最近の記事
菊地成孔・大谷能生『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究』用プレイリスト(Apple Music)と、読書感想文
いわゆる(?)菊地&大谷本のなかでも大著の部類にあたる『M/D』(2008、エスクアイア マガジン ジャパン)に登場する大量の楽曲を一気にきけるプレイリストを作った。 もう15年前の本だが、数あるマイルス本のなかでも名著だと思う。本を読みながら聴くもよし、ジャズ史入門として単独で聴くもよし、好きな形でお楽しみいただければ幸い。 本書はマイルス・デイヴィスの生涯に関して菊地・大谷が東京大学にておこなった講義をもとにしている。 よく知られるように、マイルスは抑圧的な現実に迎合し
マガジン
記事
[読書の記録] Dan Charnas "Dilla Time: The Life and Afterlife of J Dilla, the Hip-Hop Producer Who Reinvented Rhythm" (2023.06.22読了)
著者のダン・チャナスはニューヨーク大学ティッシュ芸術校で教鞭をとる音楽史の研究者だ。特にヒップホップの歴史を商業的な側面から読み解く研究を専門としており、主著にはヒップホップビジネスの一大年代記である”The Big Payback”(2010, Berkeley)がある。 本書は、チャナスが巧みなストーリーテリングの技法を駆使して、Jディラ(本名James Dewitt Yancey 1974年-2006年)の人生を切り口に、ポピュラー音楽におけるリズムの進化史について
[読書の記録] Jonathan Safran Foer "Extremely Loud and Incredibly Close"(2014.03.13読了)
この小説を原作とする映画が2011年に出ているのでそちらを知っている人も多いだろう。私が読んだのは小説のほうで、英語の原書で読んだ。なお映画版は見ていない。 本の感想だが、まずもって、ユダヤな感性のひねくれユーモアが好きな人には圧倒的におススメできる。ウディ・アレン的センスというか。 語りの主体である主人公オスカーは9歳にして既に重度の厨二病患者(少し非定型な感じもあるのか?)である。彼の極めてロジカルだが少しズレた、世の中に対するまなざしが終始笑える。 読み物としての