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写真展で垣間見させる"究極の愛"。
昆虫をFoveonで撮ってる5人でグループ展を開催しました。しかも、静岡で!日々コツコツと撮っている小さな生き物と、使いづらいけど最高のFoveonってセンサーを搭載してるカメラと、そして大好きな静岡での開催。
好きなものの3乗だったせいで、やりたいことをやり散らかした展示となりました。(他のメンバーも露骨にエゴとフェチが爆発していました。)ちょっとした旅行に行けるぐらいの散財だったのではないでしょうか。後悔はない!
展示したもの
”Foveon で撮影した虫”縛りの写真展のメンバーは5人。「SNSに昆虫の写真をのせるとフォロワーが減る」という世知辛い理由で、こっそりとメッセージグループ内で昆虫の写真や生き物の情報をやり取りをしていたメンバーです。地下の活動をついに白日の下にさらしてみよう、と開催することに。
Foveonとは、SIGMAが世に放った、動くもの・暗いところにとても弱いけれど素晴らしい解像度の写真が撮れる撮影素子。昆虫のような小さくて日陰で素早く動く生き物との相性は…すごく悪い。けれども昆虫ならではのあの多様なデザイン、体表面のディティールを切り取るために、無理矢理に撮り続けています。2時間歩き回ってもピントがあってる写真が数枚しかないこともある、歩留まりの悪さ。だけどバチッときまったときの快感がたまらない。
そんな縛りプレイでしか得られない選りすぐりの写真をそれぞれが持参して、静岡のギャラリーで展示しました。
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虫の写真ですら、「うっちーさんのだ」とすぐに伝わる。虫が苦手な人でも「おしゃれ・・」とつぶやきながら眺めていた。
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ギャラリーにあった白い額縁を取り込んで、標本箱を表現したり、カマキリをパイプに貼ったり、アドリブでの空間の使い方がさすが。"映え"スポットになっていました。
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横幅4mの印刷に驚いたのですが、なにより虫が色っぽくて。情景昆虫写真家なんだと思う。
アゲハ蝶の翅が、女性の太もものようなぬくもりとほんのり色気を放つ。
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圧巻の鮮やかな昆虫壁面。虫好きも虫嫌もみんな思わず「すごい・・」感嘆していました。まさかの36作品。
私は作品に一貫性がないかわりに、展示方法で楽しんでもらうべく小道具を持ち込みました。
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やってよかった!
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一番見てほしかったのは、この天井から吊り下げた作品。
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会場をみたときに何かしら吊るしたいなと思い、とはいえFoveon作品にふさわしい高精細ででも透け感のある展示方法はないものかとインターネット上をさまよって見つけたプリント方法が、このピュアWプリントでした。半透明のシートに両面印刷されているので、透過光でみると美しい立体感がでるのが特徴です。Foveonで撮った精細な写真を浮き出させたかったので、仕上がりにとても満足。Foveonユーザーの皆様におススメ。
来場された印刷屋さん、技術屋さん、カメラマン、看板屋さん…色んなプロフェッショナルな方がこの吊るしに関心を寄せてくれて、各方面からの見解をお聞きするのも楽しかった。
来てくれた方々
Foveonも昆虫もなかなかマニアックなので、1日5人も入ればいいかなぁなんてのんびり構えていたのですが、色んな方が応援してくれたおかげで、会期中約150人の方がお越しくださいました。東京や名古屋、神奈川と県外から駆け付けてくれた方も。展示メンバーと直接の知り合いでない方も、Foveon/昆虫のキーワードに吸い寄せられたらしい。
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静岡の友人たちと、カメラ仲間が交差するのが参観日のような面映ゆさとうれしさでした。本当にありがとうございます!
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県外から来てくれた人達と、Pyonkichi(カレーうどんや)行ったり、ななやのアイス食べたり、小山園さんでマイボトルに給茶してもらったり、も嬉しかった。
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土曜日には、昆虫の先生も来てくださって、展示されてる虫の同定と、プチギャラリートークをやっていただきました。
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さらなる布教活動がはかどった!
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なんと静岡の清水ご出身!
感想をかいてもらうために置いていたノートは、ナガハシ印刷さんの"いいかげんノート"。好き勝手落書きしてもらえたらな・・そうかこういうときこそ罫線が手書きのゆるい「いいかげん」なノートがいいやん!と。お陰様で、ちびっこたちのかわいいイラストだらけになってた。嬉しい。
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㊨小学生の女の子がめっちゃかっこよくカマキリを書いてくれてた。
そもそもの開催までの準備
会場を予約したのは2月頃。まだまだ先だね、暖かくなって虫が活動を始めてからが作品作りの勝負だね・・と言い合ってからがあっという間で、たまたま今年の春は例年よりも忙しくなってしまったりで、気づけば6月。あれ、印刷しないとやばいかも。しかも今回、一人当たりの展示スペースが横幅5m。せっかくならあれもこれもと欲が出てきて、飛び込んだのが、杉山写真材料店さん。近くにあってよかった頼れる写真屋さん!
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杉山写真材料店のTwitterの中の人にあれこれご相談し、全紙サイズの額装3枚と、A3サイズのプリント6枚、A4サイズのプリント3枚で決着。額装は少し早めに出したものの、A3/A4プリントは搬入日当日の午前中に無理言って印刷いただきました。ご迷惑をおかけしました..。
搬入日2日前、額装を受け取るときに、杉山さんから「キャプションはどうするの?」と。完全に忘れてた・・。そこから村岡印刷さん(こちらもTwitterの中の人)をご紹介いただき、超特急でキャプションを仕上げていただきました。キャプションの側面が斜めにカットされていて、陰影をまとい壁から浮き上がっていてかっこよかった。
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なお、デザインはタケノリさん、文章はアカネさん。
今回お借りした会場は、静岡駅から徒歩5分ほどの「おまち」のど真ん中にある「ギャラリー青い麦」さん。
呉服町商店街の賑わいに目を奪われると見逃してしまう、ビルの隙間のような入口から通路を奥に進むとあります。会場から外を眺めていると、路地の住人になったような不思議な感覚に。コンクリート打ちっぱなしの壁面も雰囲気があり、今回の展示にとてもあっていました。また何かで使わせていただきたい。
写真を撮るだけだと、ちょいちょいっと編集してたまにSNSに投稿しておしまい。それでもいいのだけど、「写真展」として会場に掲示し、そこにひと様をお呼びするのは全く別物です。スマホの画面で0.5秒の注視「いいね」もらえたらラッキー、みたいな受け身じゃない。展示会場に誘いこみ(さながらアリジゴク)、空間全体や滞在時間を通して我々のFoveonと蟲への愛を押し付ける。強い想いのこもった写真展となりました。少しでも小さな生き物たちの素晴らしさやFoveonの希少性が伝わったのであれば、とっても最高です。
最後に、展示した作品をいくつか。
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ピュアWプリントした作品
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蟲展の開催を言い出してくれたうっちーさんのnote
過去、Foveonについて書いたnote
(追記)