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記事一覧

【短編小説】 隠されぬ恋 4

   残された女性に目をやると、机に両肘をついて力なく下を向いていた。仕事を抜けてきたっ…

吉奈
1年前
13

【短編小説】 隠されぬ恋 3

 カウンターキッチンに戻り客たちから背を向けて棚を整理整頓するフリをする。身体の中にある…

吉奈
1年前
13

【短編小説】 隠されぬ恋 2

コーヒーを持っていくとそのテーブルだけ軽快なジャズの音楽は失われ、まるでエアポケットの中…

吉奈
1年前
13

【短編小説】 隠されぬ恋 1

 こじんまりした店内には有線放送のジャズが流れている。そのジャズ特有なリズムを無視するよ…

吉奈
1年前
15

【短編小説】 karma 3

 それからしばらく僕はSNSを見ることはなかった。急に全てが恥ずかしかしくなってしまった。…

吉奈
1年前
20

【短編小説】 karma 2

 karma ウイルスを流して二週間ほど経つと、karma の効果が顕著に現れ始めた。karma の効果は…

吉奈
1年前
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【短編小説】 karma 1

 大学の授業と長時間の肉体労働のアルバイトを終え、狭いアパートに帰宅し時計を見ると、深夜一時を過ぎようとしていた。もうこんな時間か。帰宅途中のコンビニで買ったコーラを一気に半分までゴクゴク飲むと、冬の夜風に熱を奪われた身体がさらに冷やされて大きく震えながらも、糖を歓迎しているのがわかる。コーラと一緒に買った惣菜パンは狭いキッチンスペースへ袋ごと放り投げた。  身体に残った僅かな気力だけでシャワーを浴びたあと、ベットにうつ伏せで倒れ込む。もうなにもしたくない。惣菜パンの存在を思

【短編小説】 ラッキーフード

 今日のおうし座のラッキーフードはおはぎ。  今日の占いをアプリで確認すると、スマホから…

吉奈
1年前
15

【超短編小説】 あの子

 あの子、また可愛くなった。  ほんの最近まで顔文字みたいな印象だったのに、マンガのヒロ…

吉奈
1年前
8

【超短編小説】 電車

 ダイヤ改正によって役目を終える電車に、小さな子供が「カッコイイ!」と大きくめいっぱい手…

吉奈
1年前
10

【超短編小説】 孤独

 六畳一間で独り、冷め切ったおでんを食べる以上の孤独が、この世にあるだろうか。  こんな…

吉奈
1年前
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【超短編小説】 一人暮らし

 夢だった一人暮らしを始めた。  ネットで調べた人気のお酒を何種類も買った。できれば瓶に…

吉奈
1年前
18

幸せサプリメント

 『幸せサプリメント』これを一粒飲むだけで、幸福を感じることができる。政府から国民に、一…

吉奈
1年前
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お年玉ゲーム 2023

「あや、お年玉ゲームをしよう」  ヨレヨレのジャージを着た親戚のおじさんが、わたしの目の前にドスんと胡座をかいて座った。悪戯な顔をして笑うおじさんが、わたしは前から少し苦手だ。  「ゲーム?」わたしは反射的にのけ反ってしまった。 「あやももう十歳だろう?このくらいのゲームは理解できるはずだ。でも、お母さんには内緒だぞ」  おじさんはニヤっと笑い、わたしの前に赤いポチ袋と白いポチ袋を並べた。 「ここにあやへのお年玉が入っている。どちらか好きな方を選ぶといい。ただし、どちらかには