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読書感想10冊目:後宮茶妃伝二 寵妃は愛で茶を沸かす/唐澤和希著(富士見L文庫)

 注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。

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 前巻での導入は、道楽、という言葉から始めて見ました。
 今回そのふまえはもうあるものとして、第二巻。
 (第一巻の感想はこちらから。)

 前回はお茶を絡めて腐った政治を行っていた宦官を廃す、クーデター的なお話がもとでしたが、今回は政変後の動きのお話。
 悪いやつを倒してめでたしめでたし、みんな幸せに暮らしましたとさ。
 とはなかなかうまくいくわけでもなく、青国は現在立て直しの真っ最中。

 第一巻が国の中心の悪い部分を直すという道筋、次に怒ることと言えばだいたいお世継ぎ問題や国内のいざこざの平定が主になるものです。
 例に漏れず、今回は大きく「黒瑛陛下、側室を持つの巻」と「青国とお茶の交易の巻」の流れで進んでいきます。
 始まりは疲れた黒瑛陛下にバター茶をふるまう采夏。
 采夏自身はあまり好みではない(茶本来の味が薄れて感じられる)が、これもひとつの飲み方と心得て黒瑛さんに振る舞うあたり、茶道楽らしい「おいしいと思える茶を飲もう!」の心意気があってあっぱれです。
 続いて「三道茶」と呼ばれる三杯の茶を振る舞うのですが、さすが茶飲みの才能の持ち主、黒瑛さんも存分に堪能します。
 この時点で側室を迎えることが決定されて二人とも納得している段階ですが、そんなことを心配する必要もないのろけエピソードがこの「三道茶」で表現されていたり。

 そして、現れる北州のお姫様、燕春(えんしゅん)姫。政治的絡みで入内したものの、本人はあまり乗り気でない様子。
 なんなら苦しい思いをするくらいなら自害してしまおうなんて思い詰めているほど。
 そんな燕春姫をお茶で懐柔してしまうのが采夏さん。
 そして燕春姫、実は大の物語好きということで結局はやりの物語となっている主人公を目の前にしていると気づけばもう完全に采夏側のお人です。
 個人的には変人のそばには変人が寄ってくる、というセオリーを見事に踏襲しているなぁと安心の心地。そして燕春姫、あの平安時代の姫に似ているんですよ。物語好きすぎて仏様に叱られた某日記の姫に。だから結構好きなキャラです。その後にいい感じの暴走もしてくれますし。

 そんなこんなでさらりと側室問題は解決するのですが、本筋はこれから。
 燕春姫の故郷で作られている碧螺春(へきらしゅん)と呼ばれるお茶を発端として、前時代からの膿出しが。
 どうやら北州でなにか起こっているらしいぞとお茶から(!)気づいた采夏の話をもとに、北州から燕春姫の叔父である呂賢宇を呼び寄せ話を聞くことに。
 そこに同行していたのは、なんと青国と以前に交易を断絶し、現在は青国からの交易復活の申し出を突っぱねたというテト族の青年、ウルジャ。
 彼は青国に悪感情を持って入国しているけれど、呂賢宇の従者となっている。そこには事情がありそうで……?

 今回も、今までと変わらずお茶が国とすべてを救う、そんなコンセプトで話は進んでいきます。
 最初と最後にうまくいろんなことがつながっていく流れはやはり飲み(読み)心地の良いお話で、楽しくすっきり、リラックスして読了することができました。
 バター茶、ミルクティーにバターを入れた感じ……? と思い、のんびりする日に飲んでみようかなと思う次第です。巻末でレシピが紹介されています。
 「三道茶」も飲んでみたいなと思いつつ、そこまで深い人生をまだ生きていないな?と思い、今回は子のあたりで。
 (今回もやっぱり、采夏ちゃんの淹れてくれるお茶が飲みたい)

公式サイトはこちら↓

元原作はこちら↓

https://ncode.syosetu.com/n4701gm/

コミック版はこちら↓(やわらかスピリッツでは1話が読めます/2023.8月現在)

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