見出し画像

人は何のために不登校になるのか?【不登校の意義】

「きっかけが何か  自分でもよく分からない」

不登校の本人の意見です。

文部科学省の「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」  では、「最初に(学校に)行きづらいと感じ始めたきっかけ」を尋ねています。

その結果小学生で25.5%、中学生でも22.9%の子どもたちが、なぜ自分が不登校になったのか分からないと答えました。

「不登校になる理由」
より
「不登校になる理由が自分でも分からない理由」
の方が未来につながるのでは。
そんなことを思ってこの記事を書きます。
よろしければお付き合いください。

不登校になってしまった子。
はじめに彼らに理由を問うと

・「う~ん」と黙ってしまう子
・「分かりません」とうつむく子
・「言葉で言うのは難しい」と説明する子

明確に言語化できる子は少ないと聞きます。

不登校になって、まだ1年そこそこという時間の流れの中では、その原因を客観化  することが難しいです。

人によって、環境によって、いろいろな要因が複合的に関わっていると考える必要があるからです。

簡単に説明するのは  難しい。
しかし、全てのステップを乗り越えていく過程で少しずつ意識化、言語化ができるようになります。

中学3年で不登校だった子に中学卒業から5年後(20歳)にアンケートをした調査があります。(「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~)

その結果、自分の不登校のきっかけが「分からない」という回答は数%に減少しているのです。

時間とともに「自分を振り返る」ことができたということですね!

不登校には段階があります。

0【前駆期】病む前 お腹が痛いなど不調を訴え始める

1【混乱期】不登校となりパニックとなる

2【休養期】心を休める時期

3【回復期】少しずつ外にでられるようになる

4【助走期】登校もしくは教育機関につながれる

5【復帰期】進路のために精進できる

小柳憲司(長崎県立こども医療福祉センター 小児診療科)

混乱期から助走期まで、まだ自己認識することは難しい。
しかし、人により時間はかかりますが、復帰に近づくほど、進路や目標のために自己理解ができるのかもしれません。


😡教室が苦手、、、

😌「自分の特質は__だった!」
😄「自分は__な環境が適している!」


😡勉強がしたくない、、、

😁「自分は___だったら夢中になれる!」
😌「___で社会に貢献できる」

自己理解をし、以前の自分以上に生きやすくなります。

つまり、
「不登校」とは「自己理解」の手段ではないでしょうか。


自己理解などせずに世の中で毎日楽しく過ごせる人々もいます。
むしろそっちの方が多いのかもしれません。
その人たちは多数派です。

⇅  しかし

自己理解せずには生きるのが苦しい人もいます。
それが少数派の人々です。
少数であるが故に生き辛く自己理解が必要です。

その一番はじめのきっかけが「不登校」なのかもしれません。

不登校になったきっかけや理由という「過去」にこだわるよりも、
「今、何したい?」「今、少しでもほっとすることはある?」という未来に向けた自己理解を支援する方が意義あることではないか?

もちろん焦る必要はありません。
混乱期から休養期までのプロセスも含めて、復帰するまでを視野広く捉えることが大切です。

最後にこんな素敵な調査結果をお知らせします。


不登校生のその後の調査にて。

中学校時と比べて成長したことで最も多かった項目
「人の痛みがわかるようになったり、人に対して優しくなったこと」

(「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~)


自己理解とは他者理解。
それが本質です。

不登校とは自己理解の一歩。
自己理解できたときこそが不登校のゴール。

不登校生の皆さん、まずはゆっくりエネルギーを補給し、少しずつ自分と仲良くなっていきましょう。


参考



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集