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愛の器と、悲しみを溶かす海
自分自身の持つ、「愛の総量」を増やして、いつしか他人にも分け与えられるくらいに沢山の愛を持てるひとになりたい。
こんなことを想ったのは、いつのことだろう。たしか、今年の初めくらいだったと思う。まだまだ、手袋なしでは手がかじかむくらいの寒い時期。
あの頃は、私のもつ「愛の総量」はとても少なかった気がする。「心が満たされる」という感覚をほとんど知らなくて、誰かからもらう優しさの断片に、私は日々生かされていた。
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◇◇◇
とても好きな言葉がある。
「人はそれぞれが自分に合った愛の器を抱えています。
愛というのは、その器の大きさだけしか受け取れません。
どれだけ相手の愛が大きくても、自分の愛の器が小さければ、溢れてこぼれてしまうのです。
どれだけ素敵な人があらわれても、自分の愛の器が小さければ、幸せを受け取れないのです。
幸せな恋愛がしたいなら、それを受け取れるように、愛の器を大きくする必要があります。」
Twitterで有名な恋愛心理カウンセラー、ひでまるさんのお言葉です。
恋愛以外においても、全ての人間関係に通じるものだと思う。
友人愛。家族愛。恋人愛。
愛を受け取って、与える。愛で溢れた人になる。
そう思い描いた日から、まずは自分の日々で愛を満たそうとしてきた。
大好きな友達と遊んだ日、バイト先でお菓子をもらった日、会社でいろんな人がデスクに来てお菓子をくれた日。
(お菓子ネタ多い(笑))
どんな小さなことでも、一つ一つの誰かのやさしさに、「愛」を感じ取って、感謝する。幸せをかみしめる。
その動作を大切にすることが、
この9か月間のわたしの全てだった。
そして、不思議なことに、気づけば自分を取り巻く環境だけでなく、自分の人生にちゃんと恋ができていた。
花を愛でること、空を慈しむこと、誰かと笑い合うひとときを尊ぶこと。
どの瞬間にも、愛おしさを感じれるひとに。
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◇◇◇
少し前、大切な人ができました。
今日の幸せを、あきらめないで生きていて良かったと、毎日思わせてくれる、とてもとても素敵な恋人です。
彼とお付き合いを始めてから、生まれて初めて、幸せすぎて泣きました。
ひとは、かなしくてつらい時だけじゃなくて、うれしくてしあわせな時にも、涙が溢れる、素敵な美しい、いきものであることを知りました。
出逢ってくれて、ありがとう。
彼は、毎日両手からこぼれるくらいに愛をくれる人で、私がそのことに感謝と尊敬の念を伝えた時、
こちらこそ、気持ちを受け入れてくれてありがとうと、伝えてくれて、その時ふと、ハッとしました。
今の私は、人からもらう愛をまっすぐに受け止められるんだなと。
自分自身の持つ愛の器を大きくすることで、
その器に入る愛の大きさも広がって、
その愛の器に見合った量の、たくさんの愛を、自分が持てるから、
誰かに対しても惜しみなく愛を与えられるのだと。
そして、その愛の器を大きくする術は、
何よりも、自分自身と自分の生きている「今」を愛することなんだって。
これから、もっともっと、愛の器を広げていきたいな。
大切な人たちを愛せるように。
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◇◇◇
「私ね、愛の器だけじゃなくて、悲しみの器も広げたいの。」
彼に、愛の器を広げる宣言をさらりとした後に、こんなことを言ったら、
「悲しみの器…とは?」
と尋ねられた。
「人の悲しみを受け止められるようになりたい。」
「なるほどね。でも、そしたらあこが悲しくなっちゃわない?そんな、人の悲しみまでたくさん受け入れていたら。」
「ううん。悲しみをね、海に溶かすの。」
「?」
この辺りで、私が独自の世界を展開しすぎて、会話のかみ合わせの雲行きが怪しくなってきたので、撤退しました(笑)
「ひとは海になれるんだわ。
この世界を巡る海に。
海に果てなどない。
彼女の苦しみが巡り巡って私のところへ辿り着き、私を救った。
流した涙は、いつか誰かに優しく辿り着く。
ひとは誰かを育むものになれる。」
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
心の水面に落ちて、ずっと残っているワンフレーズ。
悲しさで心がいっぱいいっぱいだった時に、出会った言葉だった。
私の悲しみは、海にとけて、きっとどこかの誰かを救う。
そう思ったら、救われた気がした。
それはきっと、今日の涙、知った苦しさ、切なさ、つらさが、
ひとを大きくするということ。
それらを乗り越えた強さと過去は、未来に出会う誰かを救える。
無理に、悲しみを乗り越えない。
悲しみを打ち消さない。なかったことになんて、しなくていい。
穏やかに、ゆっくりと、時間をかけて、自分の持つ広い海に溶かせばいい。
広い海は、いつか誰かの悲しみも自然に受け入れて、溶かすことができるかもしれない。
ひとは、誰かをはぐくむものになれる。
悲しみの器を大きくしたい、
それは、自分の持つ、心の海を広くすることと一緒。
美しい海を持てるひとに、なりたいね。
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◇◇◇
読んで下さりありがとうございます☺️
最後の猫ちゃんのイラストは、描いたお気に入りのものです。
あこ