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欲しいものが、わからない子供だった。#自己紹介

ほんとうに欲しいものがいつも

わからない。

たとえばメニューが決められない。

決められないのはわたしの昔からのクセだけど。

この一瞬をむだにしたくないからなのか。

今目の前にいる人とまたいつ会えるか

わからないから、悔いのない時間を

紡ごうとしているのか。

そして悩んだ挙句ベストワンじゃなくて

あたりさわりのないなんともない

メニューを選んでしまう。

選ぶってどれかを捨てることだから。

捨てたりしたくないからそれをやめて、

最初から候補じゃなかったもので

蹴りをつける。

そして、その日一日をうっかり特別な日に

しないために。

なにげないふつうの1日にするために。

レモンティーとショートケーキみたいな

ありきたりのメニューに落ち着く。



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小さい頃もわたしは欲しいものを

聞かれると答えられなかった。

ぬいぐるみだとかリカちゃん人形とか

ゲームとか着るものとか靴とか

なにもなかった。

父は、わたしのぶらぶらとした

煮え切らない想いが気に入らなかった

みたいで。

欲しいものを決めておきなさい

○月○日までに、みたいなミッションを

課した。

ほんとうにほしいものがない人間に

とって、欲しいものを答えなければ

いけないほど、頭悩ます難問は

なかった。

意欲的であれ、それが子供の領分だと

信じて疑わなかったんだろう。

生きる意志が弱いとも言われた。

父は、あまり裕福じゃない家庭に

生まれたこともあって、ほしいものが

ないわたしのことを、贅沢だと叱った。

母はそんなわたしを、日々に満足して

いたからじゃないの? ってのちに言った

けれど。

物質的にはめぐまれていたかもしれない

けれど、心はいつもなにかを欲していた。

ひとりでも寂しくはなかった。

そうじゃなくて、わたしそこにいていい

人間なのかわからなくて。

所在なげだった。

学校でも家庭でも。

だからお金をだして父がなにかを

買ってくれるものじゃなくて、

もっと笑って話をしてほしいとか

ほんとうにバカみたいなことを

言ってくれるだけでよかった。

あほやな~の一言でもよかった。

家の中に100点満点のなにかを欲しがる

子供を求めてほしくなかった。

言えなかったけど。

今こうやって書いてるとわたしも父に

こうあって欲しいものを求めていたのかも

しれない。

そして大人になって、ほしいものは

本や雑誌など音楽はその時代時代で

読んだり聞いたりしてきたけれど。

身を飾るものにこだわらないまま

過ごしてきたような気がする。

誰かを好きになった時はただ一緒に

話をしているだけでよかった。

その人が欲しいとかじゃなくて。

そこにいるだけで平穏を得られたら

それだけでよかった。

人として好きでいたかった。

特別なものを食べたいとか特別な

場所で過ごしたいとかほとんどなくて。

だらだら喋っていたいだけだった。

できれば眠らないで喋っていたかった。

そして、わたしは去年あたりから

藤井風さんをよく聞くようになった。

「藤井風」を教えてくれたのは彼と

故郷が同じというnoteで知り合った今、

北米にくらしていらっしゃる素敵な方

だった。


そして「藤井風」にのめりこんだ。

音もそうだし歌詞にもずるずると

心が奪われた。

ずっと音楽からは遠ざかっていたので

正直歌詞にこんなに心奪われるとは

思わなかった。

わたしの人生にとって予想外の展開だ。


そして「特にない」というい楽曲を知った。

歌詞に惹かれる。

特にない
望みなどない
わたし期待せずに歩く

特にない
願いなどない
わたし身を任してる

見返り
求めるから
いつも傷ついておわる

ご褒美
欲しがるから
いつも腹が減ってる

(※訳詞)
※これ以上わたしなにも気にしないと
わたしの心が言っている
誰かが私のお尻を叩いて連れてゆく
昔は踊っていたけど今はビートを失ってる
そして今足を踏み外した
誰かが思い出させてくれる
愛に生きよう ありのままの姿で※

特にない
定めなどない
わたし囚われずに歩く

特にない
渇きなどない
わたし満たされてる

ほしい、want の語源が

欠けているだと知ったのはいつだったか

忘れたけど。

欠けているから欲しいという

意味が生まれたと書かれていた。

ほんとうは必要なのにない、

つまり欠けているから欲しい(want)のだと。

でも欠けているから欲しいのじゃなくて。

そのままでいいこともあるなって思う。

欠けているものをじぶんの中に探すんじゃ

なくて。

まだ足りないと思うんじゃなくて。

自分の中になにかあるかもしれない

すでにあるもの。

そのことを見つけることも大切だよって

藤井風さんに教えてもらって気がする。

そしてじぶんってこんなじぶんの

一面もあったんだってことは誰かと

知り合う中で知ったりするものだなって

noteをはじめて1年半をすぎた今、

そんなことを思う秋の夜更けです。


わたしって ときどき君が言う いつか鎖をほどいて
ぼくって ときどき私が言う すでに心空に放って 


◆画像はぱくたそさんから拝借しました


ケーキとアイスティのフリー素材 https://www.pakutaso.com/20130844219post-3141.html



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