加藤芳樹 (Yoshiki Kato)

気象予報士・データサイエンティスト。気象データアナリスト養成講座講師。気象データ分析・予測モデル開発・気象とビジネスデータの分析などを行っています。Weather Data Science合同会社。https://www.weatherdatascience.tokyo

加藤芳樹 (Yoshiki Kato)

気象予報士・データサイエンティスト。気象データアナリスト養成講座講師。気象データ分析・予測モデル開発・気象とビジネスデータの分析などを行っています。Weather Data Science合同会社。https://www.weatherdatascience.tokyo

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自己紹介

私のnoteをご覧いただき、ありがとうございます。気象予報士&データサイエンティスト、気象データアナリスト養成講座講師の加藤芳樹と申します。 独立して個人事業を始め、今では法人(Weather Data Science合同会社)を設立するに至りました。事業内容やお問い合わせ・仕事のご依頼はホームページよりお願いいたします。 これまでの経歴私は東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻の気候システム研究センター(CCSR:現在の大気海洋研究所AORI)から、2003年にウェ

    • 2024年の猛暑予報について調べてみたら勉強になった

      はじめに今年の夏の季節予報について、ちょっと機会があって調べてみたら勉強になったので、自分自身の備忘録を兼ねてnoteにまとめました。もし理解が不十分なところがありましたら、優しくご教示いただきますと本人が喜びますので、どうぞよろしくお願いいたします。 きっかけ「今年の夏も猛暑になる!」といった季節予報は、すでにメディアによって報じられているため、広く周知されているものと思います。中には「昨年を上回る猛暑になる!」と豪語する記事も見かけます。 昨年、つまり2023年の夏

      • 気候変化シナリオデータを使ってみる

        はじめに2022年12月22日、文部科学省と気象庁より『気候予測データセット2022』の公開が発表されました。 実際のデータセットはDIASというプラットフォームを通じて公開されています。 余談ですが、DIASはディアスと読むようです。個人的にはダイアスだと思ってたのでちょっと違和感…。だって例えばbiasはバイアスだし… 閑話休題。 気候予測データセット2022については気候系セミナーでよく耳にしていましたので、ついに公開されたか!という感じです。私も時間を作って遊

        • おかえりモネに見た夢の話

          はじめに2022年10月、気仙沼市で開催されていた『おかえりモネ展』を見てきました。10月末で終了だったので、ぎりぎり間に合ったという感じです。 仕事で福島まで行く機会があったので、それならついでにモネ展を見ておこうと気仙沼まで足を運んだわけです。気仙沼へ行くには福島から新幹線で一関まで行って、そこからレンタカーで1〜2時間なので、ついでに行く距離ではありませんが…それでもモネの展示会なので。久々に気仙沼を訪れました。 モネ展の会場には、ドラマのワンシーンや雑誌に掲載され

        • 固定された記事

          台風で無料キャンセル可能な旅行商品の提案

          はじめに2022年台風14号 (NANMADOL) は、さまざまな観点で注目を集めた台風でした。 発達のピーク時は猛烈な勢力を持ち、台風の中心がほぼ真上を通った屋久島では最大瞬間風速50.9m/sを観測するとともに、約930hPaまできれいに海面気圧が低下する様子を観測。鹿児島に上陸時の中心気圧は歴代4位タイの935hPa、宮崎県では総雨量が1000ミリ近くにもなりました。 各地でさまざまな被害が出たものの、これだけの勢力の台風であったにも関わらず比較的被害は少なかった印

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          Pythonで出発点と進む距離・方向から到着点の緯度経度を計算する方法

          はじめに以前『火山灰追跡モデルPUFF』についてnoteを書きました。原論文を見ながらゼロからPythonで実装するという、なかなかハードで良い経験でした。 このとき火山灰の動きを計算する方法として、Pythonのpyprojライブラリを活用しました。pyprojは地球が楕円体であることを考慮して、地理的な位置情報を使った計算ができるライブラリです。 pyprojの使い方をweb検索したところ、ある2地点の緯度経度から距離を計算する方法について書かれたweb記事等はたくさ

          Pythonで出発点と進む距離・方向から到着点の緯度経度を計算する方法

          GPV形式の気象データ入門

          はじめに、扉の絵は『気象庁|数値予報とは』より引用させていただいてます。 また『GPV形式』という言い方をするのかよく分かりませんが、なんとなく語呂がよかったのでタイトルに使いました。あしからずご了承ください。 さて、今回はGPVデータの話です。 気象データの中でも特殊な部類に入るデータの代表格であり、気象データは難しいとされる原因の一つでもあります。逆にいうと『GPVデータを制すれば気象データを制す』とも言えるかもしれませんね(大げさ…) ということで、気象データアナ

          GPV形式の気象データ入門

          高層気象観測データとBUFR形式について

          はじめに高層気象観測データとは、ラジオゾンデと呼ばれる観測装置を気球につけて飛ばして上空の大気の状態を計測したデータです。 私が気象予報士の資格を取った頃はレーウィンゾンデと呼ばれる、自動追跡型方向探知機で動きを追跡して高層風を測るという代物でしたが、いつの間にか引退されてしまいまして(汗)、現在はGPS機能付きラジオゾンデが活躍しているようです。 観測データに含まれる気象要素は、上述の気温・湿度・風向・風速のほか、気圧と高度の情報もあります。レーウィンゾンデの頃は気圧を

          高層気象観測データとBUFR形式について

          数値予報モデルWRFをセットアップする

          はじめにWRF (Weather Research and Forecasting Model) とはアメリカの気象機関を中心に開発されているメソ気象モデル(非静力学モデル)の一つで、日本でいうと気象庁のMSM・LFM(気象研究所のNHM)に相当する数値予報モデルです。WRFはオープンソースのため世界中で利用されており、研究者や国の気象機関だけでなく、民間気象会社によるビジネス利用の実績もあります。 歴史的に見ると、アメリカでは複数のメソ気象モデルが独自に開発されてきました

          数値予報モデルWRFをセットアップする

          気象予報士と気象データアナリスト

          気象データアナリスト登場気象予報士の資格を取って以来、日本気象予報士会に入っております。先日、6月の総会に合わせて会員対象のアンケートがあって、私も回答したのですが、その際に気象予報士会の会員数が徐々に減ってきていることを知りました。 個人的にはスグダスなど気象データサービスの利用や、会員証があること(気象予報士の資格証って無いので地味に嬉しい)など、入会のメリットもちゃんとあるとは思っています…が、この点は一旦おいといて。 気象予報士会の会報『てんきすと』第135号(20

          気象予報士と気象データアナリスト

          数値予報のアンサンブル平均は単体モデルより本当に有用なのか?

          1. 導入アンサンブル予報ってご存知でしょうか?いわゆる数値予報の一種であり、主に週間天気予報など中長期的な予報に活用されています。 一般に、数値予報はまず観測値を用いて今の大気の状態を解析し、それを初期値として未来の大気の状態を予測計算します。2〜3日先までの天気予報は、この計算結果を元に作られています。ここではこの数値予報を単体モデルと呼びます。 さて、2〜3日先の予報くらいまでなら単体モデルだけでも良いのですが、週間予報の範囲になると誤差がかなり大きくなってしまうと

          数値予報のアンサンブル平均は単体モデルより本当に有用なのか?

          緑本第11章の空間統計モデルをRとStanで実装してみた

          はじめにこのnoteでは、久保拓弥氏の著書『データ解析のための統計モデリング入門』の第11章で扱われている、空間構造のある階層ベイズモデルをRとStanで実装してみた話を書きます。 緑本の愛称でも知られるこの本は、データ分析界隈の方なら一度は聞いたことのある有名な著書だと思います。私もデータサイエンスを学んだ初期のころに知人に薦められて読みました。 とても勉強になる本なのですが1つ難点があって、MCMCでベイズ推論する際にWinBUGSというソフトウェアを使って解説されて

          緑本第11章の空間統計モデルをRとStanで実装してみた

          Pythonモジュール『wxparams』の使い方

          はじめに2020年春、私たちの生活を一変させた某世界的イベントの影響を受けて暇になったので(汗)、気象パラメータを計算できるPythonモジュール『wxparams』を作ってGitHubで公開しました。 このnoteは『wxparams』のチュートリアル的な位置付けとして書いています。チュートリアルだなんて大袈裟な…と我ながら思うのですが、幸運にも人に紹介する機会があったりするので、まとめておくと役に立つかなと思って書きました。 『wxparams』のマニュアルとしてはQ

          Pythonモジュール『wxparams』の使い方

          成田空港の霧予測

          気象予報士である私が、データサイエンスを始めて早1年半が過ぎました。その結果、生活も働き方も大きく変えることになり、こうしてブログを書いているのも、その変化の1つと言えます。 さて、先日11/25朝に関東地方で大規模な濃霧が発生し、成田空港はもとより、めったに霧が出ない羽田空港すらも濃霧に包まれました。 それで思い出したのが、AIを使った成田空港の霧予測について第13回航空気象研究会(気象学会の専門分科会の1つ)で発表したことです。その時のスライドがこちらです。 この研

          成田空港の霧予測

          火山灰追跡モデルPUFFをPythonで実装してみた

          1. 飛行機にとってクリティカルな火山灰火山の噴火は、空を飛ぶ航空機にとってクリティカルな現象の1つです。噴煙に入ってしまうと視界が悪くなるばかりでなく、火山灰によってコックピットの窓ガラスに傷が付くなど、機体の損傷を引き起こしてしまいます。 特に問題なのは、エンジンに入ってしまうと熱で溶けた火山灰がエンジンに付着し、最悪の場合はエンジン停止に陥ってしまうことがあります。幸いにして火山灰が原因で墜落したケースはありませんが、一時的に全エンジンが停止して緊急着陸を行った(エン

          火山灰追跡モデルPUFFをPythonで実装してみた

          アメダスで湿度の観測が始まると何が嬉しいか?

          アメダスで湿度の観測が始まります2020年12月15日発行の配信資料に関する技術情報・第549号にて、気象庁はとても興味深い発表をしていました。 つまり2021年3月より、アメダスで湿度(相対湿度)の観測を順次始めるということです。 これってすごい画期的なことだと思います! これまで湿度の観測といったら気象官署の観測か、空港の観測くらいしかなかったため、粒度がとても粗かったのです。気象予報の現場で霧の発生を監視する時などは、湿度もアメダスくらいの空間解像度でデータがあれ

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