【詩と日記】乾いた大地と湧き出ずる水
その時、風が吹いた。
強く、強く、
甘く香る花をもぎ取り、
乾きひしめく大地を擦り上げ、
すべての想いを連れ去るように。
時間の枠なんかバラバラになって
痺れるように記憶が辺りを満たせば、
耳の奥底であなたが響く。
ねえ、僕らの街へ帰ろうよ。
谷を渡る風と泉の香り、
濡れていない君なんて君じゃない。
だから、ねえ、僕らの街へ帰ろうよ。
知らず微笑みがこぼれる。
そうだね、それがいい。
帰る場所なんてもうないというのに、
だけどなんだか帰れる気がした。
いつか、きっと、あなたと