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記憶のカケラ

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書き溜めていた文章を少しづつUPしていきます
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2021年2月の記事一覧

短編小説:はじめての誘い

デート、だったんだと思う。 出かけない? 誘われて浮かれた。 何着よう。 何日も着ていく洋…

短編小説:さくらんぼ(はなちゃん物語)

はなちゃんは春になると庭の隅の金網をよじ登る。 その金網は2メートルほどの高さだ。 四畳半…

短編小説:カボチャ

久しぶりに庭を見ると、庭は緑に覆われていた。 大きなハッパが大量に一面を覆いつくし、土が…

短編小説:たまご焼き

コレじゃない。 一口食べて、毎回ガッカリする。 やめとけば良かった。 毎回そう思うのに、…

短編小説:イワシの群れ

東京で生きる人は、イワシの群れのよう。 みんな、同じ方向を向き、同調して動泳ぐ。 ついてい…

短編小説:せっけん

その日、夜遅くうちに帰ると、うちはがらんどうになっていた。 そっか。 今日、だったっけ。 …

短編小説:無花果

私のうちには無花果の木があった。 その木は庭のハジの、もみがらのくん炭場の側にあった。 2メートルほどの木だった。 大した手入れもしておらず、実はそれほど多くはなかったが、1年に一度実をつけた。 それほど甘い実ではないが、なんとなく毎年楽しみにしていた。 が、ある年からその実は食べれなくなった。 無花果の木にスズメバチが巣をかけたのだ。 無花果の実はみるみる食べられていった。 近寄ってはならないと言われていたが、私は何度も熟れた無花果を見に行った。 スズメバチがムシ

短編小説:くすり(はなちゃん物語)

はなちゃんは、その薬が大嫌いでした。 その薬はイチゴ味です。 風邪をひくとお医者さんがく…

短編小説:タオルケット(はなちゃん物語)

はなちゃんはそのタオルケットが大好きでした。 あちこちほつれていたし、何度も洗濯してちょ…

短編小説:シュークリーム(はなちゃん物語)

はなちゃんは、生クリームが苦手です。 誰にも言ったことはありません。 だって、みんな、美…

短編小説:チョコレートケーキ(はなちゃん物語)

チョコレートケーキがいい! はなちゃんは目に涙をいっぱい浮かべて、お母さんに言いました。 …

短編小説:蝶々

ワタクシ、蝶々。 正式名称は、アカタテハ。 アゲハチョウの一種でございます。 ワタクシの美…

短編小説:おしるこ

ぼく、おしるこ。 自販機の片隅にいる、缶のおしるこ。 正直、あんまり、人気ない。 ぼくはそ…

ショートストーリー:パソコン

私がはじめてパソコンを手に入れたのは1998年頃だっただろうか。 テレビも持っておらず、Windows95と98の違いもわからぬまま、私は彼を手入れた。 私は彼に梅太郎と名付けた。 画面を開くと梅太郎とスクリーンセーバーが踊るように設定した。 使い方も分からぬまま、私は彼でインターネットの波に飛び込んだ。 ダイヤルアップルで、インターネット接続するとジーコロコロコロといっても繋がった。 つながるまでには時間がかかるのが当たり前だった。 使っていた検索エンジンはgooかエ