お母さん、毎日ありがとう。 最近、お母さんが毎日やっていた料理、掃除、洗濯は私がやっています。お父さんは仕事で疲れてるから、やらなくてもまあ許してあげようと思ってます。たまに本当にイラっとするけどね。 お母さんはずっとこんなに大変なことをやってくれてたんだね。お母さんがいなくなって初めて気づきました。 お母さんがガンになったって聞いたとき、少し恥ずかしいけど、私は涙が止まりませんでした。もう治らない、あと1年しか一緒にいられないと聞いて、すごく悲しかった。 でも、お母さんは1
「お疲れ様です。」 スーパーで買い物をしていたら不意に声をかけられた。 その声の主は、先週から社員食堂で隣に座ってくるようになった彼だった。 きっかけはスマホの画面を覗き見されたこと。私が昼食を食べながら好きなバンドの公式サイトを見ていたところに、ちょうど彼が後ろを通りかかったのだ。 こんなマイナーなバンドのファンになど、今まで会ったことがなかった。だからすぐに意気投合した。 ボーカルの暑苦しさが好き。激しいギターやドラムと綺麗なピアノが作るピアノロックのギャップが
日本が1点差に詰め寄りながらも、メキシコを捉えきれなかった8回。 逆転に燃える日本はピッチャーを大勢に代え、メキシコの6番ウリアス、7番トレホをテンポ良く抑える。 8番トーマスにはデッドボールを与えてしまったが、9番バーンズを空振り三振で切って取った。 9回を任された大勢が吠える。メキシコの勢いを潰し、日本に追い風を与える投球だった。 9回裏、日本の攻撃は3番大谷から始まる。これ以上ない好打順である。 大谷、吉田、村上が抑えられたならもはやあっぱれと言うしかある
試合が動き出し、メキシコに追加点を取られた日本は、動き出したこの流れを止めるわけにいかなかった。 8回裏、先頭バッターは岡本。メキシコのピッチャーはクルスに代わった。その初球、デッドボール。岡本は自らの手で出塁できなかった悔しさよりも、出塁できた喜びを表出させる。ノーアウトのランナーが出た。 すかさず代走が送られる。代走は中野。切り札、周東を使うには2点差はまだ早いか。 続くバッターは山田。膝を曲げ、バットを立てた構え。初球、低めに外れる。ピッチャーはこの回から代わっ
7回裏、吉田の3ランホームランによって日本は同点に追いついた。 誰もが日本が流れを掴んだと確信した同点弾だったが、メキシコが意地を見せた。 意外なことに追加点はメキシコだった。それもあっさりと。 8回表1アウト、メキシコの1番アロザレーナがライトオーバーの二塁打を放った。2塁ベース上でお決まりの腕組みポーズ。試合前から注意すべき選手だった。日本に傾いた天秤が、再度メキシコに傾く。 続く2番のベルドゥーゴの初球。インコースに構える甲斐。投げ込む山本のストレートは、シ
源田の1ミリから数分。7回裏のバッターボックスに向かうのは、先ほどトレホを補殺したばかりの甲斐。 球場にはまだ余韻が残っている。この流れを掴んでほしいと思うのは、ベンチ、観客、放送席にとって至極当たり前のことだった。 しかしそんな願いむなしく、甲斐は三振。少しだけ球場の緊張が緩むのを感じる。 次のバッターはヌートバーだ。日本の応援団はまた期待が高まってしまう。ペッパーミルを掲げて応援する観客もいた。それだけでヌートバーへの期待や好感度の高さがうかがえる。 初球、空振
7回表1アウト1塁。 バッターはミートの上手いトーマス。投手の山本は際どいところにボールを集め、フルカウトに追い込むものの、トーマスはボール球にもなんとか食らいついてくる。 山本は、3点ビハインドのこの場面に嫌な気持ちはあれど、表情や態度に出すことは決してしない。投手としての矜持か、バックを守るメンバーに対する安心感か、逃げの投球を見せることはなかった。 7球目は低めいっぱいからボールになるフォーク。これもバットの先にボールがかする。 この嫌なファールの連続に、キャ