正しいってなんだろう
先日、海外のBTSファン(以下army)の方が、
あるarmyがTwitterを去ったことを嘆き悲しむツイートをしていました。
彼女は誹謗中傷に耐えられず、Twitterから去ったと。
そのarmyは、オンラインコンサートのような有料コンテンツや、各国・各局のテレビ放送等をTwitterで配信していたようです。
日本に住む皆さんは
『違法なのだから、そんなの批判されて当然だ』
『有料コンテンツを垂れ流すなんてとんでもない』
と思うでしょうか。
そう思う人が多い気がします。
ただ、私はどうしても複雑な気持ちになります。
それはある一つの経験によるものなのですが、
今回はその出来事についてお話しします。
2020年の春頃だったと思います。
Instagramでアメリカ在住のarmyの男の子と繋がりました。
年は同じくらいか、私より下だったかと思います。
少し話した後に、
“BTSのグッズは持ってる?”
と尋ねられました。
“うん!今ではもう数え切れないよ”
と私は答えました。
そうすると彼はこう聞いてきたんです。
“君はiPhoneを持ってる?”
と。
私は
“持ってるよ、今もiPhoneを使っている”
と答えました。
そうすると彼はこう言ったんです。
“You’re so rich”
と。
“rich”
裕福。そんなわけはない。
私は大学に行くのにも奨学金を借りているし、
毎日贅沢ができるわけでもない。
めちゃくちゃ普通の20歳だ。
だから私はすぐに否定しました。
しかし、彼はこう話しました。
“僕はiPhoneなんて買えない。今も隣の家のWiFiを盗んでこうしてSNSをしている”
“グッズはひとつも持っていないし、コンサートに行ったこともない”
“だから君は裕福だ”
かなり衝撃的な答えでした。
私にとって、持っているのが当たり前なiPhoneは、彼にとっては裕福な証だったのです。
私は彼に何も言えなくなってしまいました。
と、まぁ私はこういう経験をしたわけです。
話は少し変わりますが
BTSのファンダムには、
『各国のiTunesランキングで1位にしよう!』
という動きがよくあります。
(他のファンダムにもその動きがあるか不明)
例えばメンバーのソロ曲を、そのメンバーの誕生日に各国のファンが時間を合わせて購入し、一位にする、という感じです。
この企画は金銭的事情で参加したくてもできない人がいます。
そういった人のために、一曲を買うためのお金を寄付するファンの方がいます。
ちなみにiTunesは一曲255円です。
この寄付活動は海外の他ファンダムではよく行われていたことのようなのですが、
これが日本でも広がった時に
『お金を貰ってまで一位にしたいのか』
『不正だ』
『お菓子を一つ我慢したら買える値段だろう』
などとお金を配る人や貰う人に対して批判する人が沢山いました。
私はこの時も、アメリカのarmyとの会話を思い出し、複雑な気持ちになりました。
世界には、日本円で255円の一曲さえも躊躇して買うことができない人がいるのは確かなんです。
それはもちろん、日本でも同じです。
一曲を買うことさえ躊躇するのに、
他の有料コンテンツを購入することは絶対にできないでしょう。
しかし、そういった人々も、私たちと全く同じarmyです。
これらの事実を踏まえた上で、
今回Twitterを去ってしまった彼女がしてきた行いが不正であったのか、
私に判断することはできません。
裕福であろうが、貧困であろうが、
音楽を愛する権利は、アーティストを愛する権利は誰にでもあります。
しかし、お金によって愛し方が制限されるのも事実です。
彼女はきっとその不平等を無くしたかったのだろうと思います。
では、彼女の行動によって救われていた人が確かにいたのなら、彼女の行為は“正義”だったのでしょうか。
それとも、やはり法に反した行動であるから“悪”なのでしょうか。
それは彼女を徹底的に中傷し、精神的に深く傷つけてまで罰するべき“悪”だったのでしょうか。
私には判断しかねます。
そして自分の中で結論も出ていません。
しかしこういった話題を目にする度に、
私はアメリカのあの男の子のことを思い出します。
皆さんはどのように考えますか?