知らないとヤバい⁉年収が上がる⁉下がる⁉理不尽と不条理のビジネスパーソンゲームのルールとは⁉
年収400万円→年収650万円(28歳・エンジニア)
こういう表記の広告を街や電車の中はもちろん、スマホやパソコンでの広告でよく見ることはありませんか?
これから起きている弊害はなにかお気づきでしょうか?
転職をすると年収がアップするということが前提条件となってしまいます。
実際のことをいうとこういうケースもありますが、現状維持、年収ダウンというケースもよくあります。
人事として人を評価する時にすごく困るのが、給与額を決める時が一番難しい作業の1つです。
もちろん、希望年収と現年収は聞いていますが、社内情勢を鑑みてみないことには何も言えないというのが特徴です。
年収がアップする条件、ダウンする条件
一言では言えないことも多いのですが、統計学的にエージェント時代、人事をやっている時代を含めて考えた時、1つの法則がでてきます。
まず給与体系を考えていくとわかりやすいのですが、ピラミッド型の三角形になっていることがよくあります。
大手上場企業の場合には、ビジネス雑誌やネットでも取り上げられていますが、「30歳年収ランキング」などということで特集を組まれているケースが多くあります。
大手上場企業や外資系企業の場合については、年収が高い傾向があります。
潤沢な資金源だけではありませんが、売上規模も桁が外れていますから、給与への反応はいいというのが特徴です。
例えば、中小企業で年収400万円プラスインセンティブだったのが、マザーズ上場企業で年収450万円プラスインセンティブだったり、東証1部上場企業では年収600万円プラスインセンティブだったりと会社の規模や時価総額によっても給与が違うというのが現状です。
逆に新卒で超有名企業でエンジニアだった人で年収800万円だったのに対して、スタートアップ企業では550万円、上場企業で750万円だったりします。
エンジニアといえば人手不足から給与水準が高く、高待遇であるにもかかわらず、選択を間違えてしまうと、年収ダウンのままで生涯賃金が減っていくことになります。
頑張り次第で給与も上がり、出世もできるから…は危ない!?
現時点では日本型メンバーシップの採用ということになるので、年功序列のピラミッドは未だに健在しているのが実情。
採用責任者をやっていると、「私の評価は◯◯さんと☓☓さんの間のレンジ幅で、責任事案も制限されてしまう」とか、「◯◯さんレベルだから、給与レンジも合わせてほしい」などということを面接終了後に言われることもあります。
そうすると希望年収額、最低年収額を割り込むこともよくあり、「現職年収をわることによって転職をしない可能性が大きくなりますが、いいんですか?」と伝えることもよくありました。
「あっ!年収がネックなら…別な人を探せばいいだけだから。この人をどうしても採用したいと言うのであれば別だけど、今のところは予算に限りがあるから、やめておく」という事業部長や経営者もいらっしゃいました。
彼らは転職者の心理についてわかっておらず、「入社時の年収は下がってしまうのは当たり前。信用預金がないし、活躍してくれるかどうかもわからない。給与を上げるにはあなたの頑張りしだい」と根性論や抽象論を展開してしまう。
そうすると大抵の場合は「年収が低すぎてお断りします」という回答になってしまうものです。
そうならないためには、巷の市場価値についてしっかり理解をした上で、こういうことに期待をしており、我々の評価はこうしているから、頑張ってくれれば、年収については最短で半年後に追いつくことができれば、あとは上昇曲線を描くだけだからなどと言えるような理論武装はしておく時代になっています。
巷の市場価値とは!?
エージェントに登録をした時に質問をしてみるといいかもしれません。
「市場価値の定義って何ですか?」という質問をすることで、エージェントの技量がわかってしまうからです。
大手エージェントの場合は業界を縦割りでやっているため、自分が担当している業界が一番伸びているということをいうかもしれません。
中小規模のエージェントについては、自分たちのコネクションもあるため、優先的にやっていくことになるでしょう。
伸びている業界については刻々と変わっていくことは間違いありません。
新聞、ビジネス誌、いろいろな情報に目をつけておくことが必要です。
一昔前はゲーム業界、最近ではVR業界などと言われています。
エージェント業界に長くいるとわかるのですが、ルールを作っているのはリクルートなんです。
紹介手数料を30%や35%にしたり、媒体の値段というのもリクルートが基本となり、そこから独自性を出すことでいろいろな広告媒体が波及していくことになりました。
きちんとマーケティングをしているエージェントであれば答えられる内容ですが、マーケティングができていなかったり、知らないエージェントが9割いるので振るいにかけるのであればキラークエスチョンになるかもしれません。
このことについてしっかりと答えられるかどうかがPOINTになるでしょう。
市場価値=企業規模や給与レンジではないということを理解しておいていただくとよりわかりやすいのではないでしょうか。
職種によって求められる能力も違いますし、管理職かどうかという点でも大きく変わっていくことになります。
市場価値は他者評価であり、自己評価ではありません。
自己評価で過大評価をする人が多くいますが、会社の評価と自分の評価に乖離がある場合には早急に修正をしないと転職活動が長引く原因にもなります。
このルールはエージェントルールであり、市場価値が高いということがイコールにならないから不思議です。
実は会社の成長フェイズによって求められるものも違いますし、フェイズをまたいだキャリアを持っていると重宝されるケースが多いんです。
会社にしがみついて守ってくれる時代は終焉を迎え、これからはより良いキャリアを手に入れるためには転職をすることが当たり前になりました。
より良いキャリアを手に入れるためにはどうしたらいいのでしょうか。
年齢と性別とアンケートに答えると、あなたの適性年収は◯◯◯万円です!と出てきたあと、転職サイトで求人を探すように導かれてしまいます。
そこで転職先を探しているけど、情報や言葉が似ているものが多く、選択肢も多くなってしまうため、1〜2ページ見たり、数件見たら飽きてしまうのが現状でしょう。
やりたいことを仕事にするのが正解ではありません!?
やりたいことを仕事にする傾向がありますが、これって実はハイリスク・ハイリターンだったりするので注意が必要になります。
年収が安くなってしまうことはもちろんですが、キャリアの上積みにはならないケースもあります。
以前の年収の3〜5倍稼ぐことができるようになって、会社員と同じぐらいの水準という人が多くいます。
フリーランスの場合は売上ですから、そこから経費、税金等を差し引いていくと年収ベースでは低くなることがよくあります。
そのため、資金繰りから続けられるケースが少なく、起業して10年続いている企業も全体の1割ぐらいという数字がでています。
何かをはじめるときには入念に準備をしておかない限り、ほとんどの場合が失敗に終わってしまいます。
フリーランスが稼げるかというと、やり方次第だといえるでしょう。
エンジニアについては需要があるので、色々なスキルをもって、実績があるのであれば、引く手あまたです。
デザイン関係についても需要と供給のバランスがあるのであれば、高値で契約をすることができるようになるでしょう。
その他の職種についてもいろいろな人脈、コネクションがないとスタートダッシュは決められないでしょう。
スタートダッシュに失敗をすると運転資金に余裕がなくなり、次第に廃業への道をたどることになるので、注意が必要です。
やりたいことを仕事にすることは素晴らしいことですが、キラキラした部分だけを見るのではなく、氷山のしたもしっかり見ておかないと、やっちまった~なぁ〜と思ったとしても引き戻れないところまでいっていることがありますから。
ジョブ型という劇薬!?
メンバーシップ型については、転勤はもちろん、転属もあるから、3年に1度は人事異動の対象になりやすい。
昇進と昇格についても、未だに年功序列であり、在籍期間が長いと自然に昇進しているケースが多くある。
実力はあるにもかかわらず、椅子があかないから転職をする人も多くなってきているのは事実である。
理不尽と不条理のビジネスパーソンゲームでは、昇進させるメンバーについては、社内政治家たちが勝ち馬に乗りたい一心で考えることが多く、事件は会議室で起きているケースが多い。
ジョブ型によって、転勤と転属のカードを捨てて、これが私の生きる道ということでキャリアというカードを手に入れることになる。
これによっておこるのが、評価の厳しさと周りの評価の厳しさである。
360度評価ということでやることが多いけど、この道のプロなんだから、これぐらいできて当たり前と思われてしまう。
今まで以上に実績を評価してもらえるチャンスが少なくなるのはもちろんですが、ハードルが最初から高く、相手の期待値を超えない限りは評価が上がっていかない。
理論上は2年で管理職を目指せる設定になっていたとしても、新人が2年で管理職になる確率はほぼゼロに近いだろう。
評価する側、される側で違いますし、評価表にかいてあることはすごく曖昧な表現であったり、どうとるかについてはその人のバックボーンによって変わってくる。
理不尽と不条理のビジネスパーソンゲームですから、想定している以上に人の心理が関わってくることが多いということに気づいていない。
転勤と転属の権利を放棄することによって、リストラの対象になりやすいことは事実である。
そこで実績を残せないというのは、人事がリストラのストーリーをつくりやすくなってしまう。
人事も炎上をしないようにストーリーを立てていくことができるようになりやすい。
給与が上がっていって専門性を高められるという一面もあるが、給与が
おさえられてしまって、リストラの対象になりやすいのも否めない。
若手なら賃金を抑えて育成することも検討をされることが多いが、30歳を過ぎると、リストラの対象になりやすく、人材の流動化につながるとも見える側面がある。
定期昇給もしにくく、ボーナス査定も厳しいのがジョブ型だろう。
年収で考えた時にメンバーシップ型がいいのか、ジョブ型がいいのかはまだまだこれからの話になりますが、人事や経営陣からすると、本質としては人件費を抑えたいから、トレンドにのっているというイメージがぬぐえない。
メンバーシップ型がいいのか、ジョブ型がいいのかという問題は数十年経ってから結果が出ることであり、どちらを選択しても、理不尽と不条理のビジネスパーソンゲームで勝ち残るしか方法はないのかもしれない。