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小説まとめ

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僕の書いた小説の類いをまとめました。
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#毎週ショートショートnote

プロローグ #毎週ショートショートnote『無人島生活福袋』

皮膚を焼き焦がすような陽射しと、さざめく波の音で目が覚めた。 その日僕は、友人と釣りをし…

camyu
6日前
80

夢の中の殿 #毎週ショートショートnote『この中にお殿様はいらっしゃいますか』

よく学生時代の夢を見る。 教室がいつのものなのかはわからないし、クラスメイトも中学高校が…

camyu
4週間前
98

夢の跡 #毎週ショートショートnote「バンドを組む残像」

同窓会のその日、僕らは学校を訪れていた。 「本当なら、俺らここでバンド組むはずだったんだ…

camyu
1か月前
83

大禍津日神の憂鬱 #毎週ショートショートnote「残り物には懺悔がある」

「こんな物しか出せなくて、本当に申し訳ない限りですわ」 店主の悔しげな表情が申し訳なさを…

camyu
2か月前
100

誘惑銀杏 #毎週ショートショートnote

ある日のこと、ぶらぶら散歩していると、植え込みの辺りに銀杏が一粒落ちていた。 皮は剥けて…

camyu
2か月前
105

黒幕の涙 #毎週ショートショートnote「黒幕甲子園」

その年の夏の甲子園大会、初出場の私立松緒高校が旋風を巻き起こし、決勝に進出した。 売りは…

camyu
3か月前
83

迷宮入り #毎週ショートショートnote「鋭利なチクワ」

「死因は失血死だそうです」 俺は先輩と二人、殺人現場に向かっていた。 「失血死か」 「はい。現場は血まみれだと連絡が」 「そうか。凶器は見つかってるのか」 「はい。鋭利な…」 「刃物か。マル害の家だったな。包丁か、ホシがナイフを持ち込んだってとこか」 「いえ」 「なんだ違うのか」 「鋭利な…」 「鋭利な?」 「チクワだそうです」 「お前ふざけてる場合じゃねぇだろう」 「それは俺に言われても。俺も報告受けた時はふざけるなって言いましたよ」 微妙な空気の中、俺たちは現場に着

同級生 #毎週ショートショートnote『リベンジトリートメント』

「このトリートメント、私たちでもなかなか手に入らない貴重品なの」 丹念に、客の髪に揉み込…

camyu
4か月前
65

海のピ。 #毎週ショートショートnote

「えーっと、プだったっけ?あれ?ぺだったかな…」 「ピでしょ、ピ。海のピでしょ、お父さん…

camyu
4か月前
84

天の川de文春砲 #毎週ショートショートnote『彦星誘拐』

厳密に言うと、今年は七夕が無かった。 どういうことかって? 七月七日の七夕のその日に、彦…

camyu
4か月前
71

下ごしらえは丁寧に。 #毎週ショートショートnote「一方通行風呂」

「あれっ、ここ一方通行かよ」 番組制作の為のロケハンの帰り道、男はカーナビの表示に騙され…

camyu
4か月前
91

地獄の沙汰も… #毎週ショートショートnote『友情の総重量』

「次の方どうぞ」 案内係に呼ばれ、ドアを開けるとそこには閻魔大王が座っていた。想像してい…

camyu
5か月前
101

杏は祈願上手 #毎週ショートショートnote

「杏も最後の七五三だねぇ」 母が言うと、 「うん!」 杏は元気に返事をした。 今年七歳にな…

camyu
6か月前
104

文学トリマー #毎週ショートショートnote

「えっとぉ、ここちょっと長かったんで短かくしてぇ、こっちも全体見てバランスとってみましたぁ」 鼻にかかった声の女が言った。 「いや、すごい。完璧に整っていて、僕が書きたかったイメージ通りになりました。ありがとうございます」 新人作家の男が礼を言った。 柊木妃菜、大手出版社に勤める若手編集者である。その見た目や口調は黒ギャルそのもの。異端だが、年間300冊の読書量に裏付けされた編集者としての才覚は「文学トリマー」と界隈で渾名される程。彼女にかかれば語彙力も表現力も無い俳優が書