真・邪道勇者 学問編 全話無料開放中
誇りが無ければ、つまらない。
何であれ「気高さ」は必要だ。
思うに、結果というのは「理想」と「利益」を、両立させてこそ得るものだ。
利益だけでは、結果と呼ばない。
ただの「卑」だ。そうじゃないか?
忘れるな!! 理想を以て信念を貫き、それを実現するのは難しい。だがな!! それをしないで生きるのはただの「無駄」だ。だからこそ面白いし、だからこそ、突き進むだけの価値がある。
それを忘れるな!! あとは、まあ、オマケみたいなもんだしな。
さて、学ぶことは大切だ。それが犯罪でもな••••••具体的に言えば、異性関連はダメだ。
というのも、男にしろ女にしろ「ご褒美」を期待するのはよろしくない。大体が、同じ職業(強盗やら美人局やら種類はあるものの)である時点で大抵がろくでなしであり、真っ当な神経を求める方がどうかしている。
私か? 無論、イギリス紳士の見本みたいな奴だと思ってくれ───いや、やはり敏腕美人女子高生作家とかの方が売れるだろうから、そういう事にしておこう。
性格は紳士で、見た目は美少女と思ってくれ。無論、私の紳士的行動というのは、気に食わない相手をブチのめして、利益を強奪することを言うのだが。
まあ、善悪など瑣末な問題だ。どちらに振り切れるか? それだけの事だろう。
倫理的行動が何かは知っている。ただ、生きる為には悪が無いとな。
でなければ、死ぬだけだ。真っ当に生きるなど自殺に等しい!!
経歴など詐称せず話す事がまず少ない。というのも、真っ当な社会で生きられるのは真っ当に(つまり楽して)成功した輩だけであって、社会どころか人間から外され敵意以外向けられた事がありませんと面談した後に、そんな人材が欲しいと言う商業体など存在しない。
なので、暗に連中はこう言うのだ。真っ当でなければ「死ね」とな。
生憎、私は迫害こそされたが虐められて黙るほど殊勝でもない••••••詐欺だらけの経歴(しかも真実を混ぜ合わせバレ難い)や軽快なトークで人を騙し、盗み奪って生き延びた。何であれ、生き残ねば先は無い。
無論、いつかは死ぬ。だが、ならばこそ、後悔する生き方などしたくない。
であれば、相手がエルフでもドワーフでも人間でもエイリアンでも、神でも仏でも騙すのは当然の行いだ。むしろ、私の住む街では称賛される作業だろう。例えば、近所にエリンジェットというゴブリンがいるが、奴の詐欺術は実に巧妙だ。
偽の経歴だけでなく偽物の家族まで用意しておき、捏造した話で対象の獲物を絡め取る───というのも、奴の仕事は個人相手ではない。組織だ。
例えば、ここに「世界を救わんとする勇者御一行」がいるとしよう。だが、そんな奴らに正面から殴りかかるのは、あまり賢い戦い方とは思えない。とはいえ試練があればあるほど燃え上がるのも奴らだ。なので、時に罪悪感を埋め込み時に狩場に誘い込む。無論、相手が勇者になれば簡単には行かないだろうが、その辺の商業隊程度であれば容易い事だ。
我らの街には大抵、入り口付近にそういう部隊が配置されている••••••情報収集の目的もあるが、外部からの金ヅル••••••新規顧客がどういう人種か知らないままでは問題だからな。何であれ情報を制した方が勝つ、とはハイムの言葉だ。あの巨乳チビは私をかなり痛めつけてくれたが、そちら方面での仕事には優秀なので、実際かなり重宝している。
その点、私はさっぱりだ。真正面から殴った方が早い。
思うに、犯罪とは情熱的な活動であって、自身の情熱がどこに向かうかが肝要だ。
なので、ちまい犯罪はするべきではない。座談会を開いて思考法を広めるよりは、やはり大物を追う殺し合いの方が魅力的だ。
以前の大騒動、素っ裸の老若男女を匿った話がそれにあたる。具体的な内容については調べてもらうしかないが、その後どうなったかという話であれば理想国家建設の為にエルフ連中をまず囲い込ませた。
というのも、国際的な詐欺というのは、綺麗事を盾に取れば上手くいく。
なので、我々はまず「エルフの人権活動家」というパンフレットを配り歩き、人間社会へ訴えを通した。何ともお笑い草だが、実際にやったことは利益がため政治家に賄賂と強迫行為を繰り返し(拷問の件は例の記事を見てくれ)時に生きたまま犬に食わせ、時に平和的やりとりで解決した。
具体的に? ふむ、誘拐ではないと言っておく••••••むしろ、資金援助に熱心な依頼主の一人が、娘を有名大学に通えるようにしただけだ。
というのも、そこの教師の一人が性的虐待を繰り返す輩だったため、私が二、三発ブン殴っている間に証拠品を捏造。その上で経営陣を脅して入学させた。
教師はどうなったかだと? さあな••••••拘束するだけでいい、とは言われたが、あまりに気色悪かったのでついブン殴った──────以前の仕事で衛兵を頭部鎧ごと砕いたのは知ってるな? つまり、それを三発ということだ。
動かなくなったそれを経営陣に見せつける役割は果たした。その辺に捨てた筈だが犬か何かが咥えるだろう。生憎、ゴミ処理係は私ではない。
そして、散々迫害されてきたエルフ民族とやらの、新国家設立に寄与したわけだ。何なら世界平和賞を貰って良いくらいだ。何せ、エルフ民族の独立というのは読者が知る通り200年は成らなかった。
というのも、それも同じくわかってると思うが人間は差別や有意主義が好きだからな••••••無論、我々はそんなもんどうでもいい。
必要なのはカネだ。しかし、欲しいものは違う。
200年ならなかった独立体制を敷いた上で、それらを犯罪業に利用する、という部分が博士の琴線に触れたらしい。私も、ここまで大きな亡命、というか集団拉致に関与するのは初めてなので、それなりに達成感は感じ入った。
いい仕事だ。器物損壊、要人の拉致、爆破に情報や金の強奪、そもそもが密入国で経歴も詐称したから、詐欺罪にもなるだろうか?
とはいえ、結果オーライだ。エルフ連中の国家は出来たから問題あるまい?
当然それらを博士は利用した──────汚いとされるカネを綺麗にするのに、道徳というのは有用だ。「エルフの民族復興へ寄付を!!」という題名だが、当然の権利として我々が幾つかの組織を経由してカネを押収。いわば国家建設の手数料としては破格の行いなので、これもボランティアと言えよう。
その上で••••••当然、武器や人材も流入させた。具体的にはダークエルフとかいう奴らが割と傭兵気質であるらしく、連中を密入国させる為に時に支援用物資、時に現地のエルフたちからのお礼の手紙(中は相当息苦しいらしく、入れられたダークエルフとやらは言語がわからずとも罵詈雑言とわかるほど罵っていたが)に入れるという人道的支援で解決した。
何故か感謝はされなかったが、まあこれも世のため人のための行いだ。陰ながら、裏で社会貢献する「正義の味方」とでも思ってくれて構わない。
ちなみに、政治家以外はと言えばその依頼人ではないが、ある程度有力者に賄賂を送り情報を流し報道にカネを払えば何とかなる。パンフレットは配ったが、それは逆らう奴らの家の前で、暗にやらないとどうなるかを示す為だ。
配った翌日に、家が毎回燃えれば嫌でも気づく。うすのろい猛牛でも、逆らったらああなるのだと示す行いこそが肝要だ。なので、我々はもっとやった。
反発者は鞭打つ!! 人間有意主義には拳をブチ込む!!
意思が黒かろうが、社会の為になるのだ鎌うまい。
話し合い? それで解決すれば差別制度など存在しない。イーストだかカーストだかがある国で、平等精神について語るに等しい。
生まれで差別し、その上で人道を唄う。
少なくとも、連中のやり方で差別が無くならなかったのは確かだ。それが経歴なのか人種なのか金持ちかなのかはともかくな。何にしろエルフ連中は救ってやった。
利益のついでではあるが、それはそれこれはこれだ。
何にしろ、確実に言えるのは「もう差別しないから殺して」と叫ぶ程に、割と楽しみつつ追い込んだ事は確かだ。保証しよう。なので、連中が差別する事は無い。
決してな••••••天地がひっくり返ろうが、二度と無い。
なので、それをいいことに我々は権利拡大活動を開始した。人間の善意に付け込み「哀れなエルフの人権回復」とやらを楯にしてやりまくった。というのも、民衆はアホなので「道徳」があれば、何をしても良いと思い込む。
実際には道徳なぞ持つ側の都合でしかなく、この大陸だと神だの仏だのを名乗る、言わば宇宙人連中の「都合」に過ぎない。
だが、それはそれとして使えるものは使う主義だ。なので、人権回復の為に著名人をタダで雇えるよう周囲に善意の圧力をかけさせ、我々の組織は金貨5000枚分の依頼料をまったくの「タダ」に変換した。
素晴らしい!! 善意とやらも使いようだ!!!
私は学習する悪党だ。なので安心しろ読者ども••••••何をしてでも、どんな「手」を使ってでも、エルフ民族は独立させる。
まさに我々にしか出来ない「偉業」といえよう──────善意にだけ固執する人間には200年の差別が続いても、悪党の手にかかればナプキンで拭くように掻き消せる。
そして、立地も完璧だ••••••••••••博士はその辺が嫌らしく優秀だ。悪辣を通り越して感動を覚える。というのも、我々の住む治安の悪い南でも、独立しつつある東でもない、それらの中間地帯にある元は北の金持ち神仏共が使った「放棄神殿地域」と呼ばれる場所へと建てたのだ。
何でも、博士に言わせれば「核兵器」とか、呼ばれるもので文明を何度も滅亡させた挙げ句、人種改良や人体実験を繰り返させた場所らしい。
何トカ射線は除去されてるから問題ない、と彼は言っていた気がする。最も、元々エルフはそういう環境で生き抜く人間と彼らの混合種らしく、別に汚染されても大丈夫らしい。
••••••エイリアンの考える事は意味不明だ。
とにかく、宇宙から来た自称「神仏」連中は信仰を以て今の社会を作り出した。なので、建前で実際にはただの実験場だったとしても大っぴらに破壊するのは難しい。
最近でも、人間の巡礼が行われてた地域だ。建前上は「全ての命は平等」を語る彼らにとって、そこを占拠されれば破壊は出来ない。
まあ、神だか仏だかを信じない奴は人間では無いから殺そう、という発想も普通にある。とはいえかつての遺跡を丸ごと爆破も出来ないだろう。連中は綺麗事が好きだからな。
そこに付け込む訳だ。結果、東と南の悪辣国家とも取引が進み、武装中立化に成功した。
魔術と呼ばれる超科学に適応するエルフ民族は、我々の仕事に役立つ筈だ。諸君、今回の教訓は「タダで人を救うなかれ。やるなら国ぐらい要求しろ」の一言だ。大体、英雄連中は頼まれもせずに戦うらしいが、私に言わせればタダで行うのは遊びだろう。
カネだ。であれば、世界ぐらい救ってやる。
無論、誇りも忘れていない。というか人間と違って世界で最も「差別問題」から縁遠いのが我々だ。だから、人種に拘りは存在しない──────何だろうと不可能であれば挑み続ける。
それを可能にする。それが生き甲斐だ。
300年だか数百年だか差別されたかなど知ったことか!! たかがその程度の不可逆、私が「可能」にしてやろう!!
任せろ!! たかが差別の運命の一つ二つ、この私がブチのめす!!!
邪魔する奴は、何だろうとやる。
悪党ってのは、そういうものだ
グーグルアンドロイド栞機能付 続刊固定記事参照
この記事が参加している募集
例の記事通り「悪運」だけは天下一だ!! サポートした分、非人間の強さが手に入ると思っておけ!! 差別も迫害も孤立も生死も、全て瑣末な「些事」と知れ!!!