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【エッセイ】私のお菓子作り〜甘く香る時間に花咲く喜び
日々のあれこれに忙殺されて心が毛羽立ってくると、無性にお菓子作りがしたくなる。綺麗なもの可愛いものを補給して癒されたいという欲求だ。
だから見た目が重要。目で見て美味しいものに惹かれる。そのために作る。そして満たされる。
ちなみに、食べる食べないは二の次だ。美味しいものを食べたいとは思うけれど、食べることに執着しているわけではない。作ることが重要で、できたものは誰かが食べてくれたらそれでいい。自分の衝動が、誰かの美味しいになるというのは悪くないと思っている。
そんな私のお菓子作りでは飾り付けが重要になる。クリームを絞る、フルーツを並べる、マジパンを使う、型抜きする、などなど。そして……たどり着いたのが花を飾ることだった。
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仕事柄、花材に触れてきた時間が長く、花はなんでも好きなのだが、もっと言えば、自然の花がより好み。少しいびつでも香りの良いもの。
幸運なことに、家には庭がある。その裏庭の一部を、マイローズガーデンと名付けて、薔薇やベリー類を中心に好きなものを増やしている。これらを使わない手はない。
実は、花を食べるという行為は、私の中で特別だったりする。知人の詩人が最初に披露してくれた詩が夜中に花を食べる女の歌で、それがたまらなく刺さって、それ以降、自分の創作に影響を及ぼしているからだ。
そこから発展して、エディブルフラワーにも触手を伸ばし、オーガニックの種を買って何年か育ててみた。結果、わざわざ名前のついたものでなくても、自然のもので食べられる花ならそれでいいと納得できた。
さらに、小さい頃から大好きな本は「のばらの村のものがたり」。野ネズミたちの作る料理にはいつも、風景の一部のような花々が添えられていて、そんな習慣や生活に、今も変わらず憧れている。
そういうすべてが、お菓子作りにおいて、花を飾るという選択に結びついたように思う。
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そんな私の庭の花たち。まずは菫。ある時、庭の隅に転がしていた植木鉢の中に出現し、そこから増えに増え、今ではローズガーデンの春の顔。花期も長く、びっしり咲くから思う存分使える。
そして薔薇。早春のノイバラから始まって、一年を通してイングリッシュローズたち。花数が多い上に、目まぐるしく咲く修景薔薇も使いやすい。
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それから果物の花。イチゴにブラックベリー。ちょっと硬めだがとても可愛らしい。これらもまた、半ば野生化していてどんどん咲くので、気楽に使える優れもの。もう少し小ぶりなものが欲しい時にはハーブの花も。
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摘んで飾るだけの花は、一番簡単な装飾かもしれない。でも最高に綺麗なものだし、私は薬を一切使わないため(好きではないからであって、有機栽培に傾倒しているわけではない)、安心して使えるのも嬉しい。
シンプルといえば、お菓子作りそのものもそう。奇をてらった何かより、ありふれたものを丁寧に作りこむことに喜びを覚える。
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1つ飾ればほっこりできて、2つ飾れば楽しくなって、あふれんばかりに盛ったら、もうダイニングルームは庭の延長、幸せMAX。
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でも、何が何でも花がなければいけないわけではない。それは季節を教えてくれるものだから、ある時には祝い、ない時には夢見る。それでいいと思っている。
したがって、冬場は華やかさに欠ける。それでも細々と育つハーブや色づいたロースヒップ、作ったジャムや集めた薔薇の花びら、冷凍しておいたベリー類、時には菫の砂糖漬け、と使えるものはそれなりにある。
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そして「春になったら……」と妄想しつつ、長いニューヨークの冬を過ごすのも悪くない。と書いている今は……熱波にあえぐ夏。これまた厳しい季節。それでも頑張る花たち。だからそんな時は、ちょっぴり彩りを分けてもらって楽しむ。
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美味しいを引き連れて、花咲く喜びは四季折々、決して尽きない。基本、見聞きしたレシピを織り交ぜて、好き勝手適当に作っているけれど、時々Youtubeを先生に、ブラッシュアップを図ったり。刺激を受けるとアイデアも広がるというものだ。そろそろお気に入りレシピをまとめてみても面白いのではと思う今日この頃だったりする。