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伊藤緑
2021年10月26日 15:35
真実はその一切を簒奪された。今や目玉の好みが真実を騙り、可能性の半身が影武者として真実を演じている。死を逃れた真実は流浪の身となった。同じように流れている肉の目に真実は映らない。仮に真実がその名を訊かれ、本当の音を口にしようものなら、せせら笑いと嘘つきが響く。怒声が石という衛兵を駆り立てるだろう。偽りの君主による圧政。こぶしに残っていたわずかな自由さえ、完全に奪われてしまった。けれど肉は気づかな
2021年10月18日 17:53
可能性に恋しちゃっててその片面しか見ることができない可能性可能性って名前をたくさん呼んでみてはとろとろ表情溶かしてるでも愛してるわけじゃないから可能性の裏側は見ないし仮に見えても見てないふりしてきらきらしてる面だけが可能性ってものなんだってそう信じて信じられてて信頼なんかしてされちゃって可能性は愛されてないただ一方的に好かれてるだけ見やすくて心地よい片側だけが
2021年10月14日 11:52
自分で決めたつもりになってほんとはみんなに倣ってる考え巡らせてるつもりでも解はとっくに用意されてる見直しなんてされない答えがその解き方をなぞってるだけきらきらしてる言葉の光にこっちだよって誘導されて炎のなかへと飛び込み消えるみんなと一つに溶け合い消える自分なんてものはないすでにあった意思を意識をただ自分自分と呼んでいるだけ決定なんてしていないついていってるだけの
2021年10月7日 21:23
ほんとを書こうとした最初は書いてたつもりだったでも気づいたら言葉は僕になっていた詐欺師の僕になっていた僕の書く言葉は声はどれも偽という漢字一文字の羅列に過ぎないあるいは光ほんとは書けないほんとは言葉にした瞬間消えてしまうんだからだからもしもし書けるとしたら嘘か理想かあるいはレプリカほんとのまねごと
2021年10月6日 16:27
かげに抱かれたけもの道の隅に溶け残ってる濁った雪をひざの手首の鳴りと一緒にひょいとつまんで口に含んでざらつきぺっと吐き出した