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【詩】ある夏の日に私は思った
全てが古ぼけた布切れみたいだった。
必死でしがみついて
千切れんばかりに
狂わんばかりに
ただただ流れに翻弄される。
私はそんな風をものともしない
濡れた砂の上に横たわった。
大きな雲の中に隠れた太陽が
隙間から無数の光の筋を吹き出して
空は恐ろしくドラマチックだった。
それでも微動だにしない心の奥底に苦笑しかない。
一体これはどんな素材でできているのやら。
世界で何が起こっても
決して吹き飛ばされたりはしないのだ。
私は笑いながら風の中で身を起こした。
髪がドレスがまた風に嬲られた。
諦めるのも一興だ。
手放すことができないこともある。
忘却に怯える人として
なんとも喜ばしいことではないか。
私の持てる最後の日まで
大事に眺めて過ごせる秘密があることは
きっと何よりも刺激的なのだと
風の中で一人、楽しくなってまた笑った。