見出し画像

読書感想11冊目:後宮茶妃伝三 寵妃の愛で茶が育つ/唐澤和希著(富士見L文庫)

 注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。

ここから本文

 第一巻から一貫して「茶」のお話。いよいよ三冊目。
 茶道楽も極めれば神髄。そんなお話。お茶が大好き皇后こと采夏さんの高級生活第三巻。
 (第一巻の感想はこちらから。第二巻きの感想はこちらから。)

 第一巻はお茶を絡めて腐った政治を行っていた宦官を廃す、クーデター的なお話。
 第二巻は政変後の動きのお話。青国の立て直しの最中に懐中に敵あり、膿は一気に出したいもの、なお話でした。

 第一巻が国の中心の悪い部分を直すという道筋、第二巻は内政の立て直し。
 次に来ることとといえば、やはり王様の「世継ぎ問題」といったところ。

 第二巻から側室を迎えた青国皇帝黒瑛さん、その頃から四つの名門貴族から妃を迎えるとありましたが、第三巻にて冒頭より新たな妃の登場。
 皇后采夏は南州の族長の茶家の娘、第二巻登場の月妃、北州族長の末娘、呂燕春(りょ・えんしゅん)に加えて西州の長の娘である劉秋麗(りゅう・しゅうれい)は風妃に、東州の長の姪の江冬梅(こう・とうばい)が花妃にと迎えられます。
 いまさらのお話として、妃の位の名前は「花鳥風月」、妃方の名前は「春夏秋冬」になっていると気づいた次第です。風流!
 (今巻では登場せずですが、鳥妃はまた別の貴族の縁者らしいです)
 この妃方、采夏ちゃんの個性に負けず劣らずの個性派揃い。

 皇后采夏は茶道楽。
 燕春月妃は乙女主義(皇帝と皇后のらぶいちゃ大好き)
 冬梅花妃は男装の麗人で可愛いもの大好き。
 最後に秋麗風妃は気位の高い美女、と思いきや、後々に百合要素に。

 ほんと、個性だらけですね……

 ただし、妃それぞれに思いや背負っているものはあるので、そのあたりを主軸に采夏ちゃんと関わってきます。

 前半が秋麗風妃のお話。
 お色気攻撃で皇帝に迫る秋麗さん。皇帝黒瑛は采夏ちゃん一筋なのでまったくなびきもせず、采夏ちゃんとのばちばちもあまりなく(というか茶大好きすぎて話が常にそちらにずれる)、そんなこんなでキャットファイトに発展するかと思いきや。
 お茶が全てを解決します!(いつも通り)
 ここでは「闘茶(トウチャ)」が登場し、最終的に外交にも役立ってしまうと言う、茶の奇跡。
 白毫銀針のお茶の話を見ていると「飲みたーい」となりますし、「闘茶」も味わってみたいなぁと思いました。
 見事にツンデレ化する秋麗さんは、日頃の努力による美を見習わねばと思うとともに、かわいいなぁの一言です。

 後半は冬梅花妃のお話。
 こちらは皇后采夏の風評被害の回収が主になるところかと。
 冬梅花妃、皇后をかわいらしく好ましく思いながらも後宮を統べる「主」としてはなかなか押し戴くことはできない様子。
 しかも故郷は災害に見舞われ、皇后に対する評価も厳しい地方の様子に彼女としてもいろいろと思うところで……
 こちらでは、前半の伏線を回収する見事な茶の奇跡があるのですが、采夏ちゃんの茶への異常なる愛が全てを救うのか、茶、そのものがやはりすごくて全てを救うのか。もはやこの青国は茶によって支配されていると言ってもいいのかもしれません。
 青国、そのうち茶の神様とかちゃんと奉った方がいいんじゃなかろうか。

 要所要所に出てくるお茶の話は、いつも本当に美味しそうで喉が鳴るばかりです。
 紅茶も好きですが、中国茶もいろいろ勉強したいなぁと思ったのでした。
 (毎度変わらず采夏ちゃんの淹れてくれるお茶が飲みたいと思いつつ)

 最後の最後に。ちょこちょことあふれる采夏ちゃんの皇帝へのらぶらぶ要素は、ちょっぴりですがやはりときめき要素ですね。

 今回はこのくらいで。そして現在三巻までなので、今後の続刊も楽しみに。

公式サイトはこちら↓

元原作はこちら↓

https://ncode.syosetu.com/n4701gm/

コミック版はこちら↓(やわらかスピリッツでは1話が読めます/2023.8月現在)

 お読みいただきありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集