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その19 ハワイ国際交流〜交流編〜

お腹もスッキリし熱もない。あとはやりきるだけ。周りに心配されつつも準備にとりかかる。日本の文化を披露するということから夏ということもあり浴衣に着替え音合わせや調音をする。舞台は体育館らしき場所。周りには見知らぬ人が大勢いる。そんななかで開会式のような催しが始まった。

私は自分のスピーチで頭がいっぱいで先生やお偉いさん、向こうの代表者のスピーチでさえ日本語だったか英語か覚えてない。そしてとうとう私の番。各分野披露する前だからか緊張やもともと陽キャも少ないからか顔が強張っていた。私にできることは…。そして体育館の中央に立つ。周りには囲むように2階席にも現地の人がいる。逃げ出したいくらいの緊張と失敗を恐れる恐怖。でもやるしかない。大丈夫何度も練習したし文もおかしな点はない。そして大きく息を吸い込み威勢よく叫んだ。

「アローハー!!」

私の予想外の叫びとジェスチャーを交えながらの挨拶に周りの緊張の糸がとれたのか呆気にとられた顔や笑い出す声が微かに聞こえてきた。一度やりきってしまえば人間開き直るものだ。私が主役だと思い演じる。
声が小さかったためもう一度大きな声で叫んだら周りからの返しが大きくきた。そこで私も気が楽になりスラスラ暗記していた文を話した。挨拶が終わると大きな拍手に包まれた。

そして各分野の芸披露と共に私の琴分野も披露。そこでは1人ではないためさほど緊張はしなかった。無事にそこでの交流は終え、次は生徒同士の交流。多分私が代表者で話しやすいのもあってか向こうの学生から話しかけられることが多く、それに寄り添う形で日本の子たちも交流していた。日本の学校の風景と称して写真を撮ってアルバムにしたものを渡した。このためだけにクラスに協力してもらったものだ。こういうプレゼント的なものも考えていたのだ。喜んで受け取ってくれて学校案内や食堂も案内された。お昼を食べ終わったあとジョークでトイレは大丈夫?と聞かれた。そんなユニークさも海外ならではで大好きだ。

そこから国際交流は無事に終了しまた観光へ。ハワイのドールプランテーションなどに行き楽しんでいたがここで問題が。なんと予定がキツキツで海に行けないというのだ。あんなにキレイな海を魅せられて行けないなんて。がっかりする部員やなんとかしてほしいと相談にくる子達もいた。私も海に行きたかったし行けなければ来た意味がないとさえ感じていたため直接上に直談判した。

ほんの少しでもいいから海に寄る時間をください。ほかを削っても行きたいというのが私含めた団員の声です。

それを伝えると夕食前に少しだけ海に寄れた。はしゃぐ部員や黄昏れる部員、全然話してなかった子も感謝をいいにきたりそのころには団長と呼ばれるようになっていた。このときの経験から上に立つ難しさ、部員の声に傾けることの大事さ、考えさせられることも多い経験だった。

そして日本へ私達は帰った。最後の解散で私は引率した先生への感謝をみんなに促し終わろうとしたら先生方から団長として頑張った私への労いと感謝を他の部員とともにしていただいた。嬉しくもあり気恥ずかしい。そしてもっとなにかできたのではないかという反省。そんなことを思いながらこの夏の経験が私を奮い立たせ大きく変えるきっかけとなる。

当時男性としていた私の今の姿を彼らが見たらどう思うだろう。結婚した同級生が会いたいと話してくれたが私はまだ会うのが怖い。思い出はその時のままの方がよいときもあるのではないか。そんなことを思いつつもいつか会えたらとも思ってしまう。



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