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『カエサルの休日』~第三帝国の誕生

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ポッドキャスト『カエサルの休日』のテキスト版。 超長尺の第116回『第三帝国の誕生』を全編文字起こし。 ■内容 ・ナチズムとは ・19世紀末のドイツ史概観 ・第一次世界大戦の終…
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#ドイツ

第三帝国の誕生 第1夜~終焉・思想・前史~

■はじめに 本文はポッドキャスト『カエサルの休日』の第116回『第三帝国の誕生』全13夜の書き起こしとなります。 ◇内容は── ・ナチズムとは ・19世紀末のドイツ史概観 ・第一次世界大戦の終結とドイツ革命 ・ヴァイマール共和政の成立とナチ党の誕生 ・ナチ政権の成立 ・ヒトラー独裁の確立 ・参考文献の紹介 ◇話し手は乃木【N】とダニエル【D】   ◇所々挿入されているタイムコード([TIME]----00:00:00)は音声の該当箇所の時間を示し、ポッドキャストの目次と対

第三帝国の誕生 第2夜~第一次世界大戦とドイツ革命~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第2夜~第一次世界大戦とドイツ革命~』 ■第一次世界大戦----00:00:08[TIME]----00:00:08 世界大戦の勃発 【N】そんな中でね、第1次世界大戦が起きますよ。 【D】はい、1914年! 【N】お。覚えていますね。日にちは? 【D】日にちは知らね(笑) 【N】まあ日にちって言っても、(確かに微妙な質問)──。  ──1914年の6月28日に、オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者フランツ・フェルディナント──バンド名にな

第三帝国の誕生 第3夜~バイエルン・ヴェルサイユ条約・或るゲフライター~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第3夜~バイエルン・ヴェルサイユ条約・或るゲフライター~』 ■バイエルン・レーテ共和国----00:00:07[TIME]----00:00:07 バイエルン・レーテ共和国 【N】──と、まあ、そんな感じでね。ドイツ労働者党なんかが噴き上がっていたバイエルンのミュンヒェンもまた、これから混迷を深めていくんですな。 【D】うん。 【N】さっき、ドイツ革命の中でバイエルン王国が倒れて、クルト・アイスナーが共和国の暫定首相になった、という話をしたけれ

第三帝国の誕生 第4夜~NSDAP・賠償金・ミュンヒェン一揆~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第4夜~NSDAP・賠償金・ミュンヒェン一揆~』 ■台頭----00:00:06[TIME]----00:00:06 ドイツ労働者党での台頭 【N】さて、アドルフ・ヒトラーがなんとなく参加した小さな党「ドイツ労働者党」ですが、党首はドレクスラー、そしてカール・ハラー。  が、入党したヒトラーには、どうも彼らがイケてるとは思えなかった。 【D】ほうほう、なるほど。 【N】まず自分より演説がうまくない。あと何より、彼らは戦場に行っていない。 【D】

第三帝国の誕生 第5夜~我が闘争、そして新たな時代~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第5夜~我が闘争、そして新たな時代~』 ■終息----00:00:07[TIME]----00:00:07 ハイパーインフレ下の生活 【N】前回はミュンヒェン一揆の話をしました──。こんなバタバタが起きていた11月なんですが、爆裂のハイパーインフレがまさにこの時期、1ドル=4兆2000億マルクという意味不明な数字にまで達していた。  このハイパーインフレの影響なんだけれども、ようは色んな物の価格が死ぬほど高騰したわけですよ。 【D】うん。 【N

第三帝国の誕生 第6夜~相対的安定と転落~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第6夜~相対的安定と転落~』 ■新たな大統領----00:00:07[TIME]----00:00:07 公開演説の禁止 【N】さて、再建に向けて動き出したナチ党だけれども、やはり当局の警戒心を煽ることになり、ヒトラーは早速3月にはバイエルン当局から公開演説を禁じられてしまう。 【D】はいはい(笑) 【N】それどころか、他州でも禁止されちゃうのね。なのでヒトラーは非公開、内輪だけの集会での演説を余儀なくされてしまう。 【D】うん。 [TIME

第三帝国の誕生 第7夜~恐慌・大統領内閣・躍進~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第7夜~恐慌・大統領内閣・躍進~』 ■世界恐慌とブリューニング内閣の成立----00:00:07[TIME]----00:00:07 世界恐慌 【N】メインストリームに戻りまして、世界恐慌ですが、実は全世界がこれで大打撃を食らった、という訳ではないんですな。 【D】おー、そうなんですか。世界恐慌というのに。 【N】影響の度合いは実は国によって違った。たとえば社会主義国ソ連はあんまり損害をこうむっていないです 【D】ふーむ、さすがですね。 【N】

第三帝国の誕生 第8夜~民主主義の余命~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第8夜~民主主義の余命~』 ■パーペン内閣----00:00:07[TIME]----00:00:07 パーペン内閣発足 【N】で、まあ、となると次の首相ですよ。 【D】はい。 【N】次の首相はシュライヒャーが選び、ヒンデンブルクに推薦した。その名もフランツ・フォン・パーペンという人物。初登場ですね。 【D】初登場ですね。フランツ・フォン・パーペン…….。 【N】このひと、最重要人物のひとりですね。 【D】あ、そうなんですか。意外や意外に。 【

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第三帝国の誕生 第9夜~我々は彼を雇ったのだ~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第9夜~我々は彼を雇ったのだ~』 ■シュライヒャー、立つ----00:00:07[TIME]----00:00:07 パーペンのあと 【N】まあ、前回までで、パーペン内閣が総辞職しましたね。 【D】はい。 【N】操り人形にされるかと思いきや、意外と……意外とパンチきいたことをするパーペンさん。 【D】ちょっと……ナメたもんじゃなかったね。 【N】うん、そうね。プロイセン・クーデターというものを起こし、プロイセン州を直轄化してしまったという……。

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第三帝国の誕生 第10夜~民主主義の死~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第10夜~民主主義の死~』 ■前回まで【N】前回はヒトラーが首相に就任したところまででしたかね。 【D】うん、そう。 【N】松明行進のところで──。 【D】そう。ようやくここまで来ましたね。 【N】しかし完全なる掌握というのがまだなんですよ。 【D】そうですね、見ると全然ナチ党は政権に入っていないし──。 【N】そうそう。少数派による内閣で、しかも囲い込まれているという状況であったと。これをどうひっくり返していくか、という話になっていきますね。

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第三帝国の誕生 第11夜~均制化と経済神話~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第11夜~均制化と経済神話~』 ■制圧----00:00:08[TIME]----00:00:08 ものすごく激しく、ありえないほど速い 【N】さて、権力掌握のための最大の武器を手に入れたヒトラーとナチ党だけれども、これだけでは完成しない。 【D】うん。 【N】この後、この力を行使して瞬く間に共和国を制圧していくんですわ。「瞬く間」にというのは半ばたとえではないです。 【D】あ、そうっすか。 【N】本当に早い。 【D】あぁ、スピーディーに。だっ

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第三帝国の誕生 第12夜~粛清~

■音声リンク『第三帝国の誕生 第12夜~粛清~』 ■ひとつの民族、ひとつの指導者----00:00:07[TIME]----00:00:07 国際連盟の脱退 【N】──さて、外交に関してだけれども、10月14日、ジュネーブの軍縮会議において各国が軍事的平等権を達成しようとしない、ということを理由に、ドイツは国際連盟の脱退を表明。「なんで俺らだけ制限を厳しくして、お前らちゃんと軍縮せんのじゃ」という理屈で。 【D】うん。 【N】前にヒトラーの平和演説の話をしたけれども、「みん

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第三帝国の誕生 第13夜~マイン・フューラー~(最終夜)

■音声リンク『第三帝国の誕生 第13夜~マイン・フューラー~』 ■オーストリア問題----00:00:07[TIME]----00:00:07 ドルフース暗殺 【N】「長いナイフの夜」を経て、一線を越えてしまったという話をしましたが──。ここでまた国外。外交情勢ですね。 【D】はい。 【N】久々に国外に目を向けると、「長いナイフの夜」からほどなくして、お隣オーストリアで大事件が起きた。 【D】うん。 【N】オーストリアの首相であるエンゲルベルト・ドルフースが暗殺されてクーデ

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