【詩】流れゆく真水が求めるもの
きみは真水だ。
小川の脇で流れに手を浸し、
樹の下に座るあなたの言葉に耳を傾ける。
純粋で、何にでも染まるように見えて
その実何ものもその領域にたどり着けない。
決して取り込めないんだよ。
いつだって解けていってしまう。
ふつふつと湧き出して、さらさらと流れていく。
今ここにあるのに、それはもうそれじゃないんだ。
まあ、大変。
ああ、だから困ってる。
いつの間にかすぐ後ろにあった熱。
あなたが私をすっぽりと抱きしめた。
だからこうしていようか。
驚くほど高い熱に目がくらみそうになる。
こうしていれば行ってしまわない。
私はあなたを見上げた。
そうかしら。
こんなに熱いと蒸発してしまうかも。
あなたの瞳が揺らめいた。
それは大変だ。
唇はそう告げたのに、ちっとも離してくれない。
途切れることなくせせらぎの音が聞こえる。
燃えんばかりの胸の中で私は笑った。
流れ行くのは仲間たちに任せ、
今はしばし愛しき熱に身を委ねよう。
何ものにも無関心だと思われている真水が
本当に欲しがっているものが何かを
あなたにそっと教えてあげないと。