連句とは何か
連句の名称
連句という言葉は江戸時代から用いられていましたが、当時は俳諧、正しくは俳諧の連歌と呼ばれるのが一般的でした。
俳諧の第一句である発句を独立させると、俳諧と区別するために俳諧の代わりに連句、発句の代わりに俳句と呼ぶようになりました。
連句のメカニズム
連句は五・七・五の十七音からなる長句と、七・七の十四音からなる短句とを、交互につらねて行くものです。
A さみだれをあつめてすずしもがみ川
B 岸にほたるを繋ぐ舟杭
A句に対しB句を付けます。次に、
B 岸にほたるを繋ぐ舟杭
C 瓜ばたけいさよふ空に影まちて
B句に対してC句を付けます。
この時、ABの世界観とBCの世界観をまったく違ったものにしなければなりません。
Aを打越、Bを前句、Cを付句と呼びますが、打越と付句が同趣にならないよう変化させることを転じと言います。
打越と付句が類似した関係で前句に結びつくことを観音開きといい、打越・前句・付句が一つになって変化しないことを三句がらみといって、ともに嫌忌されます。
連句の式目(ルール)・作法はいずれもこの同じ事物の反覆・渋滞を嫌うところから発生したもので、芭蕉はこれを「歌仙は三十六歩也。一歩も跡に帰る心なし」(『三冊子・白』)と表現しました。これが連句の最大の特色です。巻き上がった一巻には一貫したテーマ、あるいは筋というものが存在しません。
連句の形体
連句は正式の場合は懐紙に書かれました。檀紙・鳥の子紙・奉書紙などを二つ折りにし、開きを上にして、自分に面した方を表、反対の面が裏、この表と裏とに句を書きました。
歌仙形体は、懐紙二枚で、初折表六句(五句目月)・初折裏十二句(八句目あたり月・十一句目花)、名残の折表十二
句(十一句目月)・名残の折裏六句(五句目花)の二折四面、二花三月の構成になります。
表、裏、名残の表、名残の裏、という区切り方の名称はここから来ています。
句座
連句のもう一つの特色は「座の文芸」であることです。座とは複数の人が集まって、共同で何かをやるもので、連句の場合は、数人の人が集まって(連衆)一巻の作品を巻き上げます。
このように複数の人によって文学作品が作られるのは、世界の文学の中でも極めて珍しいといわれています。
一座を興行する場合、どのように付け進むのかは、大別して二つのやり方があります。
出勝
各句ごとに連衆全員が付句を考え、捌き手(宗匠)が最も良い句を選びます(治定)。
膝送り
連衆が順番に付けていく進め方です。
式目(ルール)
連句には句数・去嫌など多くのルールがありますが、ここでは省略します。
〈参考文献〉「連句辞典」東明雅、杉内徒司、大畑健治 編
【連句コラム1】百韻から歌仙へ
【連句コラム2】式目 (ルール)
【連句コラム3】転じの妙
【連句コラム4】付合手法
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