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100,新しい選択肢

その日私は珍しく、学校が終わってからまっすぐ家に帰った。

理由は簡単。
ものすごく眠たかったから。
とにかく、寝たかった。

早い帰宅に驚いたハウスマザー。
「早いわね!今からお茶しに行くの。あなたも行くわよね?!」

と、押しの強さに負けてお供することに。
ハウスマザーは心優しい人だけど、自分の思い通りにならないとめちゃくちゃ悪口を言いまくって、根に持つタイプ。笑

その奇想天外加減が面白くて、大好きだった。

荷物を置いて、一緒に出かける。
近場のカフェかと思いきや、チェルシーまでバスに乗っていく張り切り様。

眠たかったけど、気力で吹き飛ばしてハウスマザーの話を聞いた。
チェルシーでの待ち合わせ場所に、日本人のご婦人がいた。
ハウスマザーはその人とお茶するために、チェルシーまで来たのだ。


私が今のハウスマザーにあったのは、このご婦人のおかげ。
この方が、日本のエージェントさんと繋がっていて今回お世話になったエージェントさんが紹介してくれたのだった。

ご婦人に、お礼の挨拶ができた。

お茶をして、帰ってからもテンションが上がりまくりのハウスマザーはお喋りがとまらなかった。
ハウスマザーは、アーティストで画家。
お家はごちゃごちゃしてていつでも創作活動ができるようになっていた。

アトリエに住んでいるといった感じ。
そのため、画集や芸術書も山積みになっていた。

その中でやけに気になる芸術書があった。


そこには「The Book of Kells」の文字。


「これは何?」

「ケルズの書の画集だよ」

「ケルズ??」

「アイルランドの国宝で宗教的な文化を描いた美術書だよ」

その複雑かつ美しいヴィジュアルに心奪われた。

すると、

「アイルランドに興味ある?夏に行くといいよ!すごくいいから。
私もアイリッシュだし。」

え、アイリッシュ?!

「そうよ、私はアイリッシュでダブリン出身だよ!言わなかったっけ?」

聞いてねー笑


同居して5ヶ月目で知った事実。エージェントさんからは「イギリス人女性です」と聞いてたから、そのつもりだった。
どうりで語尾に「シュッ!」がつくんだと納得した。

That がダッシュと聞こえるのだ。ほかにもいろいろアクセントが独特だった。

そんなことは置いといて、
ダブリンの良さとアイルランドの美しい自然の話、ケルズの話をハウスマザーから聞いた。


とても興味が湧いて、その晩ケルズの書が印刷された美術書を借りて
部屋にもどり、アイルランドについて調べまくった。

実は、1年前にある大自然のドキュメンタリーをみて感動して涙がとまらなかった。理由はわからなく、ただただその美しさと癒しの映像に涙が溢れてしかたなかった。
それがアイルランドだった。

アイルランドのどこの地方かはわからないけど、雰囲気的にモハーの崖だとおもう。

それで、アイルランドに一瞬めちゃくちゃ惹かれた時期があった。
当時応募したYMSが外れてしまって、YMSが外れると「まだアイルランドワーキングホリデーはチャンスがあります!」というメールが落選メールと共に来る。

その流れでアイルランドに行っちゃおうかなと思ったりもした。

けど、その時はやめたのだった。
イギリスに行きたかったから。


でも、このケルズの文化を知って、一気に気持ちが揺らいでしまったのだった。

はて、この後どうなるのやら。


プロポーズまであと422日

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