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ただ好きだから、好きなもの

「わたしの好きなものってなんだろう」

昨年夏にメンターとして参加した滋賀キャンプが終わってから、わたしを悩ませていたのはこれでした。

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滋賀キャンプは、「やりたいことを見つけたい。学生生活を充実させたい。でも、何から始めたらいいかわからない」そんな前向きなモヤモヤを抱えた中高生を対象にした3泊4日の合宿型プログラムです。

「滋賀を知る。自分を知る、やってみたいに出会う夏。」をキャッチコピーに、地域で活躍する大人と実際にお仕事を体験したり仕事観や価値観についてお話を聞いたり、大学生のメンターとの対話を通して自分らしさを深めたり。そんなサマーキャンプを企画・運営していました。

去年のキャンプを通して最も衝撃的だったのは、女性農家の方との出会いでした。

「どうして農業を続けているんですか?」「農業の楽しさを教えてください!」

炎天下の中農作業のお手伝いを終え、バテながらも質問を投げかけるわたしたちに、

「ただ好きで、趣味の延長としてやっているだけだよ。なんで好きって言われてもなあ。なんでなんでって、考えすぎじゃない?」

とその方は言いました。

理由もなく、損得勘定もなく、ただ好きだから、好き。

それこそが本当の意味での”好き”なんじゃないかなと、その「シンプルに好き」を仕事にしている姿に憧れました。

「…じゃあわたしがシンプルに好きなものってなんだろう」

昨年のキャンプから、わたしの「シンプルに好き」探しが始まりました。

でも、その農家さんから感じたくらい強い「好きだから好き」を見つけるのはすごく難しかった。

思い返せば、これといった趣味もなく、誰かの熱狂的なファンになったこともなく、何かに対して「好きだから好き」なんて強い思いを持ったこともなく。

「シンプルに好き」を見つけたいと願いながら、なかなか納得できる答えを見出せない日々を過ごしました。

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それから1年。わたしなりに「シンプルに好き」を探し続けながら迎えた今年の滋賀キャンプ。

地域学習を通して仕事と地域への思いを伝えてくれた地域の方々、お互いを思いやりながらキャンプの明るくオープンな雰囲気をつくってくれたメンターのみんな、勇気をもって今回参加してくれた中高生のみんな。

数え切れないくらいたくさんの感謝がありますが、キャンプを通して最もこころが動いたのは、2日目の夜、参加してくれた中高生のみんながその日の気づきを1人づつシェアする時間でした。

「やっぱり知らないことを知ること、話を聞くこと、話を伝えることが私は好きなんだと気づいた。」
「鮒寿司づくりをやってみて、同じ作業をするのが楽しいことに気づいた。」

と自分についての気づきをシェアしてくれた人。

「仕事って大変なものだと思ってたけど、自分の大切なものの一部だと思えば大変さがやりがいに変わるのかも。」
「『仕事が好きですか?』って聞いたら地域の方全員『好きです』って即答していた。自分も好きなことを仕事にしたいと思った。」

と地域の方の仕事観についての気づきを自分に落とし込んでシェアしてくれた人。

1日目は、「こんな建築を学んだ」「こんな歴史を学んだ」とその日得た知識をシェアしていた中高生が、2日目にはそのインプットを、自分というフィルターを一度通して、自分の言葉でシェアしてくれたことが、ただ嬉しくて。思わず泣きそうになりました。

嬉しかったね、感動したね、いい時間だったよねメンターのみんなと言い合って、明日も頑張ろう!とやる気を入れ直してその日は終わったのだけど。

いま振り返ると、あの時間はわたしの「シンプルに好き」がちょっと見えた瞬間なんじゃないかと思う。

自分の知らなかった自分を再発見すること。頭でわかっていることが、体験を通して腑に落ちること。実感を伴ってやっと自分のものになること。

これらはどれも、わたしの好きな感覚で、瞬間です。

「中高生の成長を感じた」とか「感受性の豊かさに驚いた」とか、そうじゃなくて、わたしの「シンプルに好き」をみんなとシェアできたこと。

あの時の嬉しさと感動は、そこから来ていたんじゃないかなと思うのです。

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滋賀キャンプに関わるのは、今年で2年目でした。

迷いなく「自分の仕事が好き」と言い切る地域の方に憧れると同時に、見つからない「シンプルな好き」に悩まされた去年。

結果的にではあるけれど、理由もなく、損得勘定でもなく、わたしの「シンプルな好き」をちょっと形にできた今年。

今年のキャンプが始まる前に学生代表として綴ったnoteで、こんなことを書いていました。

めまぐるしく移り変わる時代の流れの中で「よりよく生きる」ために、まずはその一歩として中高生の参加者に自分の興味のあるテーマの見つけ方を学んでほしい。そんな思いを持って臨んだ滋賀キャンプでしたが、メンターである私自身にとっても、自分自身の生き方や在り方についてもう一度考え、自分らしさを活かした「よりよい生き方」と出会うことができました。
今年の滋賀キャンプでは、そんなたくさんの素敵な出会いを、中高生の皆さんにも、そして大学生メンターの皆さんにも届けられたらと思っています。

わたしは今年、「シンプルに好き」との出会いがありました。

滋賀キャンプに参加してくれた中高生のみんな、メンターの大学生のみんな、そしてご協力くださった地域の方々も、それぞれの素敵な出会いを感じてくれていたらいいなあと、心から願っています。

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滋賀キャンプの魅力がぎゅっと詰まったレポートを、メンターのあむちゃんが書いてくれました。ぜひご一読ください!

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最後まで読んでいただきありがとうございました!

写真提供:Masaya Hirose

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