところは、"「読まずに読む」読書会"で、4人の妄想が専門家ならではの感性で暴走しまくるところなのですが、どこがどう好きか、って語り始めると、もぅ熱くなりすぎて空回りしそうなので、この本のすごく素敵なレビューをご紹介します。
このレビューを書いたのは、アートやニッチ・カルチャー好きのチームのバース(BIRTH VERSE BERTH)さん。レビューを書いたクリエーターさんは、『罪と罰』を既に読んでいて、その魅力を存分に知っている方で、"私にとって『罪と罰』は手元に置き続け、読むたびに心を掴まれる大事な本の一つです。"とおっしゃっています。
このレビューの素敵ポイントは、「『罪と罰』を読まない」の読みどころがわかりやすいのはもちろん、"「読まずに読む」読書会"を実際に試しているところです。それも、小説ではなく、ビジネス書の名著『七つの習慣』で。『罪と罰』とは違う分野の本に応用することで、"「読まずに読む」読書会"の新たな活用法を提案してくれています。
また、このレビューを読めば"「読まずに読む」読書会"のやり方がわかりますから、こんな楽しみ方もできるのではないでしょうか。まず「『罪と罰』を読まない」を読まずに"『罪と罰』を「読まずに読む」読書会"をやってみる。ひとり会議でもOK。それから「『罪と罰』を読まない」を読んで、三浦しをんさんたちの妄想した『罪と罰』と自分の妄想ストーリーを比べてみる。いかがでしょうか?
もっと色々な読書の楽しみ方はないかを考えるだけでわくわくしてきます!「読む」って楽しい。