🌟居場所の「安心」のために迫られる「排除」という決断🌟

はじめに

NPO法人ウィークタイさんと
ひき桜さんの
対談ライブ配信を拝見しました。
その所感を記します。　　

深夜にこっそりご案内です。

今月18日(土)、横浜のひきこもり当事者グループ「ひき桜」（@hikizakura）から、割田大悟さん と Toshiさんの２名をお呼びして、#春日べーす よりトークを配信します。 pic.twitter.com/idxyxAT3Re

— NPO法人ウィークタイ (@npoweaktie) November 8, 2023

NPO法人ウィークタイ

ひきこもり当事者グループ「ひき桜」in横浜　公式ブログ

「安心」な居場所を確保するために

　居場所に求められることはたくさんあります。
　最低限守られなければいけないものは、ずばり利用者に「安心・安全感」を与えることです。
　「安心」がなければ、どんな支援メニューやイベントがあろうが、居場所としての機能を果たしているとは言えません。

「安全」を脅かす人物を「排除」する苦渋の決断

居場所の多様性

居場所には多様な人物が訪れます。居場所のターゲットにもよります。刑余者の方の居場所なら、衝動性の強い方がきつい言動をとるかもしれません。社交不安障害の方の居場所なら、だれも話さず沈黙した雰囲気が流れているかもしれません。

ステレオタイプに注意

　両極端な2者を例に挙げました。しかし、それらの例はステレオタイプ的な考えにすぎません。刑余者でも沈黙してる方もいらすでしょう。対人恐怖があってもつい暴力をふるう方もいるかもしれません。

「排除」の決断

　いずれにしても、利用者の「安心」を脅かす人物はそのまま放置できません。きつい言い方ですが「排除」せねばなりません。一人のために10人の利用者の「安心」を奪うことは合理的ではないでしょう
　ひき桜さんいわく、「排除」後には微妙な空気が流れるようです。いうまでもなく、人を「排除」することに、いい感じは得られないでしょう。

「排除」された人間の居場所　

　利用者も多様なように、支援機関も多様です。「排除」された人であっても、そこに対応する支援機関はあるはずです。
　例をあげます。暴力的衝動の強い人が「排除」されたならば、その方にはまだ通常の居場所に通うには段階が早かったと考えられます。まずは衝動性を抑えたり、適切なコミュニケーションを学ぶ必要があります。それを支援するための医療機関やカウンセラーとつながるのが妥当です。「安心」を脅かされた被害者との兼ね合いもありますが、やがては元の居場所に戻ってこればいいのです。
　

反社会的と非社会的は混ぜるな危険？(実体験)

　わたしは再犯防止に関心を持ち続けてきました。それを踏まえたうえで実例をあげます。
　私が通う別の居場所では非社会的な利用者が多い中で、一人反社会的な傾向のある利用者が来ています。暴言・暴力も多く私自身も「安心」を感じられなくなることがあります。
　一方で更生保護に精通している私としては、彼に対しては最悪今の居場所がなくなっても、他の支援機関はあると思っています。それは保護司やBBSの活動などです。究極の話、事件にでもなれば、少年院・家裁・少年鑑別所でさえも支援機関と言えます。そして先述のように他人を傷つけない考えを学んだ暁には、元の居場所に戻ればいいのです。※あくまで犯罪を犯した前提で記述しました。

他機関連携の重要性

　これらのことから他機関連携は重要です。1つの居場所がだめになった時でも、次の居場所を見つける必要があるからです。そこの連携がなされなければ「排除」された人間は孤立するだけです。「排除」した人間のために、わざわざ次の居場所を提案するという気になれるか難しいところです。民間や個人的な自助会なら困難でしょうが、公的機関は次につなぐ責務があると私は考えます。

全員を同時に守ることなどできない

　誰でもウエルカムです！インクルーシブな居場所です！と謳うのは簡単です。しかし先述の通り、一つの機関ですべての人間を守るというのはできません。もっと現実的になるべきです。

非行系生徒を受け入れない学校

　2017年に岐阜県にある西濃学園に5日ほどインターンシップしました。こちらの学校は不登校傾向にあるお子さんを受け入れており、学生寮もあります。
　この学園の方針として、非行系の生徒は受け入れていません。指導方法が異なるからだそうです。直接聞けな語ったのが惜しまれますが、おそらく先述のように、生徒を守るため、という理由も存在するでしょう。

学校法人西濃学園 【不登校の生徒、保護者の支援｜学生寮｜全国対応】

分け隔てない学校

　一方で非社会系・反社会系のどちらの生徒も受け入れる学校もあります。北海道にある北星学園余市高校です。
 　一般社団法人はらいふ(旧：コアプラス)が主催した「エデュコレ」という教育系団体が集まるイベントでこちらの学校ブースに伺いました。
　先述の西濃学園を知っていたので、なぜ両者を受け入れるのか質問しました。担当者いわく、あえて両者を受け入れているそうです。もちろん問題は発生するようです。しかしその葛藤の中で解決方法をさぐり、両者間での相互理解へと進むようです。
　これもまた面白い考えであり、重要なプロセスだともおもいました。ただし、このような受け入れをするためには、居場所運営者の相当な技巧が求められることでしょう。この相互理解という方法は、先述した「排除」という選択をとらずに1つの空間内で課題解決を図るというものです。おそらく他機関連携はしない代わりに１つの機関内で多職種連携がなされているといったイメージでしょう。そうなれば考え方は他機関連携と本質的には同じものであり、うまく機能しているでしょう。

北星学園余市高等学校｜北星学園余市高等学校

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「安心」を脅かす人を絶対に放置してはいけない

　これまで「排除」を取ることにより、「安心」を得るというトレードオフの話を述べてきました。
　残念ながら「安心」を脅かす人を放置する機関もあります。先述の北星学園さんでは対話のプロセスを経ています。これは放置でありません。何も起こす気もないことが全国で起こっています。

いじめ加害者を在籍させ、被害者を転校させる学校

　いじめによる自殺者が後を絶ちません。わたしもいじめの被害経験がありました。(※後日別記事で書きたいと思います。)
　あろうことか、いじめという犯罪は「排除」されるべき人間が「安心」を保証され、「安心」を保証されるべき被害者が不登校・転校など「排除」を余儀なくされています。先述の原理の逆転が起こっているのです。
　こんなことがまかり通っているのが現在の日本教育です。なぜ被害者が「排除」され、お金をかけてまで転校しないといけないのでしょうか。現行制度・法上は加害者を転校させる措置は取れないようです。
　いじめ問題はまだまだ無学です。大学の恩師がちょうど「いじめ防止対策推進法」について研究されているので、追って研究したいと思います。

加害者を守ってしまった居場所(実体験)

　実例をあげます。私が通う某居場所で、スタッフ(Aさんとする)から暴力を受けました。即時、抗議文書を管轄する課に提出しました。これ自体あってはならないことなのですが、問題はその先です。(そのスタッフに関しては、私が宗教上の信条や更生保護に精通している観点から解雇を求めませんでした。現在和解済みです。)
　組織が加害者たるAさんを守ることに注力しすぎてしまったのです。
　通常なら、一定期間は被害者たる私がAさんに遭遇しないように、出勤を停止させるはずです。しかし通常通り出勤は継続されました。
　それならば、せめて出勤日を私に伝達するように求めました。組織はあまり好意的には思わなかったようで、できるだけAさんと仲良くなるような旨を述べられました。
　私はAさんを許していますが、仲良くなるかは別の話と考えていました。またそうだとしてもタイミングが早すぎるとも思いました。加害者と被害者を迅速に・強制的に和解させるような手続きは絶対にあってはならないことです。
　その他問題はたくさんありましたが長くなるので割愛します。言わずもがな、その組織に対する信頼はほとんどなくなってしまいました。それは私だけでなくほかの利用者も感じています。

修復的司法

　刑事政策の概念の一つに「修復的司法」というものがあります。これは犯罪加害者と被害者の双方を裁判ではなく、対話を通し解決するというものです。もちろん修復的司法が実行されるためには双方の同意はもちろん、用意周到な時間がかけられます。

最後に

　わたしもこのむかで研究会を運営するにあたり、「安心」と「排除」のジレンマとどう向き合っていくべきかわかりません。
　「排除」という行動をとることでその方との衝突し、しんどくなるかもしれません。もしかしたら不安で何も伝えれず「安心」を確保できないかもしれません。「排除」できても、ひき桜さんのように罪責感にさいなまれるかもしれません。
　つまるところ、会を開く中で試行錯誤し勉強していくないと考えています。今週末に第1回が開催予定ですがどうなるかも検討は尽きません。優しく見守っていただけると助かります。