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「ビジネス本」「自己啓発本」の健やかな利用方法

「自分というもの」を太く作るために大切な事は、以下の記事の後半でいくつかの切り口をご紹介いたしました。(もう5年近く前…。)

今回は、「先回りした“正解”」がズラリとタイトルや目次に並ぶ「ビジネス本」「自己啓発本」について書きます。

これらのノウハウ本・情報(今は動画も)は、苦しい時、思わずすがりたくなったり、救いにみえたりすることもあるかと思いますが、気付かぬうちに容易く「自分を失う」見事な落とし穴の仕組みも存在します。
近道のようで「自分作り」に相反する使い方もできてしまう、これらの本や情報の解釈や付き合い方について、いくつかの光をあててみます。
自分を見失わずに利用する方法をご自身で見つけ出すための一助となれば、幸いです。


1:「ビジネス本」「自己啓発本」が本屋に並ぶということ


そもそも、「ビジネス本」「自己啓発本」がなぜ作られ、本屋に並んでいるのか?考えてみたことはありますでしょうか?
答えは、「儲かるから」です。が、その奥には脳科学や社会学で紐解かれる、ある「人間のシステム」があります。

それは、「集合としてまとまること」「集合のために行動させること」です。
人間の行動は
1:自分に都合が良いことをする
が根本で、その先には
2:所属する集合に都合が良いことをする
が待っています。

脳にはこれらを促進するプロモーターがあるとされています。
この「2」を促進・ブーストするプロモーターが、
宗教(経典・教義)、カリスマ、ドラッグ、アート、ファンクラブ…等の、
各種の快感を伴う集合形成です。

この「集合」が、自己啓発本の場合、「著者のファン」「フォロワー」ということとなります。
本の世界でも、著者は、ファンやフォロワーが増えると、より、本業などでビジネスがしやすくなります。お金が稼ぎやすくなります。
このように、「ビジネス本」「自己啓発本」には「著者のビジネスにつながる」意図があることがほとんどです。本が単発で10万部売れようと、その印税では著者は暮らしていけません。著名になることやブランディングができることで、本業の推進、セミナー依頼や、メディア出演など、著者の成功へのステップの一つになっています

前提として、このような事情も大きく含む形で大方の「ビジネス本」「自己啓発本」は本屋に並び、流通しています。

本屋に並ぶということは、目に留まり、売れなければならないので、
タイトルや内容も、味付けが濃く、
困っている人や弱い人に甘く、
焦りを焚き付けるような、
内容に編集される事がほとんどです。
(もちろんそうではない、秀逸な編集•デザインと共に、思いと血の通った本もたくさんありますが)

Youtubeなどの媒体も、同様です。
きちんとした正しい情報であるかどうかとは別に、このような仕組みが根底にはあります。

2:「ビジネス本」「自己啓発本」の落とし穴

さて、その本の中に出てくる上手な「言葉」や「方法」「考え方」ですが。
読了後、それを自分のもののようにして、そのまま事業に利用したり、相手に口にしたりすると、その瞬間はうまくいくように感じますが、少し経つとまた同じような事で躓きます。目の前の事象・相手に最適ではなく、最大公約数の対応をすることとなります。
そしていずれうまく行かないことがおきますが、それは、自分で考え切った行動での失敗ではないので「学びのない失敗」です。
(従って、自分の経験が増えず、ズッシリした自分の言葉ができるのが遅くなり、自己啓発本やビジネス本を何冊も何冊も読んでしまう事になりかねません)

なぜなら、事業の場合、目の前に起きている生きた事象をとことん考察しきれていませんし、
対人の場合、相手に向き合い心の対話がしきれていないからです。

ウンウン頭に汗かいて現実に起きた事象を追求し、あるいは相手と向き合って何故相手はそのような反応をしたかを丁寧に知ることなく(=双方向にコミュニケーションを交わし合う事なく)途中放棄して、先人が捻出した「正解」「近道」とされる、ラクな「言葉」「方法」「考え方」を使うからです。

事業で起きることや課題も、人の心も、非常に複雑で一つ一つがオリジナルです。
それに対して、キレイでそれらしく都合の良さそうな「言葉」「方法」「考え方」を適用するのは、少々乱暴になってしまうこともあります。

自分で考えて、自分で自分を客観的に見つめて、目の前の事象や相手にとことん向きあう。そうすることで、
ようやく、自信を伴う成功をすることができますし、
ようやく、失敗をすることができます。
その失敗は、自分で深く深く考えた分、失敗した際には大きな傷を伴いますが「自分の言葉」が増えていきます。同じ失敗をしなくなるだけではなく、その周囲や延長にある失敗もしなくなっていきます。


大事なのは、傷や痛みを恐れず、向き合い、時に第三者から観点やヒントをもらいながらも、行動は自分で「根から」考え抜いた内容で行うこと。
辛い時こそ、第三者の先人の知恵や、他人の人生達の叡智を集めた教典に行動を頼るのではなく、もう一歩だけ踏ん張って「自分で考えてみる」「そしてそれを行動に移してみる」。自分だけの教典を、自分向けに作ってみてはいかがでしょうか。



3:ひとりひとり、どのように利用すればよいのか?


「ビジネス本」「自己啓発本」は、どのように読み、利用すればよいのか?
ご自身の考え方が、輪郭を得てきたのではないでしょうか。そうであれば嬉しいです。
答えはひとそれぞれですので、ご自身で考えて、答えをだすのが最適です。

個人的には、それらの本は「自分の経験」「自分の失敗」をしたに、整理の為のキレイなラベルの貼って、引き出しやすくしてくれるものだと思っています。
若い頃読みましたが、結果、必要なのは、古くからある2冊だけだと思っています。これについては長くなるのでまた改めて。

それではまた。

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