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認知症の母 服薬管理について

 2019年に認知症とわかった母。5月に要介護2となりましたが、介護保険をフルに利用して、なんとか一人暮らしをしています。
 認知症が進行するにつれ、様々なことができなくなりましたが、特に服薬の管理は母の状態に合わせて試行錯誤してきました。母は高血圧で“薬をきちんと飲まないと、血圧が上がり大変なことになる”という自覚は持ち続けていたので、なるべく自力で服薬管理をさせたいと考えていました。

 母は高血圧の薬の他にも数種の薬を服用してますが、2020年から全種すべてをきちんと飲めず、種類によって薬袋に残っている数が異なることが度々ありました。注意しても「私はちゃんと飲んでいる」と言いますが、飲み忘れが改善することはなく、ひどくなってきました。

 認知症初期支援チームのアドバイスを受け、2021年2月から一回に飲む薬をすべて一包(袋に入れる)にし、包に服用する日付を入れてもらうことにしました。飲む回数も医師に相談して1日2回から1回に減らし、母が少しでも確実に、間違えなく飲めるようにしました。

 しばらくは一包化で上手くいきそうだったのですが、日付を間違え、薬を飲み忘れるようになり、今度は大きなカレンダーにその日に飲む薬を貼り、飲んだらカレンダーに〇をつける、ということにしました。

薬はセロテープで軽くとめてあり、簡単に外れます。
母の通院に同行した日は、実家に帰るとすぐに母と薬を貼る作業をしました。

 これも最初は上手くいきそうに見えましたが、母が薬の包を外した後、飲まずに〇をつけるようになり、朝食後に服用するはずの薬の包が、デイサービスに持参したポシェットの中や服のポケットに入っていたり、食卓の上に置いたままになったり、ということが何度も発生するようになりました。
 2022年夏に、翌日の薬をデイサービスに持っていき、スタッフが預かろうとしましたが拒否、ちょっと目を離した隙にその薬を飲んでしまう、ということが起きました。
 以前、母が複数日分の薬を飲み、血圧が下がり過ぎてしまい、主治医から気をつけるように言われており、デイサービスにも注意するようにお願いしていました。薬の重複服用をした可能性が高い…。スタッフと相談し、母に薬を持たせるのは危険、服用するのを誰かがきちんと見届ける必要がある、ということになりました。

 母は現在、下記のサービスを受けています。
 ・認知症対応型通所介護(デイサービス)     週2回
 ・通所介護(デイサービス 入浴付)       週2回
 ・訪問サービス 60分(服薬管理、掃除、洗濯等) 週1回
 ・訪問サービス 30分(服薬管理、冷蔵庫確認等) 週1回
 何もサービスが無いのは週に1回のみで、週6回は誰かしらからサービスを受けている状況です。現在はすべてのサービスで、母はスタッフから薬をもらい、飲むところまで確認してもらっています。
 何もサービスが無い曜日は…、服薬させることをあきらめました。主治医に相談したところ、週に1回までなら服薬できなくてもさほど影響は無いとの見解をいただけたので、そうしました。
 母の健康上、望ましいことではありませんが、週6日は確実に薬を飲ませる、危険な重複服用を回避する、ためにこの方法で服用させることにしました。 

 薬の管理を母から引き離す際に、非常に悩みました。母はカレンダーに薬の包を貼る方法にしてから、カレンダーで服薬確認ができていると思い込んでおり、主治医やケアマネに質問されると、胸を張ってカレンダーを使って自力で薬を飲めていると答えていました。実際は機能していなかったのに…。
 薬を自分で管理できなくなることに、母がかなりの抵抗をすることは間違いありませんでした。カレンダーに薬が貼ってないのを見て、何度も電話をかけてもきそうです。母の抵抗は強烈、「私を殺すのか」と何度も罵られそう…。考えただけで胃が痛い…。

 説得して服薬のやり方を変える、のは無理。話が通じない母と無駄に闘い、精神的に疲れ果てたくない。母もひれ伏す、権威に頼るしかない!医者の指示で服薬方法を変更する、ということにしました。
 まずは通院の際に、医師宛の手紙を受付に渡し、診察前に必ずご確認いただきたいとお願いです。手紙には薬は今後、デイサービスや訪問サービスのスタッフから母に手渡し、その場で服用させたいこと、そのために処方箋を朝食後から昼食後に変更して欲しいこと、それを母に指示して欲しいこと、が記載されています。
 診察時、医師より私の要望にそった指示が母にありましたが、母はよくわからないまま、調子よく返事をしました。
「お母さん、先生はこれからお薬は、デイサービスや訪問サービスのスタッフから受け取って、それをその場で飲むように、とおっしゃっているのよ。わかった?」「お薬は朝食後でなく、昼食後になるの。デイサービスに行った先で飲むから、薬はスタッフにあらかじめ預けておくことになるのよ。」と、母に補足説明です。医師からは「お薬はスタッフからもらってくださいね。」と援護コメントもありました。
 診察室を出たらすぐに、再度念押し。毎度、精神科と内科をはしごしているので、これを2回繰り返しました。
 通院後の母との外食時も、食事がでてくるまで説明を繰り返します。「薬の服用は自分できる」と話し始めたら、「医者の指示なので、従ってください」で、薬の管理が出来ているか出来てないか論争からは切り離し、医者の指示で服薬方法が変わると何度も何度も説明です。忘れるのは認知症のせい、説明を何度も繰り返すしかありません。

 実家に戻ったら、薬カレンダーには“医師の指示で、薬はデイサービスや訪問サービスのスタッフから受け取り、服用する。”と大きく貼り紙をしました。たぶんこうしないとカレンダーに薬が無い、と何度も電話がかかってきます。
 以前、母の2つある銀行口座を1つにまとめた時に、「私を路頭に迷わせるのか」と罵りの電話を私に何度もかけてきた人です(なんで路頭に迷うんかい!出勤前の早朝にいい加減にしろ~!)。もうあんなひどい電話を受けたくありません。今回もあり得るので、用心のために貼り紙をしました。

   母には「薬は私があらかじめ各社へ送る」と説明してますが、実際は母にわからないように連絡帳に添付等、アナログな方法で薬を届けています。1ヶ月分をまとめて預かってくれるのは1社だけで、2社はサービスの都度スタッフに届くようにしないとならず、それぞれ渡し方が異なり面倒…。でも、やらなくっちゃ…。
 最初は通院から実家に帰った直後に、母の目を盗んで作業をしてました。各施設に利用日と日付の異なる薬を渡さないよう、間違えられない作業なので、母を気にせずに集中してしたい…。この間は実家のトイレにしばし籠り、作業をしました(苦笑)。

 準備が的確だったからか、薬がどこにあるのか不安になり、母は何回か電話はしてきましたが、罵られることはありませんでした。分からないなりに、でもまだ少しは分かるうちに、服薬方法を切り替えて良かったかもしれません。

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