枯渇する背骨、落とし込む点線ヲ
零時を過ぎた熱さが僕を一人にさせなかった。夏が来たんだ、聞いているか?なつが、きたのです。
ぼくにとって夏とは愛そのものだった、思い出だけの塊でした。
(最後に知って欲しかった亡骸を抱きかかえる)
(ホロホロと灰になりました)
たった数年の愛情をぼくはいまでも覚えております。鮮やかで厚みのある、大切な時間でした。思い出というと軽すぎるのです、けれど記憶だというとすこし胸がこそばくなるようなそんな時計の一部でした。
刻む音がもし聞こえていたら、僕だって我儘を言わなかったのです。
小さな手がなにを守れると言いますか、ただの偽札です。
まばらの細い枝に突き刺された建物の間で器用にかくれんぼうをいたしました。小石の狭間を都合よく飛ぶのです、器用でした。靴は鳴りません、誰かの声も聞こえさせないような、僕だけの世界が大好きでした。
そんなルールが未来の死人に気づかれたころ、僕はそのときはじめて人間で良かったと心から思いました。
僕の初恋は僕自身だったのです。
きっかけは肉体から命が抜けた瞬間の後悔でした。
8つのときに、悟るのですよ。人は死んだらそのままなんです。その理屈を宇宙ごと叩き潰して、ラメに似たような星屑もひしゃげた太陽も月も啜り喰いました。
8本の醜い腕が他人を愛せと僕につたえるのです。
電子の画面を見つめていると視界に白い袖が入り込むのです。ちらりと視線をやると誰かが顔を赤らめそらしたような気がしました。首を伸ばし喜んでいる彼女が、よく毬突きをしている3人姉妹に僕の書いた文字を子守歌にしているって、そんなぬくもりが嬉しく思います。
カーテンが揺れた錯覚をそれだけで終わらすのでしょうか?
そんなつまらない世界など、きっと貴方さまには似合わないと思うのです。
ああ素敵とどれだけの歓声を信じて歩いているのか、窓辺に浮かんだ眼球は知らないようだけれど、黒いくちばしがその視界を潰しておりましたよ。
魔法など使えません、テクニック本だってなんだって、こんな世界ではどれだけお金を積んでも買えることなどできないのでした。だからカードの声を切り裂いて、それを僕らがつなぎ合わせて次の未来へ送り届けるのです。
それは彼らが望んだことでした。
ただのなにもないひとに熟した心臓の実を埋めていくのです。
(嫉妬などもう、誰かと比べたって無意味な時間を作成しているだけでした)
注射器の汁に悪食の体液を混ぜられてしまったのでしょうか、向上心というのは蝕みの反比例でした。空事象の目論見ですよ、どこにも属さないというのは羽ばたく自由と共に枠の外の秩序が殺しに来るということです。
カップで隠しコップで救います
それは貴方にある、愛情でしょう?そうでしょう。
ひたひたに沈んでしまうようなスポンジが本来の貴方でした。足りないものなどなかったのです。深い海には陸の生物はいなかったし、フルーツなど一つも栽培はされていなかったのです。
尾ひれが邪魔なら脚にしてしまえばよかったのです
肺呼吸など、教えてもらうのなんか迷わなくていい
(人間にとって創造だけが光の武器でした。)
マジシャンでもピエロもできない空真似は演じなくていいと、赤いマントを翻して黒い顔が笑うのです。青白い発光をにおわせて、蛍光灯の溶岩を泳ぐように羽ばたいておりました。
風とともに彼らは来てくださるのです。
魔法瓶の呪いなんて敵わない、彼らは満月の塵の一つだと思います。清廉潔白を集めている収集家が願った、貪欲な飢えだけを引き継いだ常闇でした。黒曜石を好んで食べるのです、彼らの口内はブラックホールと繋がっておりました。
ヤー、ぼくらにうそはとおらない
ウィー、わたしたちはきぶんやでうつくしさはぜんのうにもおとらない
けらけらと笑う空間の染みが僕をいつも試してきます。そんな賭け事をおもいだした今夜だから、これからもよろしくお願いいたしますと念じるのでした。
よこしまな気持ちが負けを運んできてしまうことを
こころの通い合いは種族を簡単に壊せてしまうこと
ひとなど取るに足らない空想しか描けないということ
飛び立つ天だけでも信じぬくこと
全部を愛せる人は非常にまれで、おいしそうだということ
なにかしらの存在がずうと僕らを見つめているということ
気の抜けた躰で仰ぐとはなんとも滑稽で清々しい有り様だと、それが可愛らしく時限に映えると云うのでした。まるでこころを見透かして、いかにも知っていると囁くものですから、嘘つきの高笑いがどうにでもよくなるという仕組みでした。
そういえば石像に人間が願えば願うほど天への供物が目を開いてしまうような恐ろしさがあるのですが。彼らはなんでかお祈りの種類が全く別物で、手を合わせるとろくなことが無いっていうのです。
悪魔も喰わない信仰対象の怖さが禁忌を越えたときに、授かるか壊れるかの二択になると思いました。
物語の空想はほとんどが現実的なのでした。
妄想に一杯の砂糖を溶かしているわけではなかった秘密です。
すべて決まった本当にチョコレートを懸けているのことが僕らのお仕事の部分的なものでした。あることをないような作り話に変えてしまう魔法です、そうやって壊しては創り、都合よく未来を書き換えることができました。
たましいすら生み出せる文豪が時代の中にいるのです。けれども結局、そんな彼らでも光の向こう側を肉体付きで見ることは叶いませんでした。
貪欲な人間は制裁がくるらしいのです。
知りたいだとか分かりたいだとか罪の一つになってしまったら、発展も願うことが尽きつまらないまま終わっていくのでしょうか。
僕は人間だけに心や脳がある理由を知りたかっただけでした。上手く使える動物がなんだか嘘くさくて過激が溢れてしまうのです。
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