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バックアップのこれまでとこれから

みなさん、こんにちは!
株式会社カチカのリモート&コールドバックアップ業務担当の村島です!
主にバックアップのこれからを考えていこうと思い、いろいろと調べていたのですが、古い方の話がえらい古い話になってしまいました。
まあさらっと触れてから、現代、そして未来がどうなっていくのかを考えていきたいと思います。
というわけで、今回もレッツスタディセキュリティ!なのです

バックアップの起源

バックアップという行為がいつから始まったのか、それをちょっと調べてみたら、なんと古代エジプトにまで遡ってしまいました
前々から述べておりますとおり私はド文系人間ですのでそっちの方はむしろ専門なのですが、情報を残すために昔の人っていうのは手動でコピーをたくさん作ったわけですね。
ところが人間のやることですのでどうしても写し間違いっていうことが起こるんです。
そしてそれをさらに写すときに写し間違いが生じて…の繰り返しが生じ、長い歴史の中でいろんなパターンが発生してくることになります。
それを整理して分類し、オリジナルはどんなもんだったのかを明らかにしようというのが文系の学問としてひとつあるわけですね。
まあこの話はこれぐらいにしましょう。

現代のデジタルバックアップの起源

現代のデジタルバックアップは、1950年代に登場した磁気テープから始まると言っていいでしょう。

画像は「子供に教えることのまとめ」様より引用

巨大ですね
60年代に入ると、オランダのフィリップス社が小型の磁気テープを開発します

画像は「子供に教えることのまとめ」様より引用

カセットテープというと、我々世代にとってはバックアップメディアというより音楽を録音しておいて聞くというために存在したような感覚の方が強いのですが、まあ確かにプログラムを組んだときにカセットテープに保存ということもしていましたね。
当時は4~5センチぐらいのマイクロカセットとか、切手ぐらいの大きさのさらに小さいカセットとかあった気がするんですが、あまり普及せずに終わりました。
だいたい同じころ、HDDというものが発明されました

画像は「ライブドアニュース」様より

やはり巨大です。しかしそれでいて記憶容量は数MBだったりしました
このころのHDDは一般ユーザーが手に入れられるものではなく、フロッピーディスクが盛んに使われました

画像は「子供に教えることのまとめ」様より引用

「マイコン少年」だった私には憧れだったフロッピーディスクですが、後に私は手に入れました。
そしてWindows95の時代にはメインの記録媒体と言ってもよかったかも知れませんね。

そして1980年代に入ると民生品としても光ディスクが出てきますが、記録可能型の出現はもう少し後になりますのでバックアップメディアというわけではありませんでした容量の大きいデータはテープの時代が続くわけですね。

1990年代に入るとCD-Rの普及により容量の大きいデータのバックアップには光ディスクが用いられるようになり、磁気を用いた方式は古くなっていきます

現代のバックアップメディア

現代も、磁気を使ったHDDもまだまだ現役ではありますが、流れとしてはフラッシュメモリを使った記録に移りつつあります

画像は「子供に教えることのまとめ」様より引用

容量、読み書き速度、安定性…どれを取っても文句のない記録メディアですね。

バックアップのこれから

コンピュータの性能向上、記録メディアの大容量化により、データはどんどん大きくなっていっています。言い換えれば、何かトラブルがあったときには、失われてしまうデータも大きいということになりますバックアップの重要性は刻一刻と増しているというのが現状です。
データ消失の原因も多岐にわたります。

  • 自然災害

  • サイバー攻撃

  • ハードウェア故障

  • 人的ミス

などなどですね。
最近ではランサムウェアが大きな問題となっています。データを勝手に暗号化して「再度読めるようにしたければカネを払え」と要求する犯罪です。亜種として、暗号化はしないもののアクセスはできないようにしてしまって、再びアクセスできるようにすることを条件にカネを要求するノーウェアランサムウェアというのもあります。
いずれにせよ、バックアップを取っておくことでデータ消失の可能性は極めて低くなります

そしてバックアップ技術は日々進化しています。こんにちではクラウドストレージを使うことによって、場所やデバイスに依存しないバックアップが可能になりました

今後はAIによる自動バックアップや、ブロックチェーン技術を活用した分散型バックアップなどが普及していくと予想されています。
AIはここ数年で飛躍的に発達しました。実在しない人間を写真レベルでリアルに描く、というような技術も既に確立されたと言っていいでしょう。今後はその技術は動画の作成にも活かされていくことと思われます。
しかし、重要度をAIに判断させ、バックアップを自動的に行わせることには、まだいささかの不安があると言わざるを得ません

また、ブロックチェーン技術というのは、これまでの中央集権的なデータ保存と違い

中央集権的なデータ保存のイメージ
(AIで作成)

各コンピュータに分散して保存していく方式のことを言います

ブロックチェーンにおけるデータ保存のイメージ
(AIで作成)

詳しくご説明いたしますとブロックチェーンとは、データを「ブロック」と言われる細かい単位にまで分割し、それを連続させる形で(チェーンのように)いろいろなコンピュータに保存することを言います。
このときに、ひとつひとつのブロックには「過去のデータ」と「新しいデータ」と「ハッシュ値」というものが記録されます
過去のデータを改竄すると、ハッシュ値が異なってきてしまいますので、過去データの改竄はほぼ不可能です。このため、長期間(半永久的に)保存するデータの保存先としては適していると言えます。
もちろん、ブロックチェーンにもメリットとデメリットがあります

メリット

  • データ改竄が極めて困難(ほぼ不可能):上記のような理由でハッシュ値が改竄を防ぐため、改竄が極めて困難です

  • システムの耐性が高くダウンしにくい:中央にあるサーバーが全てを管理している方式と異なり、保存も処理も分散されているため1台がダウンしても他のシステムでカバーできます

  • システム運用のコストを低く抑えられる:中央に置いておくべきハイスペックなサーバーが必要ないため、運用コストが低く抑えられます

デメリット

新しいデータの記録に時間がかかる場合がある:一般的には不特定多数のコンピュータに、ハッシュ値を生成して記録するため、新しいデータの記録に時間がかかる場合があります
あとからデータを削除するのが困難:メリットにも書きましたようにデータの改竄・変更が難しいため、削除も難しいです
悪意のある第三者によって介入されやすい:ブロックチェーンに参加するか否かの決定はユーザーの自由意志です。従って、悪意のある人物がチェーンに参加するとリスクが発生することにもなります

量子コンピュータができたら

量子コンピュータが実用化されたら、これまでの暗号化技術が無効化される可能性が考えられます新しいバックアップ技術の開発が必要となってくるでしょう。
量子コンピュータとは、量子力学を応用したコンピュータで、1ステップでは0か1の1ビットしか扱えない現行のコンピュータと比べて、量子コンピュータでは1ステップで文字どおり桁違い、それもかなり桁が違うデータを扱うことができますので、計算速度が飛躍的に向上します

量子コンピュータのイメージ
(AIで作成)

暗号化の計算も、一瞬で解読されてしまう可能性が考えられるわけです。
セキュリティの方式についても、改めて問い直される事態になることが予想されます

結局、一番確かなのは

このように、データを扱う環境は刻一刻と変化しており、そしてその速度も増していると言っていいと思います。
刻一刻と変化しているものに対応するとき、リスクは分散するというのが基本であると言われます。
例えば株式投資ですが、自分の資産を1銘柄に全部投資するのではなく、複数の銘柄に分散させるのが普通です
さらに言うのならば、経済そのものが先を見通せない混乱に陥ったときには、多くの人が手元の財産を貴金属に換えようとします現金で持っていてもそれが一瞬で紙切れに変わってしまう可能性があるのに対し、貴金属ならその価値が急に大きく下がるということが考えにくいためです。
ここで出てきますのが、再三申し上げておりますバックアップの3-2-1ルールですとか3-2-1-1-0ルールですとか5-2-1ルールです。
バックアップの3-2-1ルールとは、バックアップはオリジナルを含めて3つになるように作成し、そのうち2つは別媒体で作成し、さらにそのうち1つはオフサイトバックアップにしておく…つまり遠隔地に保存しておくということです。
3-2-1-1-0とは、3-2-1までは前記の3-2-1ルールと同じですが、さらに変更不可能なバックアップを1つ作っておき、きちんとバックアップが取れているかどうかチェックしてエラーなしつまり0を確認しておくというものです。
5-2-1ルールとは、バックアップを1回取得しても、その前のバックアップをすぐには破棄せず、前の世代、その前の世代…と5世代分保存しておくというものです。
言ってしまえば弊社のサービスとはこの変化が著しいデータ取扱の世界にあって、一番原始的だけれども一番確かな「物理的媒体による記録」によってお客さまのデータを取り扱い、それをイミュータブルつまり変更不可能な形にした上で、お客さまの拠点とされている場所とは離れた弊社内において保管をさせていただくということになります。
データがなくなってしまう危険性に備えて分散させて保存している上に、原始的ではありますが一番確かな「物理的なメディアに保存して管理」を行っていることがおわかりいただけますでしょうか
弊社では世代は6世代が常に存在するという状態をお勧め致しておりますが、世代に関しまして、またバックアップ方法につきましてもお客さまのデータ取扱環境についてうかがいながら最良のものをご提案差し上げたいと考えております。ここも弊社サービスの一環でございます。
弊社では、どのお客さまにも一律に「こういう方法でバックアップを行います」という基準は設けておりません。あくまでもお話を伺い、お客さまに相応しいバックアップスキーム(戦略)をお客さまとともに作り上げてゆくという方向を目指しております

「バックアップ戦略をともに作り上げる」のイメージ
(AIで作成)

極力環境の影響を受けない、言い換えれば最後の最後に頼れるバックアップを作成するお手伝いを、弊社にさせていただければと思います。

小括

技術の進歩とともに、記録のあり方も変わってまいりました
長い間残していこうと思うのならば、とにかくいろんな方法で残しておき、この中のひとつでも残れば、という考えが一番確かだと弊社は考えております。
そしてその中でも、残るのは往々にしてローテクで記録されたものになると考えております。
電子書籍が普及しても、紙の本がなくならない理由も、いわばこういったものではないでしょうか(他にも、電子書籍は貸し借りができないとかそういった事情もあるとは思うのですが…)
弊社はあくまでもローテクにこだわって「最後は人の手」をモットーに励んでいきたいと考えております
お気軽にお問い合わせください。よろしくお願いいたします

目次

クラウドストレージが持つ特有のリスク

クラウドストレージが持つ特有の脆弱性

クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性

クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在

ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由

弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして

クラウドストレージのメリット・デメリット

Microsoftさん、それはないでしょう

事業継続計画の立て方 その1

Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex

事業継続計画の立て方 その2

事業継続計画の立て方 その2 の注釈

事業継続計画の立て方 その3

パソコンのデータが飛ぶ5つのケース

BitLockerをいろいろ使ってみました

事業継続計画の立て方 その4

パソコンのデータが飛んだ際のリスク10選

クラウドネイティブ時代のバックアップのあり方について

ランサムウェア対策としてのバックアップについて

中小企業向けバックアップメディアのおすすめをご紹介

中小企業のデータバックアップ方法 おすすめはクラウドです

中小企業がバックアップを行う際の問題点と解決策

Linuxのバックアップ機能について

探り探りApple社製品について

今日は軽めに私的情報セキュリティ回顧録

バックアップで対処できる情報の脅威

バックアップで対処できない情報の脅威

バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?

データバックアップ 中小企業に相応しい取り方とは?

データバックアップに関する最近の事件について

弊社サービスにつきまして

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6

オンラインバックアップとオフラインバックアップの違い

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7

AIとバックアップについて

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8

私的リストア事件簿(T△T)

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9

バックアップをしている会社・していない会社

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト

バックアップの3-2-1ルール 進化中

警察発表の資料を見ていきましょう!

警察発表の資料を見ていきましょう!その2

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4

ハードウェアとバックアップに関するあれこれ

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2

市販品USBケーブルに仕掛けられた罠

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3

世界シェアNo.1ルータはセキュリティ上問題あり?

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4

ネットワーク機器の危機続々

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5

2024年~現在に至るマルウェア動向について

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6

クラウドサービスは信頼できるのか?

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7

バックアップが役に立ったお話

日用使いのHDDが壊れるとき

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8

バックアップの変則的な使い方について

弊社サービスの内容につきまして

ランサムウェアとバックアップについての最近の話題について

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9

今日は雑談をお許し下さい

自動バックアップについて

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10

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