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古巣を旅立ち新しい挑戦をする時に読み返したくなる愛読書「大草原の小さな家」のローラと私
小学生の頃からの愛読書がある。
ローラ・インガルス・ワイルダーの「大草原の小さな森」シリーズだ。
何度読んでも新しい発見があり、勇気づけられる。おうち時間のおともにぜひ。自分の子どもができたらおすすめしたいと心から思う。
アメリカ西部開拓の時代に、理想の土地を求め、ウィスコンシン州から始まり、西部のいくつかの街を点々と移住するインガルス一家。一家の次女、ローラが幼少時代から家を出て働き始め、結婚して子供ができるまでをつづったシリーズ本。
✳都立図書館ホームページリンク・訳者の解説
小学生の時もこの本を題材に感想文を書いた時も、同じこと記した覚えがある、
「読むたびに発見がある」と。
中学時代は、進学塾での順位がつく厳しい試験では、直前までこの本を読んで心を落ち着かせていた。
受験勉強の時には、主人公のローラが先生になるために、毎晩自分の気持ちを抑えて必死に勉強する姿に、自分を重ね合わせていた。
そして大人になった今、読むと心に響くのは、シリーズ7作目「この輝かしい日々」の中の、15歳のローラが初めて大草原の家族の元を離れ、遠く離れた町で先生として働き始める時の一節。
「私にできると思う?、父さん?」と、ローラは言った。
「もし·····ねえ?もし生徒たちが、私がこんなに小さいのを見て、いうことをきかなかったりしたら。」
「もちろんできるとも。」と、父さんはしっかりといってくれた。
「今までやろうと思ったことで失敗したことなど一度もなかっただろう?」
…
「与えられた仕事には、いつだって本気で取り組んできたじゃないか。」父さんはいった。
「決して逃げたりせず、いつだってやり遂げるまで一生懸命に努力しただろう。成功するということも習慣になるんだよ。何でもやり続けているうちに、そうなるようにね。」
ローラはいつだって新しいことに挑戦してきた。いつもそうしないわけにはいかなかったから。
そして今回は学校で教えなければならない、
そういうことなのだ。
「プラム川にいた時のことを思い出してごらんよ」と父さんが言った。
「父さんと母さんが町へ出かけている間に、猛吹雪がやってきただろう?そしたらお前は外にあった薪を、全部うちの中へ運び込んだじゃないか。」
ローラは大きな声で笑い出した。あのずっと昔のローラったら、なんてちっちゃくおどおどしていて、滑稽だったことだろう!
「あの時みたいに、何にでもぶつかっていけばいいんだよ!!」と父さんはいった。
「自信を持つことだ。そうすりゃ、どんなことにも負けるもんか。まず自分自身を信頼すること。他人に自分を信頼してもらいたいと思ったら、そうするよりほかないね。」
のちに夫となるワイルダーさんに、猛吹雪の中、
20キロの道のりを家まで馬で連れ帰ってもらった後、久しぶりの家に帰ってきて妹に話す場面
「キャリー、こんな家で暮らせるなんて自分はなんて幸せって、あんた考えたことある?」
「うちを出ていく時がくればわかるわ。」とローラは言った。
むかし町が大嫌いだったことなど、ローラはすっかり忘れていた。眩しくいきいきとした朝だった。
・・・
(いつもこんなふうに暮らせるんだったらあたし、なんにもいらないわ。)
(でもうちにいられるのが今夜と明日の朝だけだからよけいにそう思うのかもしれない。)
私は21歳でようやく、しかも自分の意思で親元を離れて、仕事に就いた。
家族の暮らしを支えるために、努力して先生になり15歳で20Kmも離れた遠い街で働くことになるローラとは比べ物にならないのだが、
それでもこの言葉は痛いほど胸に響く。
いつだって、古巣を飛び出す時には、不安、後悔とまではいかずとも後ろ髪をひかれる思い、戸惑い、胸の痛みがある。
しかしローラの言う通り、いつだって、新しいことに挑戦してきたし、それがまた次の挑戦への原動力にもなるのだ。
この本をこれからも人生のパートナーとして読み返しながら、ローラのように前向きに荒波をこえていきたい。
(2015年9月の日記より)