マガジンのカバー画像

撮影テクニック

9
主に商品撮影のライティング等についての講座
運営しているクリエイター

記事一覧

RAWで撮るということの本筋とは

RAWで撮るということの本筋とは

ボクはデジタルカメラで写真を撮る際、必ずRAWデータで撮影する。
色味を変えたり、彩度を変えたり、などと画像を後調整するためではない。
あくまで無調整で画像を生成させるためである。

では、無調整ならばなぜRAWデータなのか。それをここに説明する。

●漠然とした疑問

デジタルカメラで撮る写真は、イメージセンサーという格子状の受光素子で光を捉えた電気信号をデータ化したものである。
しかし不思議な

もっとみる
ストロボライティングで撮るクルマ

ストロボライティングで撮るクルマ

クルマを撮る場合、特に内装では光源が窓からの光が主な光源となる。
しかし窓からの光はどうしても横方向からの光となってしまうため、逆光気味になってしまう。また、横からの光は環境からの反射光のため色が偏っていることが多く、正確な発色が望めない。
そこで、ストロボライティングが活躍することになる。

ライティングというのは、暗い部分を明るくするという単純なものではなく、立体物の形状を浮かび上がらせ、正確

もっとみる
マネキンを使ったライティング調整

マネキンを使ったライティング調整

ブツ撮りでは、商品などの静物を、決まったライティングの中で撮影する。
ライティングはある程度の定石に従って組み立てるわけだが、どんな商品であっても必ず正面となる「顔」があるので、その「顔」がうまく写るように微調整せねばならない。場合によっては、数時間かけて納得するまで調整したりする。

ところがポートレート撮影では、そういう悠長なことはできない。
なぜならば、ポートレート撮影は時間でコストがかかる

もっとみる
水中ストロボ

水中ストロボ

スイレンなどの池の中で咲く花は、通常は水面から上でしかライティングできない。陸上の花では、むしろ下から照明することが多いため、それができないというのは大きな制約と言える。

そこで、水中であっても下から照明することを目的として、水中ストロボを考えた。まあ、ストロボをビニール袋で包むという単純な話。

また水中ストロボでは、下から照明するという目的以外にも、藻で緑色に濁った水そのものを表現するために

もっとみる
足ズームは邪道

足ズームは邪道

よく、「ズームレンズを使わず足を使え」という言葉がある。
いわゆる足ズームというやつで、「横着して動かず、ズームするだけのフレーミングはするな、単焦点レンズで足を使ってフレーミングしろ」という教えである。これは、初心者ではない者が行うようなことではない。なぜなら、足ズームを実用してしまうと写真がメチャクチャになってしまうからだ。

●遠近感はレンズの焦点距離で決まるか

「遠近感はレンズの焦点距離

もっとみる
ドローンを使わないドローン撮影

ドローンを使わないドローン撮影

ドローンを使った撮影は、これまでにない視点をもたらす新しい表現である。ところがドローンは飛ばせる範囲が極めて限られており、事実上、大自然の中でしか使えない。具体的に言うと、川と海の上。
今後もドローンに対しては規制が強化され、ますます運用は難しくなる。

そこで、ドローンを使わず高所撮影が出来ないかを考えてみた。
ドローンが無かった時代には、カイト撮影(カイトフォト)という方法があり、凧にカメラを

もっとみる
ティルトアダプタ

ティルトアダプタ

ブツ撮りするにはティルト撮影が出来ないとちょっと厳しい。
下の写真のように、全面にピントを合わせることが出来るのも、ティルト撮影のおかげ。

通常、ピントを深く合わせるには絞り込むのだが、それにも限度がある。下の比較写真では、左は絞り込んでの撮影だが、それでも先端部のピントがボケている。
しかし右のティルト撮影では完全にピントが合っているのが分かる。

下の写真も同様に、ティルト撮影した模型である

もっとみる
レンズの映り込みを作る方法

レンズの映り込みを作る方法


●現在のカタログ写真を見ると

各カメラメーカーの製品カタログを見ると、レンズ部分には美しい映り込みがあって、まさに"カタログ写真"という写りである。ボクがカメラのブツ撮り撮影を始めた時、この映り込みを実現させることから臨んだ。いわば、カメラ撮影の基本であり、要(かなめ)でもある。

●昔のカタログ写真を見ると

しかしながら、この映り込みは昔の製品写真には見られなかった。
例として1960年の

もっとみる
紺屋の白袴・カメラマンの白袴

紺屋の白袴・カメラマンの白袴

染め物が専門である紺屋(こうや)さんは、自分自身の履いている袴は染めることなく白いままという話がある。いわゆる「紺屋の白袴」のことわざ。
そのことわざには色々と解釈があり、「あまりに忙しいので自分自身に手が回らない」とか、「他人の問題に対してはうまく対処できても、自分の問題には対処できない」などというものがあるが、ここでは「専門家であってもあくまで仕事なので、自分に対しての仕事はしない」という解釈

もっとみる