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岩松勇人プロデュース@ビジネス本研究所:なぜ、それでも会社は変われないのか 柴田昌治

【なぜ、それでも会社は変われないのか 】はこんなあなたのための書籍です。

●組織のしきたりが邪魔して挑戦できない
●会社が役員の壁を作っていると感じる人
●意思決定を妨げる会社風土に身を置いている人
●会社の業績が悪いと悩む役員
●中小零細企業の社長

【なぜ、それでも会社は変われないのか の目次】

はじめに 「令和の改革」のスイッチを入れる
1.「答えが見つからない時代」の経営
2.「役員の壁」を打破する
3.経営層を「真のチーム」にする
4.なぜ企業価値は高まらないのか
5.「どうやるか」思考から脱する
6.「組織の常識」から自由になる

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【要約】
今回は、
「なぜ、それでも会社は変われないのか」
という本を解説します。

GAFAに代表される米国発のグローバル企業や、
中国など新興国の企業に対し、全般的に
日本企業が競争優位に立てない状況が続いている。

GAFAとはGoogle・Amazon・Facebook・
Appleの4社を指します。

トップに問題意識はあるものの、
経営改革が空回りしているケースも
少なくないのではないでしょうか。

どうすれば、日本企業は環境変化に対応して
「変われる」のか。

本書では、長らく日本企業を停滞に
追い込んできた元凶を「調整文化」であると指摘しています。

この動画では、日本企業の停滞について
深く踏み込んでいきます。

この本の結論は、

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という内容です。

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日本企業の停滞の元凶である調整文化から、
VUCAの時代に対応した「挑戦文化」に
変えるために「経営チーム」を
“一枚岩”にする方法を、ケースを挙げながら
解説されています。

VUCAとは、ビジネスや市場といった
世界におけるさまざまな不安定要素
(変動、不確実、複雑、あいまい)
の英単語の頭文字をとって作られた
ビジネス用語です。

日本の組織では、「空気を読む」「察する」
といった、よくマイナスに捉えられる要素を
本書では「共感力」と読み替えています。

自分の担当以外に関心を持たない「役員」たちの
連携を深めるのに活用する方法を提案してくれます。

本書の重要なポイントを
3つに絞って解説していきます。

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それでは順に解説していきます。

まず1つ目のポイント

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1 「調整文化」から「挑戦文化」へ

日本の組織では何かをする時、何かが起こった時、
担当する人間が常識ある組織人であればあるほど
“組織の意向”といった空気を意識します。

そして、無意識のうちに自分の判断を先送りします。
この“日本的な空気感”の正体は、
日本社会が伝統的に引き継いできた
「調整文化」が生み出す作用そのものです。

この調整文化というのは、
何よりも組織の安定を優先する「組織の混乱回避」
を大切にする文化です。

組織を安定的に運営していくために有効なのは
「予定調和」というものの考え方であり、
前例踏襲路線です。

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混乱を避け、安全第一に物事を運ぶという
伝統に基づくこの考え方で仕事を進めていれば、
大きな失敗が起こるリスクを限りなく
小さくできるからです。

しかし、今のように、国際間の問題が
世界経済にすぐさま跳ね返るような
想定外の事態が多発するようになると、
企業もそれに適応していくことが必要です。


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混沌とした時代のなかで自社の存在意義と
めざす先を定め、素早く方向転換をして、
「仮説で試行錯誤を始めることができる経営のスピード
(意思決定と実行の早さ)」と、
それを支える「挑戦文化」が必要になってきます。

これまで当たり前とされてきた仕事の進め方は、
現実を計画という名の静止画状態で見て、
制約条件を固定して扱うものです。

これは市場が拡大基調にあるような
安定した環境のもとでは有効でした。

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しかし、ひとたび環境変化が始まり、
条件自体が変動するようになると、
従来の硬直的な物事の進め方が
日本企業の足を引っ張り始めたのです。

現実というのはつねに揺れ動いています。
最初につくった計画も、
実行段階になると予期せぬ事態に直面し、
変更を余儀なくされます。

そこで大切なことは、つねにリアルタイムで
現場の意見を取り入れて、
動いている現実のほうに計画を合わせていくこと、
状況に応じて計画案の修正を繰り返していくことです

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2 手段に目が向きがちな日本人

企業価値を高めるために不可欠なのは、
何のためにやるかという「意味」「目的」「価値」
を問い続ける姿勢です。

そのためにはまず、今までなら当たり前であった
「前例踏襲」という“静止画の前提”から
思考を解き放ちます。

そして、変化する現実、問題が絡み合う
複雑な実態という新たな“動画の前提”に
基づいて現状を変化させていくのです。

これからの時代の経営にとって致命的な
マイナス要因になるのは、
ずっと「手段」だけを考えて仕事をしてきた習慣、
仕事を価値づける「目的」について
考えることを面倒なことと思ってしまう思考の欠陥です。

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日本人の思考パターンには、
よくよく考えてみれば誰にでも覚えのある
大きな特性があるのです。

それは、つねに「どうやるか」に思考が
向きやすい、という特徴です。

日本のビジネス雑誌なども、
よく見てみると本質を探るというよりは
「どうやるか」に絞ったテーマが目につきます。
書店にハウツー本が並ぶのも日本の特徴的な傾向です。

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そもそも「目的を問う」思考が育たなかったのは、
仕事をするうえで「価値」という基準が
組み込まれていなかったからです。

「何のためにそれをやるのか」
「どんな意味や価値があるのか」と目的について考え、
議論することは非常に大事です。

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仕事の重要度を「意味があるかどうか」
で測ることで、具体的な仕事や行動の価値を
引き出していくことができます。

そういう判断基準を持って、
目的を具体的に展開し、価値の大きい仕事に
費やす時間を増やしていくのです。

今の働き方改革などでも、
「目的について考える」という姿勢がなければ、
「価値の大きい仕事」を見極めることができないため、
仕事の優先順位もつけようがありません。

結局、形式上の見直し、たとえば残業を減らす、
などにとどまることになります。

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3 「共感力」を活用した役員のチーム作り

トップがいくら現状に対する危機感や
改革の意志を強く持っていても、
役員たちがチームレスなバラバラの状態では
経営のハンドルは利きません。

経営に名を連ねる役員が相互不干渉の状態、
自分の担当以外のことには無関心のまま
だとしたら、そのサポート機能を期待できない
トップは孤軍奮闘するしかありません。

だからこそ、これからの時代は
「役員のチーム化をなしえるかどうか」
が会社の将来を左右するカギを握ることになります。

会社のめざすものに向かって
“経営陣が一枚岩になる”ことで、
初めて時代が求めている経営のリーダーシップ機能
が発揮されるからです。

調整文化のしがらみにとらわれた役員同士
の関係性を変えていく時、
欠かせない着眼点があります。

それは日本の組織集団の特性としてマイナスに
作用している弱点を、プラスの作用に転化させることです。

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たとえば「あうんの呼吸」。

著者の柴田さんはこの“空気を読む”、“察する”“、
以心伝心”“甘えの感覚”といった独自の感覚を、
日本人の持つ「共感力の強さ」と捉えています。

この独特の感覚は、お互いに自分と共通する
要素を相手の中にも見出そうという、
一種のもたれあい的な感覚ではないかと思います。

ただし、こうした感覚は、閉じたムラ社会的な
組織の中で何も手を加えないでおくと、
「集団の同調圧力」と表現されるものになったり、
「忖度」をもたらす力として作用したりもします。

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しかし、これは前向きに捉えることができます。
お互いがじつは同じような問題意識を持っていたんだ、
という発見の驚きが、日本人の共感性を
ポジティブに働かせるからです。

こうした良い意味での共感性を分かち合うことと、
めざす方向性を大まかにでも共有することを通じて、
役員間でも連携を強めることは可能です。

この共感性は、違和感もなく、
理屈抜きにお互いの間に心理的安全をもたらし、
チームメンバーに連携をもたらすのです。

欧米では経営チームと戦略策定部門の
経営技術チームが連携して全体戦略と事業戦略を立案し、
まとめあげ、トップダウンで各部門が実行します。

これに対して日本では、
事業戦略は事業部門で立案され、
経営会議で承認されて、それぞれの部門で
実行されることが多いため、
全体戦略との整合的な一貫性がなく、
部門はタコツボ化しがちなのです。

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これまで日本企業では、
戦略経営を欧米流のやり方で導入・展開する試みは、
結局は中途半端に終わってしまうことが
多かったように思います。

頭ごなしに正論で押しきる形でなされた決定を、
トップダウンで完遂を命じられるプロセスには、
誰もが腹落ちせず、「感情的なしこり(ギャップ)」
が累積するからです。

ここで、日本企業との決定的な違いとして
注目すべきなのは、欧米企業の場合、
トップダウンというのは
「上司と部下は人としては対等である」
ことを前提としているという見逃すことのできない事実です。

したがって、トップダウンで実行の指示を受けて
動く社員が、指示を理解し納得するために
「問い返す」ことなどは、言うまでもなく
当たり前になっているのです。

日本では、「いいから黙ってやれ!」
みたいなトップダウンではなく、
もはや独裁政治のような風土になって
しまいますよね。

「問い返す」文化がない日本企業では、
メンバー間の信頼関係を第一段階で築いて
「感情的なギャップ」を先に解消していきます。

そして第二段階として、
本音で徹底的に戦略を踏まえた全体経営を議論して
「論理的ギャップ」を埋めていくべきです。

このチームビルディングの方式は
日本の風土にマッチしているため、
戦略面でも成功する確率が非常に高くなるのです。

メンバー間にわだかまる二つのギャップを
埋めていくプロセスを通じて思考を鍛えることができれば、
日本的経営チームはメンバーが真の意味で
「腹落ち」している、日本独自の強みを持った
戦略的な経営チームに生まれ変わる可能性を秘めています。

ぜひ、本書の内容をもとに、
会社組織を再編してみてはいかがでしょうか。

それでは最後におさらいしましょう。

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1 「調整文化」から「挑戦文化」へ

調整文化というのは、
何よりも組織の安定を優先する「組織の混乱回避」
を大切にする文化です。

自社の存在意義とめざす先を定め、
素早く方向転換をして、
仮説で試行錯誤を始めるのが挑戦文化です。

2 手段に目が向きがちな日本人

これからの時代の経営にとって致命的な
マイナス要因になるのは、
ずっと「手段」だけを考えて仕事をしてきた習慣です。

「何のためにそれをやるのか」
「どんな意味や価値があるのか」と
目的について考えることが大事です。

3 「共感力」を活用した役員のチーム作り

空気を読む”、“察する”、“以心伝心”
“甘えの感覚”といった独自の感覚をは、
日本人の持つ「共感力の強さ」です。

良い意味で共感性を分かち合うことと、
めざす方向性を大まかにでも共有することを通じて、
役員間でも連携を強めることができます。

著者について 柴田 昌治                                                                                  株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー
1979年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。大学院在学中にドイツ語学院を起業した後、ビジネス教育の会社を設立。80年代後半から組織風土・体質改革の支援に本格的に取り組む。社員が主体的に協力し合っていきいきと働ける会社にしたい、という社長の思いがスピーディに組織の隅々まで伝わる会社づくりをめざしサポートを続ける。2009年にシンガポールに会社を設立、対話によるチームづくりを通じて日本企業のグローバル化を支援している。
著書に『なぜ会社は変われないのか』『なんとか会社を変えてやろう』『トヨタ式最強の経営(共著)』『なぜ社員はやる気をなくしているのか』『考え抜く社員を増やせ!』『どうやって社員が会社を変えたのか』(以上、日本済新聞出版社)など多数。


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