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優秀だった氷河期世代の先輩たち
私も氷河期世代の余韻の残る年齢なのだけど、大学が地方にあったり先輩たちが着々と就職を決めていたため、いや、私が世間知らずでずぼらサラリーマンのためあまり氷河期世代を知らないまま中年になってしまった。
思えば1社目の日系企業では、バブル期に採用されたくらいの社員さんがうじゃうじゃいて、その後間が空いて自分のちょっと上の先輩がいて…という形だったので「空いた年齢帯」の部分はモロ氷河期世代だったのだろう。
8年勤めた外資系企業では、さまざまな雇用形態の方と一緒に仕事をする機会に恵まれた。
特に印象に残っているのは、派遣社員をずっと続けていたAさんと、かつて地方で正社員で上京し派遣社員をされていたBさん。
Aさんの事務仕事は質もスピードも一級品の仕上がりだ。性格は穏やかで、派手さはないが、堅苦しさもない。何を教えても出来が良くて、(申し訳ないが)同じ金額で雇われてる派遣社員さんたちが見劣りしてしまう、(いや、Aさんが特別なのだが)錯覚に陥った。
Bさんは、コミュニケーションの神様で、老若男女問わずなんでもござれで、トークも上手い。仕事は丁寧で確実で、ただ仕上げるだけではなく商売っ気がある。Bさんと一緒だと何をしても楽しいし、私が妊娠中貧血を起こして倒れた時は私の家族かと思うほど親切に助けてくれたので、仕事の上では私が指示を出す係だけど精神的には私の方が逆に「あなたについていきます!」という心境だった。
AさんもBさん氷河期世代だ。
そして、独身でもある。
2人以外にも、そのような氷河期世代の方は多いのではないだろうか。もし、生まれた時期が違って、本人が望めば要職に就いたり、家庭を持ったりしている。2人が進んで派遣社員と独身をしている可能性もありなんとも言えないが、私が上司なら正社員になって上を目指してほしいと言いたくなると思うのだが…
今少子化と騒がれているけれど、氷河期世代の方々のうち定職に就き結婚する人が多ければ減少カーブも緩やかだったかもしれないのに社会がそれを許さなかった。
新卒初任給を上げるとか、シニアの給与を上げるとか、世間のニュースが出るたびに「割りを食う氷河期世代」の話もお供でついてくる。
世代、と括られているけれど、私の頭の中にはAさんやBさん、その他多くの人々が思い出される。自分は逃れてよかった、とはとても思えないのである。
(少子化の子育て労働者階級という、別の波に飲み込まれている気もするが)
ニュースと具体的な人が連動するようになって私も大人になったのだな、と子どもっぽいことを考えてる。
AさんBさんに悔しい思いや悲しい思いをさせる社会を作りたくないな、と思う。