名刺代わりの本10選(今年の振り返り)

X(旧Twitter)での有名なハッシュタグ「名刺代わりの小説10選」。
今月の読書会で開催するが、小説以外のジャンルで今年どんな本を読んだか振り返ってみる。

1 漱石の漢詩を読む 古井由吉 岩波書店

古井由吉が文化講座で話した講演録。
漱石が創作をしながら、漢詩を詠んでいたということも凄いが、何より驚いたのは朝日新聞専属の作家となってからハイペースで作品を発表していたという事実。

2 復興期の精神 花田清輝 講談社文芸文庫

批評対象を全く知らなくても楽しめる。

3 同じ年に生まれて 小澤征爾 大江健三郎 中公文庫

大江さんは対談となるとしゃべりすぎるきらいがある。
クラシック好きの私としては小澤さんの話をもっと聞きたいと思っていたのに、大江はここでも饒舌になる。

4 書を捨てよ、町へ出よう 寺山修司 角川文庫

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

宮崎哲弥氏の評論集『身捨つるほどの祖国はありや』を手に取って、書名の由来が寺山の短歌だったと知った。
この短歌は大好きな歌。本書を読むと実に多才な人だったんだと思った。
存在を知ったのは没後だったので、もっと早く知りたかった。

5 私の作家評伝 小島信夫 中公文庫

中公文庫はここ最近名著を復刊あるいは文庫化している。
本書は著者の本の中で最も読みたかった作品。

6 文學の実効 アンガス・フレッチャー CCC MEDIAHOUSE

今年の非文学でベストはこれ。
文學は人生のあらゆる場面で効くということを、古典を紹介しながら実証していく。

7 職業としての政治 マックス・ヴェーバー 岩波文庫

何度も読んでいる本のひとつ。
現代の政治家の中で本書を読んでいるのはほんのひと握りだろう。

8 三酔人経綸問答 中江兆民 光文社古典新訳文庫

三人の酔っ払いによる憂国放談。
中江兆民は「東洋のルソー」と言われているので、来年はルソー『社会契約論』を読んでみよう。

9 甘美な人生 福田和也 ちくま学芸文庫

文芸評論集。
著者の批評家としての構えが表明されていて、良書である。

10 日本人の目玉 福田和也 ちくま学芸文庫 

批評の対象を知らなくても、楽しめる。

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