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133、旅の終わりは、魔法が解ける時。

チャリス・ウェルガーデンからビレッジまで歩いた。

朝からたくさん走ったり、歩いたり。
正確には昨日のブライトンから歩きっぱなしだったので、足も重たくなり、疲労が溜まっていた。

「よくここまで歩いてくれたね。ありがとうね。もう少しがんばろうね」

と足に言葉をかけつつ、ゆっくりゆっくり歩いてビレッジに向かう。

トーに来るときは、目的に頭がいっぱいで周りをあまり見てなかったけど、帰り道は外観も眺めながら歩いた。

小さなお家がたくさん並んで、可愛らしいお家がたくさん並んでいた。

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イングランド西部・南西部の田舎はこんな建物が多いのかなぁ。と思いつつ。
でも、グラストンベリーの違うところはどこのお家も、窓にドリームキャッチャーやサンキャッチャーが飾られてたり、ドアに魔法陣が張られてたり、あとはトウガラシとかニンニクとか、悪魔対策?的な野菜が外で天日干しされてたりしたこと。

やっぱり不思議で魔法の町なんだと改めて思った。

グラストンベリー・トーやチャリス・ウェル ガーデンがそばにあったら何か結界が張られているように感じてもおかしくない。

私が感じたのは、三重のお伊勢エリアに突入した時の感覚と近いものがあった。

小さいお家にはところどころB&Bの看板もあって、せっかくだし泊まっちゃおうかな。と思ったりもした。

けど、語学学校もあと少し。
休めないな。休みたくないな。

と判断して、がんばってロンドンに帰ることにした。

ビレッジから駅まで出るバスの最終便に間に合った。
奇跡だ。
きっとこれも、神様のはからいなんだと思う。安全にお家まで帰らせてくれる。

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バスを待っていたら、男の子が話しかけてきた。
「駅までいくの?どこの人?」

「ロンドンです。」

「え、今から帰るの?帰れるの?駅まで行っても電車あるの?」

「あると思います。多分。笑」

「あと15分でバス来るよ。○番に乗ればいいからね。この街すき?」

「ありがとう。とっても好きです。いつか住んでもいいかなって思いました。」

「フェス以外はクソつまらんからやめたほうがいいよ」

「ええ^^:::」

「ロンドンのほうが100倍楽しい。んじゃ、またね。気をつけてね!」

自転車に乗り爽快に消えてしまった。

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そうこうしているうちに、バスが来た。
バスが本当に来た時の喜びって計り知れない。。。


バスは2階建の観光バスサイズで、2階席の一番前に座った。
ゆらゆら揺れながら、またトーが見えた。

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「ありがとう」

この気持ちが止まらなかった。
朝、バングラデッシュのおじさんと猛スピードでここ通ったなぁ。としみじみ。

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バスは途中途中停まるので、1時間半くらいかかった。
バングラデッシュおじさんの脅威を知る。

駅に着いた頃は真っ暗になっていて、シンデレラにかかった魔法が終わりを告げるかのような時計台が見える。
私の魔法ももうすぐ解ける。

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夜はだいぶ寒くて、駅でロンドン行きの電車を待つと駅員さんから心配された。
「寒くないかい?コーヒーいる?」

「大丈夫です。ありがとうございます。」

「まだ電車こないから、待合室で待ちなさい。寒いから。」

最後の最後まで、助けてもらいっぱなし。
みなさん本当に優しい。
誰もが優しい。


電車に乗り、揺れながら今日1日のことを思い返した。

神様に張られた伏線
・大寝坊の大遅刻

あのハプニングがなければ、私は100%お利口さんで最初から最後までバスツアーに引っ付いていたに違いない。

もともと、旅行に関してはツアーが苦手。時間厳守だし知らない人いっぱいだしで。
(もちろん、旅行会社さんなしでは旅ができない人もこの世には大勢いるから、素晴らしいお仕事だと思っています。私が合わないってだけです。)


長くなりましたが、このイングランド最強パワースポット、グラストンベリーへの大冒険もこれでおしまい。

全7話で構成したが、これはある1日のお話。
なんて内容の濃い1日だったんだろうと思う。

それこそ魔法の力で時間が歪んでたのでは?と思えて仕方ないくらい充実した忘れられない1日となった。

さぁ、帰国まであと残りわずか。どうなる私!

プロポーズまであと363日

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