【詩】何よりも大切なこと
結晶の部屋で彼は私を待っていた。
びっしりと立ち上がった輝きは
美しくもありおぞましくもあった。
他者を寄せ付けず聞く耳も持たない。
それは完全なる拒絶の形だ。
ごめんね、疲れてしまって。
ううん、自分を守ってくれてありがとう。
逃げ出せる場所があることは
決して恥じることじゃない。
逃げ出すすべを知っていることは
むしろ喜ぶべきことだ。
今すぐ何かが変わらなくても
いつか何かが変わるために
私たちはここに居続けるべきだから。
理不尽ばかりがあふれる世界で
それでも微笑みを探して生きていくために。
諦めたんじゃない。
麻痺してしまったんじゃない。
彼はまた一つ強くなろうとしている。
他者を傷つけることなく
乗り越えていこうと向き合っている。
いつか誰もが全てを無防備にさらけ出し、
甘え甘やかし、
許し許され、
心からの微笑みだけで
世界が満たされますように。